<niftyニュースより転載>
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本当は危ない「国産農産物」
野菜の解説書が売れ、野菜ソムリエや野菜専門レストランが注目されるなど、健康志向を反映して、世は「安全な農作物」の大ブーム。スーパーでも、生産者の顔写真をつけ「産地直送」「国産」の文字が躍る。中国産冷凍ほうれん草の残留農薬と毒ギョーザ事件が衝撃を与えてからは、「国産安全神話」は強まるばかりだ。
だが本当に「国産なら安全」なのか。イメージ先行のブームの裏で、日本の野菜にはとんでもないことが起きていた。
「いま日本の野菜の多くからは、本来含まれるはずの栄養素が激減しています。形はきれいに整っていても、中身はからっぽの農産物も多いのです」
そう語るのは農業研究者で『野菜が壊れる』(集英社新書)などの著書をもつ新留勝行氏。「日本食品標準成分表」の調査を見ても、栄養価の減少は驚くべきものだ。
例えば100g当たりに含まれるビタミンCは、この50年の間にキャベツでは半減、にんじんや春菊で3分の1に、ほうれん草ではなんと、1950年の150㎎から2000年は40㎎と、4分の1に激減している。
ミネラルや鉄分の減り方はもっと激しく、ほうれん草も春菊も、今や50年間前のわずか1割ほどしか含まれていない。にら、わけぎに至ってはさらに減っている。いくら健康を気にして野菜を食べても、その中身がこれでは、何の意味もないではないか。
なぜこうなったのか。新留氏は、第一の理由に「土が変わったこと」を挙げる。
「戦後使われてきた化学肥料は、窒素分を土に与え、これを作物の根に吸収させて、どんどん育てることに優れていました。ところが化学肥料の一部の成分は、植物の根が本来ならば土中に広げるはずの根毛を焼ききってしまう。実は鉄分やビタミンは、この根毛から根に吸収されます。見た目は立派な今の野菜に鉄分やビタミンなどの栄養素が少ないのは、当然の結果でしょう」
栄養価が減った一方、有害な成分は増えているという。
「きゅうり、レタスやセロリに苦味を感じたり、メロンや桃で舌がピリッとしたことはないでしょうか。じゃがいもを半分に切ると皮の内側に黒っぽい環があったことは? 昔の野菜にこんなことはありませんでした。私は化学肥料と農薬の使いすぎから来ていると考えています」
化学肥料の弊害の中でも、新留氏がとくに問題視するのが、「硝酸態窒素」である。「牛が青草を食べると死ぬ」現象が「牛のポックリ病」として多発したときにその原因といわれ、欧米では、離乳食のほうれん草を食べた乳児が顔を真っ青にして突然死する「ブルーベビー症候群」への関与が指摘されている。
「植物が土中から窒素を吸収したとき生成し、本来は光合成の過程で分解されるもの。しかし分解されずに、一般に売られている野菜から1㎏あたり数千㎎単位で検出されている。原因にはさまざまな説がありますが、私は化学肥料の使いすぎだと思っています。
危険性の認識も日本は欧米に比べて非常に甘い。1日摂取許容量の基準値さえないほどです。農水省のHPには、ピーマンの肉詰めやロールキャベツの肉がピンク色になる現象を、野菜に含まれる硝酸塩のせいと説明している。ならばそれが発ガン性物質であることも明記するべきでしょう」(新留氏)
さらに驚くのは、農薬の使用量だ。中国産野菜に「農薬の使いすぎ」が、米国産じゃがいもでは「ポストハーベスト農薬」が、かつてさんざん騒がれたが、実は耕地面積あたりの農薬使用量で世界第一位なのは、ほかならぬ日本なのである(図参照)。
かつて農機具メーカー営業マンとして全国の田畑を回った新留さんは、個別の農家の事情も知っている。
「農薬の注意書きには、使い方や希釈倍数などびっしり書かれていますが、細かい文字に全て目を通すことなどできるものではありません。それに病害虫は少しずつ抵抗力をつけるので、作物に薬害が出ないかぎりは次第に多めに使うようになり、規定量の3~4倍は使うという農家も少なくないのです。
皮肉な話ですが、農薬に関しては、中国の野菜の方が『安全で安心』かもしれない。農薬はまだまだ高いですから、貧しい農家は使えず、昔ながらのやり方で作っているケースがありますからね」(新留氏)
リサイクル信仰が生んだニセモノの有機野菜
「毒菜」といわれた中国産より「国産」の方が危険かもしれないとは衝撃的だ。では、有機野菜はどうだろうか。「無農薬」「オーガニック」「自然農法」などの宣伝文句付きで、全国のスーパーにコーナーができるほど脚光を浴びている。
しかし、ここにも落とし穴があった。「間違った有機栽培で作られた有機野菜には危険がいっぱいです」というのは、現役の施肥技術指導員である松下一郎氏だ。著書『本当は危ない有機野菜』(徳間書店)、『野菜畑のウラ側』(ゴマブックス)などで、ゆき過ぎた「有機信仰」のウソを指摘してきた。
