<塚澤健二氏ブログより転載>
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昨日、『先日も関電が赤字となり、『61年振りの無配転落』を発表しましたが、パナソニックも1950年5月期以来、63年振りに無配転落に陥ったことで、関電の無配が原子力問題だけからくるものではないことが証明されました。
2つの大企業の約60年振りの無配転落は、日本の大企業、いや日本全体が戦後の『焼け野原』の時期に逆戻りしていることを示しています。
拙書『そして大恐慌が仕組まれる』でも、1950年~64年の『創業サイクル』が2010年から始まっている(P27)と指摘しましたが、まさにそれを象徴する事象と言えるのではないでしょうか?
これからもこのような大企業が増えてくることは間違いなく、創業時代のソニー、ホンダのような将来の大企業となるベンチャー企業が勃興してくることが待たれます。』と指摘しました。
本日も日本全体が戦後の『焼け野原』の時期に逆戻りしていることを示す記事が報道されています。
それは『「軽」のシェア今年最高に~34%~35%』です。
『乗用車の新車販売に占める軽自動車のシェアが2012年に過去25年で最高を更新する見通しだ。1~10月の販売台数は約135万台で全体の34%。燃費性能など優れた新型車の投入に9月までのエコカー補助金が重なり、前年比1.7ポイント上昇した。12年通年でも34~35%のシェアを維持しそう。』
記事では燃費向上や補助金が軽自動車の販売を押し上げたと分析していますが、本当の理由は、高級車が買えなくなっただけではないでしょうか?「軽」のシェアが50%を超える日もそう遠くはないのではないでしょう?
12/10/02『「発展途上国化」する日本』のT-Modelコラムで指摘しましたが、世の中は益々戦後の『焼け野原』の時期に逆戻りしてきています。ただ、こんな状況に直面しても変わらないのは『日本は先進国』「大企業だから大丈夫」という人々の意識です。近い将来、『日本は先進国』との意識を否が応でも変えさせられる「こんなはずではなかった」と思う出来事が近づいていることに早く気づかなければなりません。その意味でも、長文ですがもう一度、このT-Modelコラムを掲載したいと思います。
『日本自動車販売協会連合会が10月1日発表した9月国内新車販売台数(軽自動車を除く)は、前年比-8.8%減の28万8478台となり、13か月ぶりに前年同月の水準を下回ると同時に、9月としては35年振りの30万台割れとなっている。一方、全国軽自動車協会連合会が1日発表した軽自動車の販売台数は+6.6%増の15万8208台で、特に「NBOX」が好調なホンダは前年同月比2.2倍の2万7173台。
エコカー補助金が9月21日に終了し、「需要の先食い」による反動減が発生し始めたことが原因とみられているが、軽自動車比率が35%を超えている現状は、日本人が高級車よりも軽自動車へ、軽自動車よりもバイクへ、バイクよりも自転車へ、と価格の安い移動手段しか買えなくなり、「発展途上国」へ逆戻りしていることを示している。
11/09/26『トヨタ初の軽進出と「発展途上国化」する日本』のT-Modelコラムにおいて、
『日米両市場で新車販売が低迷する中、トヨタが26日から初の軽自動車販売に踏み切る。
ワゴン型の「ピクシス スペース」で価格は112万円から。子会社のダイハツが「ムーヴコンテ」をベースに供給する。トヨタは「軽しか売れない地域がある。まずはこうした顧客を取り込みたい」としているが、軽といえば子会社ダイハツの主力車種。デフレ不況が長期化する中で、若者らのクルマ離れ、中高年の普通車から軽へのシフトがどんどん進んでいるのが背景。新車販売に占める軽の比率は、01年に31%→11年(1~8月累計)37%にまで上昇。ホンダも国内販売台数の軽の割合を現在25%(11年)から5年以内に40%にまで高める目標を掲げている。
とうとうここまで来たかとの印象を受ける今回のニュース。一つは、トヨタでさえも軽に進出しなければやっていけないところまで追い込まれたのか?ということ。もう一つは、日本がどんどん戦後の焼け野原の世界に逆戻りしていること。
09年1月30日『発展途上国化日本と電動自転車』のT-Modelコラムにおいて、
『08年電動アシスト自転車が原付バイク抜く。電動自転車人気の火をつけ役はガソリン価格高騰。価格10万円、電池充電時間の大幅短縮など性能も向上も後押し。逆に、原付バイクは駐車場コストに新排ガス規制導入でNOxなど排出規制対策で2万~3万円値上げ。廉価モデルで13万~14万円と電動自転車との価格差拡大。都市部の「生活の足」主役交代を促進。
