伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

いまの状況で大切なのはそこなのか――報道姿勢に疑問が浮かぶ見出し

2018年02月14日 | 政治
 12日の朝刊に、共同通信の世論調査の結果が掲載されました。

 我が家は福島民報が入っているのですが、1面の本記にこんな見出しがつきました。

「9条2項維持38%」



 9条2項を維持して自衛隊を憲法に明記する。安倍首相が示す改憲案ですが、この改憲案に一定の支持が寄せられているように見えます。

 そして5面の関連記事の見出しはこんなでした。

「2項維持、割れる民意――憲法9条論議 首相案 浸透不足」



 この見出しを見て頭に浮かんだのは、世論が改憲に大きく動いてきたのか、ということでした。

 ところが、世論調査の内容をよく見てみると、全然違う。「あなたは、安倍首相の下での憲法改正に賛成ですか、反対ですか」という設問があり、その解答は賛成38.5%、反対49.9%となっているのです。



 前回調査に比べて賛成が5.5%増加し、反対が4.9%減少しているおり、「安倍首相の下での」との限定とは言え明らかに世論は改憲に反対が主流です。衆院でも、参院でも政府与党が改憲の発議に必要な3分の2以上を占めている中で、国民は改憲を望んでいない。この中で政権だけが改憲に前のめりの状況の中で、改憲の内容に焦点を当てた見出しをつけることは、世論を偏った方向に誘導するのではないだろうか。記事を見て、そんな危惧を覚えました。

 この設問を見れば、民意が割れているという状況はないのですが、なぜ、「割れる民意」となったのか。それは、どうも選択肢の設定にありそうです。

 見出しのもとになった「自民党は、憲法に自衛隊の存在を明記する憲法改正を目指しています。~憲法9条改正についてどう思いますか。」という設問の選択肢は次のようになっています。

「9条2項を維持し、自衛隊を明記すべきだ」(38.3%)
「9条2項を削除した上で、自衛隊の目的・性格を明確化すべきだ」(26.0%)
「自衛隊の存在を明記する憲法改正は必要ない」(24.9%)
「分からない・無回答」(10.8%)

 この設定から分かるように、質問は“改憲するならば”という改憲前提の選択に回答者の思考を誘導しかねない内容となっているのです。

 そう考えるならば、アンケートの結果の主要な側面である「改憲は必要ない」というところに焦点を当てた見出しを付けるべきと思うのです。

 ちなみに福島民友はこんな報道でした。」



 やっぱり「改憲するならば」が前提の見出しです。

 こうした報道は、世論を誤った方向に導きかねない。私はそう思います。

 マスコミのみなさんには、十分報道の角度を検討していただきたいと思います。


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