「野菜ブームなのか、テレビ報道でも、有機栽培の畑を訪ねたレポーターが、土のついた大根をその場でかじり、『甘いですね~』などと感動している映像をよく見かけますが、心配になりますね。その土に何が肥料として使われ、その結果何が入っているのか、本当に知っているのでしょうか」
安心といわれて使われるたい肥の原料の多くは、生ゴミや家畜フン尿だ。「自然」だからこそ、そこには感染症を引き起こす菌や細菌、寄生虫が存在する可能性が高い。
食の安全とエコブームに乗ってか、国の施策の後押しもあり、農の現場では今、こうした種類のたい肥使用が日常化している。そのような有機農業を松下氏は「有機リサイクル農業」と呼び、本来の伝統的な有機農業とはっきり区別して見るべきだと指摘する。
「現場を回っていると、異臭がする畑があります。減反田を転換したような水はけの悪い畑に大量の有機物を入れたため、硫化水素やメタンが発生して臭っているのです。行政が推進し、昨今よく出回っている生ゴミや家畜フン由来のリサイクルたい肥には、発酵が十分でないものや塩分が強いなど、問題のあるものも結構あります」(松下氏)
発酵が十分でも心配は残る。大型畜産では、輸入される穀物が与えられているからだ。この穀物主体の飼料に混ぜられる防カビ剤や抗生物質が問題となる。また、家畜の成長に必要な重金属があり、エサに添加される。こうして取り込んだ重金属や成長過程で投与された化学物質等は家畜の体内で濃縮されてフンに出るが、それがたい肥化されることで、さらに濃縮されるのだ。
しかし日本はなぜか、自国農産物の重金属汚染に鈍感なのだという。
「カドミウム含有量が国際基準を超えているコメでも、日本では市場に出回っています。日本の基準値は、国際基準よりゆるいのです」(松下氏)
家畜の体を経由して野菜畑に届くのは、重金属のほかに農薬、細菌やウイルスもある。 農業用のたい肥から、日本では登録も使用もされていないはずの除草剤成分が検出されたこともある。くだんの除草剤を撒かれた牧草が輸入され、牛が食べてフンをし、それがたい肥に残留したとみられている。
「リサイクルやエコロジー、オーガニックなどのイメージと現実との間にギャップがありすぎる。たとえば、有機JAS栽培でも、天然に存在する無機肥料や30種類の農薬の使用が認められていることを大概の消費者は知りません。今後は栽培法や産地履歴より、生産物そのものの抜き取り検査や、田畑の土壌の科学的な検査と情報公開を進めるべきです」(松下氏)
健康ブームが添加物を増やしている
もう1つ、盲点となるのが加工された野菜だ。毒ギョーザ事件以後、冷凍野菜やカット野菜のパッケージにも「国産」が売り文句のように大々的に表示されるようになったが、これが〝安心の印〟でないことは生鮮野菜と同じである。しかも、先に国産の問題としてあげた肥料や農薬に加え、別の問題が浮上する。
「見た目がきれいで便利な野菜や食品ほど、農薬や添加物は増える。単純な話です」
そういうのは『食品の裏側』(東洋経済新報社)、『なにを食べたらいいの?』(新潮社)で食品現場のの実態を伝える安部司氏だ。
ブームの「マクロビオティク」では、根菜が体にいいといわれているが、手のかかる野菜の煮物を家庭で作ろうとしたとき、頼りになるのが皮をむいた加工野菜だ。
「『筑前煮セット』『きんぴらごぼうセット』のようなカット野菜には当然、添加物が入る。変色防止に酸化防止剤が5~6種、素材の食感を残して液が濁らぬよう、リン酸塩も入れるでしょう」
サラダ用カット野菜やパックサラダは刻む手間も省けるし、切り口がいつまでもしなびず、長持ちすると人気だ。
「カット野菜やパックサラダの消毒現場は、それはすさまじいものですよ。殺菌剤のプールにカットした野菜を何度も漬け、食べたときのシャキシャキ感を出すためにさらにPH調整剤のプールに漬けたりもします。普通の人なら、一度見たら絶対食べたくないと思う光景でしょうね」(安部氏)
健康・安心のイメージが先行しすぎて、逆に間違った食品が横行してしまうという点では、安部氏も同意見だ。
「塩分の取りすぎがよくないといって、減塩梅干が増えていますが、塩を減らせばそのかわりに保存料や酸化防止剤が必要になる。本末転倒です。
輸入食品には添加物が多いといいますが、それも日本が仕向けている面もあります。日本に輸出するための加工基準といったら、ばかばかしいぐらいです。魚のサイズや切り身のグラム数を揃えろ、この薬剤で殺菌しろとか、細かくてうるさい。
インドネシアで、日本向けの水産加工品は作りたくないという人がいました。添加物を使って手が荒れるからです。ベトナムの食品工場では、『日本人は食べ物にどうしてこんなに薬をいっぱい入れさせるのですか』『中国向けの作業場に行かせてください。あそこは塩を使うだけでいいですから』という声もあったそうです。
