天木直人氏はこのように言われています。
<以下転載>
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経済悪化を示す数字が連日新聞を賑わせている。今日23日付の新聞に目を通すだけでもざっとこうだ。
新日鉄過去最大の減産、君津高炉も休止へ
ソニー営業赤字2600億円
6大銀行 最終利益8割減
08年貿易黒字8割減
09年度マイナス2%成長
冷静に考えればとてつもない危機だ。消費税増税などを議論している場合ではない。早急に何らかの手を打たないと日本経済はこれからもっと深刻になる。国民生活は大変なことになる。
この日本の危機を1年前に警告し、自らの会社の社員と対応策を共有しようとした経営者がいた。ソフトウェア販売専門会社「アシスト」のビル・トッテン社長である。
彼は69年に米国企業から日本に派遣され、日本が好きになって日本で起業した米国ビジネスマンである。米国流のやりかたでは日本はダメになる、対米従属から脱却しなくてはいけない、と日本人に向けて発言し続けてきた米国人である。
そのトッテン氏が、その著書である「愛国者の流儀」(PHP)(08年3月発行)の中で次のように書いている。おりしも昨年末から日本では派遣切りが一大社会問題として急浮上してきた。雇用を守るための一つの方法としてワーキングシェアリングがにわかに論じられるようになった。この問題は、今後はますます深刻な問題として論じられていく事になろう。
今こそ日本の経営者はビル・トッテン氏の次の言葉に耳を傾けるべきだと思う。
『幸いにも我々の会社(アシスト)は経費を大幅に削減する必要に迫られていない。しかし日本経済を含む世界経済が、近い将来に大きく衰退する強い可能性があると信じる。そうなればアシストといえども影響を免れない。この認識を社員に伝え、その場合アシストとしてどう対応すべきか、社員に問いかけ、社員間で活発な意見交換を期待し、最善の方法を皆で考えていこうと、要旨次のようなメールを社員全員に送った。
「 ・・・これまでアシストは決してリストラをしてきませんでした。つまり経費削減のために社員を解雇することはなかったということです。これは常に私のポリシーでしたし、これからも私のポリシーであり続けるでしょう。
しかしこのポリシーが検証されることはありませんでした。なぜなら、アシストは生き残るため、または競争力を維持するために、劇的に経費を削減する必要に迫られることがこれまでなかったからです。私たちは幸運でした。
私は、日本経済を含め世界の経済はごく近いうちに劇的に衰退する非常に大きな可能性があると確信しています。もしそうなったら、アシストの主な顧客である日本の大企業を含め世界の大企業の(需要)は劇的に縮小し、アシストの収益も劇的に縮小します。
その時、いまと同じ給料で今と同じ数の社員を雇用し続ける事は不可能になります。言い換えると全社員の給料を大幅に削減するか、または雇用する社員の数を大きく減らすことを余儀なくされるのです・・・
そうなった時、特定社員の雇用を犠牲にして、残りの社員の給料を守る事は不正直なことなので、アシストの唯一の倫理的で正直な選択肢は、全社員の給料を同じ割合ずつ削減することでしょう(ここでいる社員とは、役員も含みますし、株主も含みます)・・・しかし、少ない収入は、健康や幸福も少なくなることを必ず意味しない。もし私たちが賢明に計画し、準備すれば、私たちは今よりずっと少ない収入で、同じか、もしかするとより健康に幸福でいられるかもしれないのです・・・」
このような考えを述べ、それを社員と共有し、ともに解決方法を求めようとした日本の経営者がその当時いたであろうか。今現れているだろうか。
トッテン氏はさらにその書の最後でこう問いかけている。
経済は、成長しなければいけないものだろうか。成長を唯一の目標とすることは、最終的に社会を機能不全にし、地球において人々が共存していく可能性を小さくする事にならないか。労働時間が短縮されたとしても、その事により家族と過ごす時間が増え、より健康になり、つまりは幸福な生き方、人間らしい生き方ができると、前向きに考えられないだろうか』と。
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アシスト社の社長のビルトッテン氏は、日本が大好きということで有名な経営者です。昨年末に仕事で、アシスト社に行きました。JR又は都営地下鉄「市谷駅」から3分くらいのところにあります。受付付近には、長年勤めたアシストの社員を会社が表彰している写真がズラリと並んでいました。奥さんと一緒に照れながら写っていました。普通の会社は、業界からの表彰状が額に入って、偉そうな感じで飾られていますが、アシスト社は長年会社に貢献してくれた社員の写真を飾ってあります。社員思いの会社なんだろうなと感じました。日本人以上に、日本の心を持つビル・トッテン氏は素晴らしい人だと思います。
