伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

市民の願い福祉・医療の充実を / 市長選の結果について議員だよりの記事にしました

2017年09月13日 | 市政
 今週の議員だよりのテーマは市長選挙の結果。市民は今度の選挙でどこを選択の基準にしたのか。考えてみるということで記事にしてみました。

 ご覧ください。



新市長に求められるもの
福選挙結果に表れた市民の願い福祉・医療充実を


 磐城平城の再興か、それとも福祉・医療・教育に優先的に税金を使うのか。3日告示10日投票で実施された市長選挙ではこのことが問われました。即日開票の結果、「磐城平城の再興」をかかげた現職の清水敏男市長が再選し、引き続き市政を担うことになりました。磐城平城の再興が広範な市民に支持されたのか、探ってみたいと思います。

 今回の市長選挙には、宇佐美登氏、渡辺敬夫氏、清水敏男氏の3氏が立候補し、それぞれ政策を訴えました。



 宇佐美氏は、救命救急体制の充実や健康保険料の引き下げ、貧困家庭への習い事の補助などを公約に掲げ、支持を訴えました。

 渡辺氏は、教育予算の割合を8%から10%に引き上げ、幼稚園・保育園の無償化を図るなど教育・子育てを第1の公約に掲げ、支持を訴えました。

 一方、現職の清水氏は、子育て・教育先進都市の実現などを「5つの元気プロジェクト」としてかかげながら、「夢プロジェクト」という政策の柱を立て、①磐城平城の再興、②スポーツを通したまちづくり、③JR常磐線のスピードアップ化などをかかげました。出陣式では、「磐城平城の本丸跡地を整備し、教育施設として利用したい」(いわき民報、9月4日)と訴えたと伝えられています。

 マスコミは、今回の市長選挙で「政策論争が深まっていない」という市民の不満の声を伝えました。しかし、ある意味、論戦の焦点は明確でした。税金投入を優先するのは磐城平城か、それとも市民と子どもか。すなわち、ハコモノ優先かそれとも暮らし優先か。論戦が十分浸透できなかったとは言え、この点が選択の焦点になったことは間違いがありません。

 実際、マスコミの世論調査でも、そのことが浮かび上がっていました。

 福島民友新聞社が5日、3日と4日に実施したアンケート調査の結果を伝えました。重視する争点として最も多かったのが「福祉や高齢化対策」で87%、続いて「地域医療の充実」が83%、これに防災対策、子育て・教育支援が続くという結果でした。

 また、福島民報社が同日伝えた調査結果でも、最優先で取り組むべき課題として、「医療、福祉、子育て支援対策の充実」に最多の52・1%、最も充実してほしい施設は「医療・福祉施設」が最多で67・9%の回答が寄せられる結果になっています。

 いずれの世論調査でも、関心が寄せられていたのは、福祉・医療・子育てであったことが分かります。



 こうした市民・有権者の投票動向は、選挙の結果にも表れています。

 福祉・教育など市民の暮らしに直結した公約を正面に掲げた渡辺氏、宇佐美氏の得票は、合わせて7万4081票、総投票数に占める得票率は54・81%に達しています。

 両氏は、暮らし重点の候補者が2人となったために得票が割れ落選という結果になりました。しかし、2人の得票数には、マスコミの世論調査に表れた、暮らし優先の税金の使い方を求める市民の意思をみることができます。

 一方、清水氏は5万9814票、得票率で44・25%でした。

 この結果が、磐城平城の再興に無条件に賛同したものでないことは、マスコミ調査や、他の候補への投票動向から明らかです。市民は、清水市長が磐城平城の再興と同時に掲げた、「復興・再生」「『医・職・住』の深化」「子育て教育先進都市」などに関心を持ち、支持を寄せたとみるべきでしょう。

そもそも、投票率が前回より2%落ち込み、49・13%と過去2番目の低さとなったことにも、磐城平城の再興への市民の消極性をみることできます。

 市議団は、前回の市長選挙で当選した清水市長が、一早く公約を翻したことを公約違反と指摘してきました。「復興対応のスピードアップ化」、共立病院建て替え計画の「経営形態を含めて再度検討」などという公約が問題を抱えているという観点から、選挙後に一早く公約を翻した市長の姿勢を「公約違反」と指摘をしたのです。

