<新しい農のかたちより転載>
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2011年11月29日
【コラム☆】~F1種の危険性:ミツバチはなぜ消えたのか?~
こちらからお借りしました
以前「【コラム☆】~世界初のF1種をつくったのは日本人だった☆~」では、F1種とは何か、そしてどうやってF1種を作っているのかについて説明しました。
(もう読んで頂けましたか? )
実はF1種の作り方には以前紹介した除雄(じょゆう:雄しべを取り除くこと)以外にもいくつか方法があります。
それらのうち現在最も広く利用されているのが雄性不稔植物(葯(やく)や雄しべが退化し花粉が機能不全になった植物)を利用した方法です。
雄性不稔植物を利用することで、除雄=手作業時とは比べ物にならないくらい効率的にF1種を作り出すことが可能になるため、現在既に多くの野菜や果物が雄性不稔植物によりF1化され(=雄性不稔F1種)、市場に出回っています。
「効率的に野菜が作れるなら、万々歳だね 」とお思いになるかもしれません。
しかし雄性不稔の仕組みについて調べてみると、そうも言っていられない危険性を孕んでいることがわかってきました。
1.雄性不稔植物を使ったF1種の作り方
まず改めて簡単に用語のおさらいです。
F1種:異なる性質を持つタネを、人為的に掛け合せてつくった、雑種の一代目のこと。異種を掛け合せてつくるイイとこ取りの種です。
除雄:作物が自家受粉(自分の花粉で受精すること)しないように雄しべを手で取り除くことを言います。
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F1種は「雑種」であるため、自家受粉されては目的の雑種がつくれないため、除雄が必要になります。
雄性不稔:植物の葯(やく)や雄しべが退化し、花粉が機能的に不完全になることを言います。人間で言えば、男性側に原因のある不妊症と同じです。
冒頭でも述べたように、元々除雄は人の手で行っていたこともあり膨大な人件費がかかっていましたが、この雄性不稔植物を利用することで大幅な人件費削減が可能になりました。
薄利多売の農家にとってこれほどありがたいことは無いと、雄性不稔形質を受け継いだ種の需要が高まり、今では多くの野菜や植物に利用されています。
例えば・・・稲、玉ねぎ、人参、トウモロコシ、ネギ、大根、キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、白菜、シシトウ、ピーマン、ナス、オクラ、春菊、レタス、インゲン、テンサイ(砂糖の原料)など、ざっと挙げただけでも雄性不稔を利用した野菜はこれだけあります。
現在も研究はどんどん進められているため、近い将来ほぼ全てのものが雄性不稔植物を利用したF1種になっていくと考えられます。
2.そもそも雄性不稔植物はどのように生まれるのか?
とても便利な雄性不稔植物ですが、どのように生まれてくるのでしょうか?
ズバリそれは、突然変異によるミトコンドリア異常によって生まれてくるのです。
ミトコンドリアとは簡単に言えば、細胞のさまざまな活動に必要なエネルギーのほとんどを、直接あるいは間接的に供給する器官です。
この、生物にとって必要不可欠なミトコンドリアに異常をきたすことによって雄性不稔植物が生まれてくるのです。
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つまり、今私達が口にしているものの多くは、このようなミトコンドリアに異常のある野菜ということになります。
このような異常のあるものを食べて続けても体への影響は無いのでしょうか?