<以下転載>
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経済悪化を示す数字が連日新聞を賑わせている。今日23日付の新聞に目を通すだけでもざっとこうだ。
新日鉄過去最大の減産、君津高炉も休止へ
ソニー営業赤字2600億円
6大銀行 最終利益8割減
08年貿易黒字8割減
09年度マイナス2%成長
冷静に考えればとてつもない危機だ。消費税増税などを議論している場合ではない。早急に何らかの手を打たないと日本経済はこれからもっと深刻になる。国民生活は大変なことになる。
この日本の危機を1年前に警告し、自らの会社の社員と対応策を共有しようとした経営者がいた。ソフトウェア販売専門会社「アシスト」のビル・トッテン社長である。
彼は69年に米国企業から日本に派遣され、日本が好きになって日本で起業した米国ビジネスマンである。米国流のやりかたでは日本はダメになる、対米従属から脱却しなくてはいけない、と日本人に向けて発言し続けてきた米国人である。
そのトッテン氏が、その著書である「愛国者の流儀」(PHP)(08年3月発行)の中で次のように書いている。おりしも昨年末から日本では派遣切りが一大社会問題として急浮上してきた。雇用を守るための一つの方法としてワーキングシェアリングがにわかに論じられるようになった。この問題は、今後はますます深刻な問題として論じられていく事になろう。
今こそ日本の経営者はビル・トッテン氏の次の言葉に耳を傾けるべきだと思う。
『幸いにも我々の会社(アシスト)は経費を大幅に削減する必要に迫られていない。しかし日本経済を含む世界経済が、近い将来に大きく衰退する強い可能性があると信じる。そうなればアシストといえども影響を免れない。この認識を社員に伝え、その場合アシストとしてどう対応すべきか、社員に問いかけ、社員間で活発な意見交換を期待し、最善の方法を皆で考えていこうと、要旨次のようなメールを社員全員に送った。
「 ・・・これまでアシストは決してリストラをしてきませんでした。つまり経費削減のために社員を解雇することはなかったということです。これは常に私のポリシーでしたし、これからも私のポリシーであり続けるでしょう。
しかしこのポリシーが検証されることはありませんでした。なぜなら、アシストは生き残るため、または競争力を維持するために、劇的に経費を削減する必要に迫られることがこれまでなかったからです。私たちは幸運でした。
私は、日本経済を含め世界の経済はごく近いうちに劇的に衰退する非常に大きな可能性があると確信しています。もしそうなったら、アシストの主な顧客である日本の大企業を含め世界の大企業の(需要)は劇的に縮小し、アシストの収益も劇的に縮小します。
その時、いまと同じ給料で今と同じ数の社員を雇用し続ける事は不可能になります。言い換えると全社員の給料を大幅に削減するか、または雇用する社員の数を大きく減らすことを余儀なくされるのです・・・
そうなった時、特定社員の雇用を犠牲にして、残りの社員の給料を守る事は不正直なことなので、アシストの唯一の倫理的で正直な選択肢は、全社員の給料を同じ割合ずつ削減することでしょう(ここでいる社員とは、役員も含みますし、株主も含みます)・・・しかし、少ない収入は、健康や幸福も少なくなることを必ず意味しない。もし私たちが賢明に計画し、準備すれば、私たちは今よりずっと少ない収入で、同じか、もしかするとより健康に幸福でいられるかもしれないのです・・・」
このような考えを述べ、それを社員と共有し、ともに解決方法を求めようとした日本の経営者がその当時いたであろうか。今現れているだろうか。
トッテン氏はさらにその書の最後でこう問いかけている。
経済は、成長しなければいけないものだろうか。成長を唯一の目標とすることは、最終的に社会を機能不全にし、地球において人々が共存していく可能性を小さくする事にならないか。労働時間が短縮されたとしても、その事により家族と過ごす時間が増え、より健康になり、つまりは幸福な生き方、人間らしい生き方ができると、前向きに考えられないだろうか』と。
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アシスト社の社長のビルトッテン氏は、日本が大好きということで有名な経営者です。昨年末に仕事で、アシスト社に行きました。JR又は都営地下鉄「市谷駅」から3分くらいのところにあります。受付付近には、長年勤めたアシストの社員を会社が表彰している写真がズラリと並んでいました。奥さんと一緒に照れながら写っていました。普通の会社は、業界からの表彰状が額に入って、偉そうな感じで飾られていますが、アシスト社は長年会社に貢献してくれた社員の写真を飾ってあります。社員思いの会社なんだろうなと感じました。日本人以上に、日本の心を持つビル・トッテン氏は素晴らしい人だと思います。