農産物でも、野菜を買いつける日本の商社の要求どおりの色や形、大きさに揃えるために、農薬が必要になると訴える声は多い。そんな現地の声も知らずに『輸入野菜は危険だ』というのはおかしいのではないでしょうか」(安部氏)
安全・安心な農産物を求める気持ちは、生産者も消費者も同じ。必要なのは、正しい知識を得るための情報開示であると、前出の新留氏は指摘する。
「個々の農家や農協、行政の人々も、皆その時々でよかれと思って現在の農業を作ってきた。しかし、さまざまな問題が見えてきた今、情報を共有し、これまでの制度を見直す必要があります。本当に信頼できる国産農産物を作る基盤作りが急がれます」
<転載終わり>
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耕作面積当たりの農薬の使用料は、20年以上に亘りダントツで日本が世界一です。2位が韓国、3位がオランダです。中国が農薬を世界一使っているイメージがありますが、中国の農村部はまだまだ貧しいので農薬をあまり買えないそうです。ですから平均で見れば、日本の方が余ほど農薬を使用しているということです。
日本のユーザは形などの外見に拘るので、どうしても日本の農家は農薬を使う量が増えてしまいます。綺麗に形が揃ったキュウリやトマトこそ、不自然なのですが、F1種の種と化学肥料、農薬を使うことにより、形がそろった見た目が綺麗な野菜を作ることができます。ユーザの需要に生産者は合わせますので、一概に農家が悪いとはいえないと思います。
日本では化学肥料の使用料も多いのですが、そもそも化学肥料を散布すると虫が寄って来ます。化学肥料が虫の好物ですので、当然多くの虫が野菜に付きます。ですから、化学肥料を与えなければ、虫に食われません。それ程難しいことはないのです。ひふみ農園では化学肥料だけでなく、有機の肥料もこの一年は与えていませんので、虫にはあまり食われません。キャベツや小松菜などは少し食われることもありますが、一番外側の葉っぱだけ食うので、人間が食べる部分は全く問題ありません。ただ、出荷する際に青虫が付いていることはあります。
面白いもので、肥料を与えなければ、虫に食われないのです。更に、ひふみ農園では、野菜が病気に一度もかかったことはありません。種が古くて、発芽状況が悪いというトラブルはありますが、野菜が病気になることはありません。農薬は劇薬ですので、野菜に散布すれば当然野菜は弱くなります。弱くなった野菜は病気にかかり易くなるわけです。しかもひふみ農園では、化学肥料と農薬代がかかりませんので、安上がりです。そもそも江戸時代までは世界中、無農薬栽培だったのですから、やってできないことはないのです。農薬と化学肥料が無いと栽培できないと思い込んでる農家はとても多いです。
また、「有機野菜」ということばは、とても面白いです。有機栽培で育てられたトマトといえば、誰でも無農薬栽培だと思いますが、実は国が許可した一部の農薬は使ってもいいことになっています。有機野菜の90%以上は、実は農薬が使われていると言われています。これもヘンな話しですね。非常に紛らわしくしてあります。
先日東京の有名な自然食品店に行きました。そこの野菜の表示を見ると、有機栽培と記載されています。95%くらいの野菜が有機栽培と書かれていました。その中で、カブだけに、「農薬不使用」という表示があったのです。つまりカブ以外の有機栽培と書かれている野菜は、農薬が使用されているということになります。有機栽培=無農薬栽培ではないということです。この表示方法が非常に紛らわしくされています。そもそもJAS規格には、「無農薬栽培」という言葉はありません。消費者としては、「無農薬」かどうかを知りたいのに、「有機」という言葉を使って、解らなくさせているわけです。何ともセコイ話しです。
ですから、木村秋則さんの言われる無農薬・無肥料栽培が一番分かり易くていいのです。麦芽100%のモルツやエビスビールがいいのと同じようなもんです。怪しいヘンなモノは何も入れてないというのが、一番解り易くていいのです。ひふみ農園では、無農薬・無肥料で栽培しています。木村秋則さんと違うところは、土を作るのに3年も5年もかけてられないので、スーパー活緑という福島産のゼオライト(岩石)を100坪当たり10kg入れています。
昨日は今年初めてキュウリを出荷しました。まだ土が良くなってはいませんが、そこそこ美味しいキュウリができました。トマトやピーマンもあと少しで出荷です。今のところ、何の病気もせずに、元気に育ってくれています。肥料も無しですが、とても頑張ってくれています。ありがたいことです。