12日付けの日本共産党議員だよりに、川部小学校の自校式給食をセンター化することに関する市教委と保護者の意見交換会の様子を記事にしました。一度ブログに書いておりますが、あらためて整理しなおしましたのでご覧ください。
同日付けの議員だよりには、7月8日の安保法案の廃案を求める市民集会も記事にしましたが、ブログとほぼ同様なので今回は割愛します。
震災で被害を受けた勿来学校給食共同調理場(以下。給食センター)を移転・新築する工事が山田インダストリアルパークですすめられています。来年4月から稼働する予定ですが、これにともない、田人学校給食共同調理場と市内で唯一自校式給食を実施している川部小学校を給食センターに統合する考えをいわき市は持っています。9日に川部小学校の保護者と市教委の意見交換会が開かれたので、どのような意見交換になるのか、お話をうかがい、市教委の考えと保護者の要望には大きな隔たりを感じてきました。(伊藤浩之)
給食センターへの統合問題は、6月定例会の一般質問で取り上げていました。
この質問では、保護者や地域への説明、取引業者への対応、パート調理員への対応の問題などをただし、統合ありきではなく、地元や保護者の意向を反映するよう求めていました。
この質問の際、7月9日に川部小の保護者に説明会を開くと答弁されていましたので、実際に保護者の意見を伺うために会場を訪ねることにしました。
会場には30人ほどの保護者がいたでしょうか。
意見交換会の冒頭、市教委側からは、市が市行財政改革大綱に基づいて、これまで15校の自校式給食をセンター給食に移行してきた経過を説明しながら、「保護者のみなさんから忌憚(きたん)のないご意見を伺いたい」との発言がありました。
これを受けて約15人の保護者が発言しましたが、全員が現行のまま自公給食を残してほしいという意見でした。また、同校のPTA会長は、事前の出席確認で、出席できない保護者約20人から「自校式を継続してほしい」という意見が寄せられていると紹介しました。その後の報道を見ると保護者のうち7割から回答があり、全てが「統合反対」とされています。この日、発言した保護者全員も自校式給食を残してほしいという意見です。
ある保護者はこう発言しました。
「ここに(説明会に)来る時、子どもたちに反対してきてねと見送られました。子どもたちの意見を取り入れたオリジナルのメニューが出されるなど、子どもたちは給食を楽しみにしています。この子どもたちの意見を尊重して残していいただきたい」
子ども達は自校式の給食をとても楽しみにしており、何よりも子ども達が自校式の存続を望んでいるようです。
また、別の保護者はこういいます。
「校内に漂う調理の香り、おいしい給食で、学校にいくことが子どもたちの楽しみです。給食がやる気のきっかけになっていると思います」
子ども達の意欲を引き出す給食の教育への力が浮き彫りになります。別の保護者は次のようにいいます。
「入学前、好き嫌いの激しい子どもで、給食に対応できるのかと不安があり学校とも話しました。ところが、いざ学校に通い出すと、不安をよそになんでも完食するようになりました。給食が本人の自信につながっています」
「あまり食べなかった野菜を食べるようになり、子どもの健康につながっています」
栄養の面からの必要性だけではなく、給食を通じて子ども達が学ぶことがあります。食育と言われます。
国は、栄養の偏りや食の不規則化、また伝統的な食が失われつつあるとの考えから、「生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむための食育を推進することが緊要な課題となっている」と食育基本法を制定しました。
食育がめざすものは、「食に関する適切な判断力を養い、生涯にわたって健全な食生活を実現することにより、国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成に資する」(第2条)と、「国民の食生活が、自然の恩恵の上に成り立っており、また、食に関わる人々の様々な活動に支えられていることについて、感謝の念や理解が深まる」(第3条)です。
保護者の意見を聞いていると、自校式の学校給食の川部小では、教育の現場にこの法律がめざす食育が息づいているように思えてきます。
実際に別の保護者はこう発言しました。
「子どもが残さず食べようと思うようになり、感謝の気持ちが育っています」
しかも別の保護者は、「休んだ子の分の給食を誰が食べるかを、子どもたちがじゃんけんで決めているそうです」
給食調理員たちが心をこめた給食を、争って食べる子どもたちの姿が目に浮かびます。
「川部小は手作り感の強い文化があります」とPTA会長が話していました。その背景を報道は、「初代給食室は地元の浄財で作られた」としています。また「自校式は川部小の魅力です」などと話す保護者もいました。
こうした保護者の意見に対して、市教委のスタンスは、自校式給食の統合の方針を前提に、意見を交わしながら「着地点」を探りたいというもの。今回で意見交換は終わりにせず、今後も様々な形で意見交歓をしながら、合意できる点を探りたいといいます。
ただ保護者の意見との隔たりが大きい現実を見ると、市の姿勢は、自校式給食の廃止・センターへの統合を前提に、“保護者が納得できる環境づくりをすすめます”という回答が用意されているように聞こえます。保護者が望む「存続」という選択肢が見えてこないのです。
市は一路、センター式給食の道をすすんできました。しかし、老朽化で建て替えが必要な給食センターが出てくることを考えれば、あらためてセンターと自校給食のどちらが、教育にとって良いのか再検討することも必要なように思います。
保護者と市教委の意見交換がどのようにすすめられていくのか。今後とも注目しなければならないと思います。
同日付けの議員だよりには、7月8日の安保法案の廃案を求める市民集会も記事にしましたが、ブログとほぼ同様なので今回は割愛します。