3.ミツバチはなぜ消えたのか
雄性不稔植物を口にすることが人体にどんな影響を与えるのか、実はまだまだ未解明です。
ただ未解明ではありますが、実はミツバチに関して気になる現象が起こっています。
<現象1>
2009年の日本農業新聞で「欧州ミツバチ報告 卵産まぬ女王が続々」という記事が。ヒマワリ、菜種、トウモロコシの単作農業地帯で産卵数が極度に少なくなる不妊症の女王バチが数多く見られた。※ミツバチは野菜を交配させる際の、花粉の運び役として世界各地で活用されている。
<現象2>
1960年代・2007年と世界各地の養蜂場から一夜にして蜂が大量に失踪するという現象が起きた。アメリカでは国全体の4分の1もの養蜂が一夜にして失踪した。
一方で、野生の蜂ではこうした現象は一切起こっておらず養蜂のみが大量に失踪した。
これらの原因についてはハチのエイズ説や携帯電話の電磁波説等を始めとして多くの仮説が立てられていますが、そのどれもがミツバチが巣を見捨てていなくなる原因には帰結せず、「複合的な原因」ということで犯人探しはストップしています。
しかし『タネが危ない』の著者である野口勲さんは、その著書の中でこれら現象の原因が雄性不稔野菜なのではないか、という仮説を立てられており、信憑性を感じさせるものになっています。
<仮説>
●ミツバチたちはミトコンドリア異常の蜜や花粉を集め、ローヤルゼリーにして次世代の女王バチの幼虫に与える。
●養蜂業者は一定の農家と契約しているはずだから、雄性不稔F1種子の受粉のために使われているミツバチは、世代が代わっても同じ季節には同じ採取農家の畑に行く。従って、この養蜂業者が所有するミツバチは代々雄性不稔の蜜と花粉を集めて次世代の女王バチと雄バチを育て続けていく。
●ミトコンドリア異常の餌(蜜)で育った女王バチは、世代を重ねるごとに異常ミトコンドリアの蓄積が多くなり、あるとき無精子症の雄バチを生む。
●巣の雄バチ全てが無精子症になっていることに気付いたメスの働きバチたちはパニックを起こし、巣の未来に絶望するとともに本能に基づく奉仕というアイデンティティを失い、集団で巣を見捨てて飛び去る。
これらは野口さんも著書で仰っている通り、仮説の域は出ませんが、逆に全く事実でないとも言い切れません。
むしろ、雄性不稔植物(やその蜜)という異常な作物を継続的に口にするということで生物に何の影響も無いと考える方が不自然でしょう。
もしミツバチへの影響が事実であるとすれば、このミツバチ同様に雄性不稔野菜を摂取している我々人間にも、影響が出る可能性は多分にあります。
昨今叫ばれている成人男性の精子数減少の原因について、農薬由来の環境ホルモンが主因であるという見方が一般的ですが、雄性不稔に原因がある可能性も十分に考えられるのではないでしょうか。
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4.自然の摂理を踏み外してしまった農の市場原理化
全ての生物は自然圧力を始めとする外圧に適応するために、様々な進化を遂げてきました。
その中でもとりわけ雌雄分化は生物が外圧に適応するための非常に重要な進化です。
雄性不稔植物とは、その重要な進化機能である性を持たない不完全適応態を人工的に作り出していることになります。(その意味で除雄を用いたF1種とは明確に異なります)
そして、そうした雄性不稔F1種の使用が自然界及び現実場面に何らかのひずみを生むことは想像に難くありません。
なぜならば、全ての生物は外圧適応という軸でつながっており、それらが複合的にバランスすることによって適応を実現しているからです。
環境ホルモンにせよ、雄性不稔F1種にせよ、「市場社会で儲けるためには(食べていくには)どうする?」という軸から生まれています。
そういう意味では、農家の皆さんが雄性不稔F1種に頼るのもある意味仕方の無いことだと言えます。
しかし農を市場原理(自由競争)に委ねた結果、このような安全とは言いきれない食品群が生み出されてきたということも事実です。
勿論、市場原理からの脱却の実現は決して容易ではありませんが、今重要なのは、「今後の農業の可能性はどこにあり、それを引き出していくためにはどうすればよいか?」という視点と、そのために事実を追求し自然の摂理を学んでいくことなのではないでしょうか。
参考:『タネが危ない』野口勲 著
<転載終わり>
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F1種とは人工的に自家受粉をさせずに、他の種類の雄しべの花粉を使って受粉させる方法です。最初にF1種を考えだしたのは、日本人だそうですが、今はアメリカのモンサント社などが広く行っています。日本の種メーカーであるサカタやタキイもほとんどF1種の種を販売していますし、農協でもF1種がほとんどです。