 しかし、一歩踏み込んで考えれば、公約を翻したところに公約違反があったのではなく、多くの復興事業に着手していた4年前の市長選の局面で、「復興のスピードアップ化」などを掲げることそのものが、公約としては不適切、すなわち公約違反だったと言えるかもしれません。

 だからこそ、選挙後すぐに翻意せざるを得なかったのでしょう

 今回の磐城平城の再興はどうでしょうか。

 清水市長は、選挙前に実施された平地区のまちづくり懇談会で、いわきならこれだと言えるように「磐城平城をシンボルにしていきたい」と発言していました。

 しかし、本市は広域合併をしており、それぞれの地域が持つ歴史的背景に違いがあります。それぞれの地域が持っている歴史的ストーリーを磐城平城一本に落とし込むことには相当無理があります。本市のシンボル・磐城平城を、市民の共通認識にすることは、その意味でも困難と言わざるをえません。

 実際、市民からは、各地区で「磐城平城の再興」に疑問を持つ声が聞かれました。

 常磐地区では、「湯長谷藩でも城を作るのか」という声がありましたし、「(映画の)超高速参勤交代もまた作るのか」という声もありました。遠野地区では「磐城平城がシンボルといっても無理。遠野はやっぱり八潮見城(上遠野城)だろう」という声がありました。

 平地区の住民からさえ、「平の人でさえ、お城が必要だと思っている人はいないのではないか。今はハコモノの時代ではない。人の暮らしにこそ税金を使うべきじゃないか」という声が聞こえてきたのです。



 選挙後の福島民報のインタビューで、清水市長は、「城の再建は、賛同する市民や企業・団体から寄付を募り実現させたいと思います」(福島民報、9月12日付)と答えています。一般財源ではなく、寄付で実現という点が注目されます。

 ある磐城高校出身者は、「清水市長は磐高出身でしょう。寄付っていうとそのつてで依頼がくるかもしれない」と顔をしかめました。実際に、そのような寄付の依頼が出回るかどうかは分かりません。しかし、年金が減り、社会保障の削減で住民負担が増えている中、これ以上の負担はやりきれいない。そんな思いが伝わってきます。

 清水氏は、「(磐城平城の)櫓(やぐら)は6億円と試算される」とします。これが本当に寄付でまかなえるのでしょうか。

 総合磐城共立病院の建て替え事業は、同じく施設建設にあたって寄付を募っています。2011(平成23)年度末から始まった「新病院づくり応援基金」の募集に、今年8月末現在、519件、約6034万円が寄せられました。この事実からは、櫓の費用6億円を寄付でまかなうことは、かなり困難な事業に見えます。ましてや、オリンピックで増加が期待される外国人観光客に櫓を見てもらうとするのは、夢のまた夢にしか見えません。

 いわき民報は、「清水氏は浄財での建設を検討しているが、その後かかる維持費など市民の興味は尽きない」(9月11日付)と書きました。

 維持管理費の費用を削減するために、公共施設の配置の見直しが検討されている中で、新たに公共施設を増やすことが妥当なのかどうかも、検証されなければなりません。

 今回の選挙を概括して、福島民友は次のように書きました。

 「清水氏の得票5万9814票が有権者全体に占める割合は22%。渡辺、宇佐美両氏の得票数を合わせた7万4081票は、清水氏を上回った。清水氏には、対立する意見にも耳を傾ける市政運営が求められる」

 今後の市政運営の戒めにしなければなりません。



 こちらの記事は、裏表の紙面には、記事が不足しそうだったので、ヒガンバナを題材に小文を書いてみました。結局、作成者が贈られた記事に気が付かず、不足する記事の分は写真で調整してしまったようで、日の目をみなかったのですが・・。せっかくだから、ブログでは掲載しておきます。

ヒガンバナ咲く
今年の実りは大丈夫か


 ヒガンバナが咲き始めました。田んぼのあぜ道に、にょきにょきと茎をのばし、つぼみは開花のタイミングを待っています。



 気が早い花は開き、火炎のようなたたずまいを見せています。めっきり秋です。

 田んぼの稲の穂も、頭を垂れ始め、もみの中には米粒が入っているように見えます。

 受粉の時期に、天候不順が続いたため実入りが心配されていましたが、果たしてしっかり米粒が入っているのでしょうか。

 豊かな実りを迎えられるといいのですが。




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