伊藤浩之の春夏秋冬

いわき市遠野町に住む市議会議員。市政や市議会、日常の活動などを紹介していきます。

災害公営住宅の家賃抑制策をいわき市が公表

2019年01月22日 | 市政
 災害公営住宅の入居者で2年以上入居している被災者のうち、入居の条件となる収入基準を超えるいわゆる収入超過者は、高額な法定の近傍同種家賃を負担することになる。これに対して、本市は近傍同種家賃に引き上がる年限を引き延ばす経過措置をとることにしたが、あまりに高額な家賃に、団地住民などから軽減措置を求める声が上がり、昨年のいわき市議会2月定例会に「災害公営住宅の市独自の家賃減免制度をさらに充実させることを求める請願書」が提出されていた。

 請願の審議を付託された産業建設常任委員会では、2月定例会、6月定例会、9月定例会、11月定例会と4回開かれた委員会で「当局は、福島県の動向を注視しながら、その減免制度の内容について調査している」などとして継続審議としてきた。



 年が変わり、先頃、福島県が収入超過者を含む県の災害公営住宅の家賃抑制策を公表したが、この措置を踏まえ本市も災害公営住宅の家賃抑制策を改定することになった。

 改定は、収入超過者と政令月収が8万円以下の低額所得者それぞれに対応する。

 まず、収入超過者の近傍同種家賃は、建設コスト等をもとに算出するため、震災後に引き上がったコスト等の影響で非常に高い家賃となってしまう。
 このため、市はこれまでの措置の改定にあたって、震災前の法定近傍同種家賃を基準に収入超過者の家賃を計算することにし、これを「みなし近傍同種家賃」と呼ぶことにした。

 具体的には、市営住宅・船戸団地の住宅の住戸専用面積1平方メートル当たりの法定近傍同種家賃1,300円に住戸専用面積を乗じて、家賃の月額を算定することにした。

 この方式で算定すると、
久之浜東団地の戸建て3LDK(75.78㎡)の場合、抑制前の法定近傍同種家賃が177,400円であるのにたいし、みなし近傍同種家賃が98,500円となり、78,900円の減額となり、
豊間団地の集合住宅3LDK(73.99㎡)の場合、同じく116,600円が96,100円となり、20,500円の減額、
また、長崎団地の集合住宅3LDK(73.99㎡)の場合、同じく126,400円が96,100円となり、30,300円の減額となるという。

 法定近傍同種家賃が団地によってばらつきが出るのは、建設時期の違いによって建設コストに差が出ていることなどが影響している。

 軽減期間は、原則法定近傍同種家賃額は1年ごとに2,000円程度下がることから、法定近傍同種家賃額がみなし近傍同種家賃額と同額以下になるまでとするという。

 約19%の入居者が該当するとみられる。

 一方、低額所得者の家賃軽減策は、市が住宅の管理を開始した時から5年間で市の軽減策が終了し、国の減免率も段階的に引き下げられる。このことにより家賃額が上がっていくため生活への影響が大きく、家賃の抑制策を講じることにした。

 具体的には、国の減免率を5年間据え置いた後、5年間かけて段階的に本来の家賃に引き上げることにした。約63%の世帯が対象になるとみられる。

 政令月収が0円以下の1-①階層を例にとると、市と国の家賃軽減策で5,600円だった家賃が、管理開始後5年間で市の軽減策がなくなり国の減免額だけが適用される7,500円の家賃となり、この額で5年間経過した後、5年間かけて段階的に減免率が減り、5年目に本来家賃である24,500円となる。

 これらの家賃抑制策により家賃収入は約12億6,400万円減額するものと見込まれるという。

 収入超過者の家賃額は、ネット検索により3LDKのほぼ同じ面積の物件の家賃額と比較してみると、築年数や構造等による違いがあるものの、ほぼほぼ同程度か若干高め。復興土地区画整理事業など、ハード面での震災からの復興がほぼ終えた今、残された課題は、津波被災者等が元の暮らしを取り戻す暮らしの復興が課題になる。その時にこの家賃額は高めという印象があるが、被災者の声が市を動かしたことも間違いない。

 被災者の生活再建を考えた時に、市が今後、この課題にどのように取り組んでいくのか、議会側からの提案も大切な課題になる。市民の声にいっそう耳を澄まさねばならない。


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