このF1種は確かに育てやすいし、均一の野菜ができます。誰が、どんな畑で育てても、大体上手く生育してくれますので、メリットはたくさんあります。スーパーやデパート、八百屋、直売所で売られている野菜の90%はF1種と言われています。F1種はとても便利な種なのですが、この記事にもあるように、無理やり自家のおしべを受粉できないようにさせていますので、それを食べ続けた場合に、影響が出る可能性があるそうです。
『昨今叫ばれている成人男性の精子数減少の原因について、農薬由来の環境ホルモンが主因であるという見方が一般的ですが、雄性不稔に原因がある可能性も十分に考えられるのではないでしょうか。』
上記のようにF1種の野菜を食べ続けると、人間の男性の精子が少なくなる可能性も指摘されています。(あくまで仮説ですが)
F1種の野菜は人体やミツバチなどに影響を及ぼす可能性が指摘されていますが、農家のなり手が減少し続けている現状では、工数をかけずに簡単に良い野菜が作れるため、プロの農家もほとんどF1を使うしかありません。農薬農法と同じで、就業数の少ない農家が、効率良く生産するにはF1に頼らざるを得ない面もあるように思います。そもそも農協でもコメリやカインズホームで販売されている種はほぼ100%F1種ですので、F1種以外を手に入れることが至難の業です。プロの農家がF1種を使っているのですから、私たちの口に入る野菜がF1種になるのは当たり前ですね。外国も日本と同じですからほとんどがF1です。つまり、世界中もうほぼ90%がF1ということです。
ひふみ農園では、佐々木了雲先生のご指導の下、極力F1種は使っていません。もちろん農薬や化学肥料は一切使っていません。(肥料はほとんど使っていません。)農協やホームセンターで販売されていない固定種の種は、野口種苗さんや高木農園さんで購入しています。価格はサカタやタキイとほぼ同額です。ネットで簡単に注文できますので、家庭菜園やプランター菜園をやられるのであれば、一度試したらよいかと思います。固定種の種の場合は、農地との相性がありますので、初年度は上手くいかないケースもあります。種を採取して、2年目、3年目になると農地と種の相性が良くなりますので、F1にはない味や特性を持つ野菜を育てることができます。
無農薬・無化学肥料の野菜は日本全体の0.2%しかありませんが、更にF1種でない固定種の野菜を手に入れるのは至難の業になります。無農薬・無化学肥料・固定種・硝酸態窒素無しの野菜は、木村秋則さんのグループかnicoの会、そしてひふみ農園で手に入れることができます。他にも手に入れるルートはあると思います。ひふみ赤城農園では、今はキャベツやブロッコリー、カリフラワーが旬です。ブロッコリーはスティックセニョールという種類ですので、茎も美味しくいただけます。先日の福島ツアーには、採れたてのキャベツを持っていったのですが、皆さんに柔らかくて瑞々しくて美味しいと言われました。ひふみ農園では野菜詰め合わせセットを日本弥栄の会の会員さん向けに販売していますが、「これが野菜の味ですね」、「昔の野菜の味を思い出した」、「野菜の甘さが何とも言えません」など喜びの声をいただいています。
来春からは福島の田村市にもひふみ農園がオープンします。また、まだ決定ではありませんが、兵庫の丹波篠山や岡山、千葉でもひふみ農園の準備が始まっています。日本弥栄の会を中心として、全国に広がりつつあります。また、ひふみ農法でのプランター菜園や家庭菜園をされている方は、全国に400人を超えました。これも嬉しいことです。先ずはプランターでもいいので実際にやってみれば、いろいろと体験ができます。失敗しても勉強だと思えば、よい経験になります。
ひふみ農園では農薬を使わないだけでなく、野菜を食べている虫を発見しても殺しません。プロの農家から見たら、アホとしか言いようがありませんが、長い目で見ると、実はこっちの方が得策なのです(笑)。虫に人間の気持ちが判るはずがないというのが普通ですが、実際は虫を駆除しなくなって半年くらいしてから、虫はいることはいますが、出荷に影響の出ない範囲でしか食いません。例えばキャベツにも青虫がいますが、周りの葉っぱは食いますが、人間が食べる丸い部分は食いません。ブロッコリーや白菜も葉っぱは少し食べますが、中は食べません。稀に虫のエサ専用になっているキャベツや白菜がありますが、それ1つだけが食われている状態です。上手く共生しているのです。虫は私たちの気持ちを判ってくれているように感じます。不思議なものです。農薬代や化学肥料代もかかりませんので、コストがほぼ0円です。縄文や江戸時代も同じようにやってたのでしょうね(笑)。
27日から奈良県の神社を廻って来ました。中矢代表が以前ツアーで行かれた飛鳥を中心に廻りました。卑弥呼の墓ではないかと推測されている箸墓古墳は、柵で囲われていて中に入れませんでしたので、柵の近くで「ひふみ祝詞」を奏上しました。また、12月10日に関西神社巡りサークル「チーム135」で行く予定の大神神社(おおみわじんじゃ)にも参拝しました。なかなかの神社でした。今日からまた忙しい日々が始まりますが、ハリキッてやりたいと思います。