雲のたまてばこ~ゆうすげびとに捧げる詩とひとりごと

窓の雨つぶのような、高原のヒグラシの声のような、青春の日々の大切な箱の中の詩を、ゆうすげびとに捧げます

天国への階段

2013年12月23日 | ポエム



 天国への階段


美術教室の道具棚の上に腰かけて
無口な君に代わって
流れるように語り続けるギター

長く黒い髪を揺らして
うつむき加減にギターを弾く君は
確かにとても輝いていた

児童公園にある小さな人工の山さえ
見ると登らずにはおれないきみは
高いところが大好きだった

君が初めて乗った飛行機の中で
眼下に見える山々の名を
ひとつ一つ僕に教えてくれた

まだ少年の心と面影を残した頃に分かれて
突然再会したときには
お互い家族がいたね

君は髪を短く切り、饒舌になっていた
でも話すのは子どものことばかりで
君自身のことには口を閉ざしたね

走り回る子ども達に囲まれ
君が手にした僕のギターで
僕が演奏をねだった曲

弾き方を教えてくれると言ったのに
約束を果たす前に
君は一人、天国への階段を昇った

工事現場の砂利の山さえ
見ると登らずにはおれない君は
とうとう君の大好きだった山々さえも越す
空の高みに昇ったんだね
(2012.1.26)

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