今年も残すところ、あとわずかですね。
いろいろなことのあった一年ですが、日本も世界も大きく動いていることが分かります。まさに歴史の大転換に生きていることを実感します。
先月、ひふみ友の会の古代史探訪に参加しました。関西や関東の友の会会員さんたちと共に、奈良県の淡山神社や藤原不比等の墓、石舞台古墳、高松塚古墳、キトラ古墳、橿原神宮などに行きました。
散策している途中、横浜から来ていた方から、グルテンフリーを実践していると聞きました。グルテンフリーとは、小麦などの麦類を食さないことです。グルテンフリーをはじめて、1ヶ月もしないうちに、便秘が改善され、疲れにくくなったと喜んでいました。そこで、グルテンフリーについて調べてみることにしました。
プロテニスプレーヤーのジョコビッチ選手をはじめ、女優の長澤まさみさん、ディーン・フジオカさん、ローラさん、優木まおみさんなど多くの有名人もグルテンフリーを実践していることが分かりました。
ATP男子シングルス世界ランキングで、4年間1位であったジョコビッチ選手の次の言葉が印象的です。
『体重が約5キロ落ち、かつてなく強靭になり、子供時代から振り返っても1番の健康体になった。そして、生涯の目標だった2つのゴールに到達した。ウィンブルドン優勝と世界ランキング1位だ。わずか18ヶ月で、私をただの「そこそこ良い選手」から「世界最高の選手」に生まれ変わらせたのは、新しい食事だった。私の人生が大きく変わったのは、体にあった正しい食事を始め、体が求めている通りに従ったからだ。』
ジョコビッチ選手のようにグルテンフリーの食事に変えただけで、絶大な効果が出ているケースも多いそうです。ただ、5,000年ほど前から人類が食してきた麦類を止めただけで、なぜ体調が改善されるのでしょうか? 確かに肉類や砂糖を止めると、体調が改善されますが、麦類も同じなのでしょうか。
そこで、グルテンフリーについて書かれている書籍を3冊読んでみました。『2週間で体が変わる グルテンフリー健康法(溝口 徹著)』『小麦は食べるな!(Dr.ウィリアム・デイビス著)』『長生きしたけりゃ パンは食べるな(フォーブス 弥生著)』
3冊の書籍を読んでみると、小麦の問題はその誕生の経緯にあることが分かりました。
メキシコシティの東に設置された国際トウモロコシ・小麦改良センター(IMWIC)は、1943年にロックフェラー財団とメキシコ政府の協力のもとでスタートしました。IMWICでは、小麦の交配による品種改良に取り組むことになりました。
当初の小麦は、大量の肥料を与えると、小麦の先端に巨大な種子が実ることが分かりました。ただ、先端が重いため、倒れてしまいました。
その後、遺伝子学者であるノーマン・ボーローグ博士が、品種改良を重ねることにより、茎が太くて短い小麦の開発に成功しました。この品種は、茎が短いため、多くの実をつけても倒れません。しかも短期間で成長し、収穫することができます。この小麦は収穫量が膨大なため、米国をはじめ世界中に広まりました。当時飢餓に襲われていたインドやパキスタン、中国、コロンビアなどの諸国にも迎えられました。その結果、中国では小麦の生産量が8倍に拡大し、食料事情の改善に大きく貢献したことは事実です。
この小麦は、収穫量が飛躍的に増大するだけでなく、病気にも強く、農薬や殺虫剤の抵抗力も増し、冷害や干ばつの耐性も高いという夢のような小麦なのです。農家が飛びつくのも当然といえます。
この小麦の交配品種により、ボーローグ博士は、「グリーン革命の父」と呼ばれ、1970年にノーベル平和賞を受賞しました。
カンザス州立大学の小麦育種学教授のアラン・フリッツ博士によれば、ボーローグ博士の開発した小麦は、世界中で栽培されている小麦の99%以上を占めているとのことです。つまり日本でもこの品種が多く栽培されているということになります。
この奇跡の小麦が登場するまでに、IMWICでは数百回の交配が行われたそうです。その結果、数百種という膨大な新品種の小麦が作られ、市販食品として販売されてきました。
ところが、数百回もの交配等の遺伝子変化が加えられたにもかかわらず、人体への安全性テストはまったく行われないまま販売されてきたのです。
交配した新品種の小麦から発現したたんぱく質を、二つの親の品種と比較すると、子にあたる新品種のたんぱく質の95%は親と同じですが、残りの5%は二つの親のいずれとも異なるという結果が出ました。特に小麦のたんぱく質であるグルテンは、交配により大幅に構造が変化したのです。
交配は遺伝子組み換え技術ほどの精度はありませんが、研究者が気づかずに、目的の効果とは関連のない遺伝子のスイッチをONにしたり、OFFにしたりした可能性があります。こうして生み出された特異な性質は、現在でもすべてが明らかになっているわけでもありません。したがって、人間に望ましくない影響を及ぼしかねない小麦の変容は、遺伝子組み換え以前に行われた品種改良の結果なのです。
このことから、精白されていない全粒粉であっても、元の小麦自体に異常があるため、安全とはいえないことが分かります。
さらに、農薬の問題もあります。日本は小麦の消費量の85%を輸入に頼っていますが、輸入された小麦には、ポストハーベストという通常畑で使用される農薬の100倍~数百倍濃い濃度の農薬が散布されています。これではパンにカビが生えないワケですね(輸入された大豆、トウモロコシ、ジャガイモ、カボチャ、オレンジ、レモン、バナナなどにも散布されています)。
ここで、交配による品種改良と遺伝子組み換えの違いを述べたいと思います。品種改良とは特徴を持った同じ種のもの同士を交配し、その長所を持った品種をつくることを言います。例えば、寒さに強いが虫に弱い小麦と 寒さに弱いが虫に強い小麦を掛け合わせて、寒さに強く虫にも強い小麦を作るのが品種改良です。
遺伝子組み換えは、他の種からその特徴を持った遺伝子を組み換えることです。例えば、寒さに弱いが虫に強い小麦に、寒さに強いシロクマの遺伝子を組み込むことで、虫に強く寒さにも強い小麦を作る技術です。遺伝子のスイッチをONにしたり、OFFにしたりという観点では、交配と遺伝子組み換えは同じだといえます。
遺伝子組み換えの危険性については、誰もが認識していますが、交配による品種改良は安全であると大多数の人は考えているのではないでしょうか。50年にわたり数百回もの交配を繰り返せば、遺伝子組み換えと同様な危険性があるということになります。現在の小麦は、交配のやり過ぎで、古代の小麦とはまったく違った植物に改変されてしまったのです。何でもやり過ぎは良くないという典型ですね。
50年にわたる交配の結果、古代の小麦とはまったく別物になってしまった現在の小麦。その小麦の摂取を止めた方の効果をご紹介したいと思います。
・肌の乾燥が改善
・むくみがとれる
・寝起きがよくなる
・疲れにくくなる
・腸の調子がよくなる
早ければ1週間でこのような効果が現れる方もいますので、やってみてもいいかもしれません。