校舎に流れる調理の香り・学校が子ども達の楽しみ
意欲引き出す自校式給食を存続求める声多数
川部小保護者と市教委の意見交換会を聴いて
意欲引き出す自校式給食を存続求める声多数
川部小保護者と市教委の意見交換会を聴いて
震災で被害を受けた勿来学校給食共同調理場(以下。給食センター)を移転・新築する工事が山田インダストリアルパークですすめられています。来年4月から稼働する予定ですが、これにともない、田人学校給食共同調理場と市内で唯一自校式給食を実施している川部小学校を給食センターに統合する考えをいわき市は持っています。9日に川部小学校の保護者と市教委の意見交換会が開かれたので、どのような意見交換になるのか、お話をうかがい、市教委の考えと保護者の要望には大きな隔たりを感じてきました。(伊藤浩之)
給食センターへの統合問題は、6月定例会の一般質問で取り上げていました。
この質問では、保護者や地域への説明、取引業者への対応、パート調理員への対応の問題などをただし、統合ありきではなく、地元や保護者の意向を反映するよう求めていました。
この質問の際、7月9日に川部小の保護者に説明会を開くと答弁されていましたので、実際に保護者の意見を伺うために会場を訪ねることにしました。
会場には30人ほどの保護者がいたでしょうか。
意見交換会の冒頭、市教委側からは、市が市行財政改革大綱に基づいて、これまで15校の自校式給食をセンター給食に移行してきた経過を説明しながら、「保護者のみなさんから忌憚(きたん)のないご意見を伺いたい」との発言がありました。
自校給食残しての声
これを受けて約15人の保護者が発言しましたが、全員が現行のまま自公給食を残してほしいという意見でした。また、同校のPTA会長は、事前の出席確認で、出席できない保護者約20人から「自校式を継続してほしい」という意見が寄せられていると紹介しました。その後の報道を見ると保護者のうち7割から回答があり、全てが「統合反対」とされています。この日、発言した保護者全員も自校式給食を残してほしいという意見です。
何より子どもが存続願う
ある保護者はこう発言しました。
「ここに(説明会に)来る時、子どもたちに反対してきてねと見送られました。子どもたちの意見を取り入れたオリジナルのメニューが出されるなど、子どもたちは給食を楽しみにしています。この子どもたちの意見を尊重して残していいただきたい」
子ども達は自校式の給食をとても楽しみにしており、何よりも子ども達が自校式の存続を望んでいるようです。
子どもの意欲引き出す
また、別の保護者はこういいます。
「校内に漂う調理の香り、おいしい給食で、学校にいくことが子どもたちの楽しみです。給食がやる気のきっかけになっていると思います」
子ども達の意欲を引き出す給食の教育への力が浮き彫りになります。別の保護者は次のようにいいます。
「入学前、好き嫌いの激しい子どもで、給食に対応できるのかと不安があり学校とも話しました。ところが、いざ学校に通い出すと、不安をよそになんでも完食するようになりました。給食が本人の自信につながっています」
「あまり食べなかった野菜を食べるようになり、子どもの健康につながっています」
食育が息づく学校
栄養の面からの必要性だけではなく、給食を通じて子ども達が学ぶことがあります。食育と言われます。
国は、栄養の偏りや食の不規則化、また伝統的な食が失われつつあるとの考えから、「生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむための食育を推進することが緊要な課題となっている」と食育基本法を制定しました。
食育がめざすものは、「食に関する適切な判断力を養い、生涯にわたって健全な食生活を実現することにより、国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成に資する」(第2条)と、「国民の食生活が、自然の恩恵の上に成り立っており、また、食に関わる人々の様々な活動に支えられていることについて、感謝の念や理解が深まる」(第3条)です。
保護者の意見を聞いていると、自校式の学校給食の川部小では、教育の現場にこの法律がめざす食育が息づいているように思えてきます。
実際に別の保護者はこう発言しました。
「子どもが残さず食べようと思うようになり、感謝の気持ちが育っています」
しかも別の保護者は、「休んだ子の分の給食を誰が食べるかを、子どもたちがじゃんけんで決めているそうです」
給食調理員たちが心をこめた給食を、争って食べる子どもたちの姿が目に浮かびます。
「川部小は手作り感の強い文化があります」とPTA会長が話していました。その背景を報道は、「初代給食室は地元の浄財で作られた」としています。また「自校式は川部小の魅力です」などと話す保護者もいました。
保護者の願いを活かすべき
こうした保護者の意見に対して、市教委のスタンスは、自校式給食の統合の方針を前提に、意見を交わしながら「着地点」を探りたいというもの。今回で意見交換は終わりにせず、今後も様々な形で意見交歓をしながら、合意できる点を探りたいといいます。
ただ保護者の意見との隔たりが大きい現実を見ると、市の姿勢は、自校式給食の廃止・センターへの統合を前提に、“保護者が納得できる環境づくりをすすめます”という回答が用意されているように聞こえます。保護者が望む「存続」という選択肢が見えてこないのです。
市は一路、センター式給食の道をすすんできました。しかし、老朽化で建て替えが必要な給食センターが出てくることを考えれば、あらためてセンターと自校給食のどちらが、教育にとって良いのか再検討することも必要なように思います。
保護者と市教委の意見交換がどのようにすすめられていくのか。今後とも注目しなければならないと思います。
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