だが、本当の理由は「発展途上国化」日本。07年9月全国自動車保有台数が7968万2171台ピークに戦後初の減少も自転車→バイク→自動車→高級車の成長モデル逆回転の現象。産業構造の転換迫る先進国日本の終焉?』と指摘。このニュースはまさに「発展途上国化」する日本の象徴的なニュース。
トヨタの株価は07年2月8350円の上場来高値から直近では11年初来安値2570円まで7割近く下落。同期間のTOPIX下落率6割弱を上回るのは円高だけが原因だろうか?トヨタが下した今回の決断は産業構造の転換を示す象徴であり、今後、あらゆる分野の企業が同様の状況に追い込まれることを示唆する。それは産業構造だけにとどまらず社会構造まで波及することで、時代は急速に戦後の世界への巻き戻しが起こっている。』と指摘した。
まさに日本の基幹産業だった電機、自動車が衰退産業へと進んでいることを示しているが、T-Modelが独自に算出している日本の「経済体温」も現在、70年以降、過去最低だった74年11月69度を更新して56度まで冷え切っている。今回の「35年振り30万台割れ」報道はそれを証明する象徴的なニュースと言えるだろう。
日本の生活水準は35年前、つまり2度のオイル・ショックで苦しんでいた1970年代に逆戻りしているわけだが、このまま放っておけば経済体温が示すように1960年はおろか、戦後の焼け野原の世の中に逆戻りし続けることは間違いない。未来に進むどころか過去へ、過去へと引きずり戻されているのが日本の現状である。
これを誰が、いつ止められるのだろうか?それにはこの「仕組まれた」現実を国民一人一人が早く気付くと同時に、ドラマ『リッチマン、プアウーマン』のメッセージだった『今にない未来は自分で創る』『変化を楽しめる人間こそが未来を作る』という意識を共有しなければいけない。誰かが止めてくれると頼るのではなく、各々が自分達が止めるという強い意志を持たなければ日本には本当の未来は来ないのではないだろうか?』
<転載終わり>
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塚澤氏は日本の産業構造だけでなく社会構造も大きく変化してきていると言われています。そして戦後の焼け野原の世の中に戻っているとショッキングな指摘をされています。今年の1月に「そして大恐慌が仕組まれる」を読みましたが、まさに塚澤氏の指摘通りの動きになって来ています。
普通は不景気だからこんなもんだろうと思うに違いありません。確かに、今のままで止まってくれればたいして問題にはなりませんが、戦後の焼け野原の社会に逆戻りしている最中ということだと話しは違ってきます。
塚澤氏はトヨタの株の70%下落や、電動自転車がバイクの販売台数を抜いたことだけで戦後の焼け野原に戻っていると言われているわけではありません。塚澤氏が開発したT-Modelという経済分析方法を使って現状を分析すると、戦後の焼け野原の世の中に向かっているという結果が出たということになります。
私は3月から塚澤氏の発行する『生活防衛の教室』を購読していますが、かなりの精度で塚澤氏の予測通りの結果になっています。こちらに関心のある方は株式会社船井経営研究会のサイトを見てください。TOPページに生活防衛の教室があります。これはWebから毎週の動向と予測を伝えてくれるものですが、株式投資にやや特化している傾向がありますので、サンプルを見て、判断するのがいいと思います。
それにしても戦後の焼け野原の世の中に逆戻りしているということは、食べることにも不自由し、住む家も今の家ほど快適ではなく、会社も営業不能になっているいという状況です。塚澤氏の予測を聞き、日月神示にある「一握りの米に泣くことあるぞ」「あなぐらに住まなならん」という言葉を思い出しました。食べ物は少しでもいいですが、できれば穴蔵には住みたくないですが。パナソニックも既に3万人もリストラしました。NECでもなかなかすごいリストラがあったようです。今までは会社に行っていれば給料がもらえるのが当たり前でしたが、これからは大企業でもリストラや倒産になる時代です。40代や50代でリストラされれば再就職もそう簡単にはできません。
最後に塚澤氏が言われている言葉が、今後は誰でも必要になって来るのかも知れません。
『今にない未来は自分で創る』『変化を楽しめる人間こそが未来を作る』という意識を共有しなければいけない。誰かが止めてくれると頼るのではなく、各々が自分達が止めるという強い意志を持たなければ日本には本当の未来は来ないのではないだろうか?』