「庄内衆はよう、イタドリも食うんだと。イタドリだぜえ!」
「あの固いイタドリば食うのか。たまげたもんだ!」
内陸衆の会話である。
島国根性の日本人と揶揄されることが多々あるが、そんな中でも『陸の孤島』と言ってよい山形県民には、独特の文化と変なプライドとが混在している。詳しく語り始めると、文化人類学みたいになりそうなんで、ここでは割愛。
そんな山形の中にも、文化の分断が存在していることが、上の会話から読み取れるのではないだろうか(何てったって、豚肉で芋煮会をするなんて許せん!)。
さて、しかしですな、ここは、心を入れ替えて・・・。
庄内衆もすなるイタドリ料理といふもの、マタギもしてみんとてするなり。
はっきり言って、どこにでも生えてるんです
希少価値は、全くなし。でもね、朝日を浴びたイタドリの新芽からは、オーラが湧き出していて、何だか無性に食欲をそそられてしまったわけなんですよ。
未だかつて食べたことのない山菜だけど、時々、『美味しく戴きました』みたいな文章に出逢うことがある。やっぱり、島国根性をかなぐり捨てて試してみる必要があるんじゃないかな。それでも、不味かったら仕方がない・・・。逆に、美味しいことが分かれば儲けものってもんだ。
帰宅してから、いろいろと調理方法を調べてみたけれど、どうもイタドリ料理の場合、『酸味を楽しむ』タイプと『酸味を抜いて楽しむ』タイプとがあるらしいことが分かった。
どちらも、なんとなく想像がつくんだけど、マタギとしましては、『酸味を抜いて楽しむ』方が初回としては良さそうな気がするので、そちらに挑戦してみることにしました。参考にしたのは、『マミヤ』さんのレシピです。
作るのは、≪イタドリの炒め煮≫です。
下ごしらえの部
・イタドリの葉っぱをとって、洗ったら
・ピーラーで薄皮を剥きました
※アスパラに近い感覚。でも、中空なので剥き過ぎに注意
・食べやすい長さに切ったら、掌で押し割っていきます
※先端部は切り捨てました
・沸騰直前ぐらいのお湯を用意したら
・イタドリを入れて湯がいていくと
・色が変わってきます(ここまで5分)
・冷水に入れ替えて一昼夜さらしておきます
調理の部
ここからは、フキの炒め煮とほとんど変わりません。
・水気を切ったイタドリをごま油で軽く炒めます
調味料投入!
※イタドリ200gに対して醤油みりん大さじ2と、砂糖20g、顆粒出汁少々を加えて炒め煮に
※酒とか水とかは、一切使わないそうです
・水分があらかた飛んだら白ごまを適量投入
・軽く混ぜたら消火して出来上がり
この味付けなら、フキだったら十分に美味しいはずです。さあ、イタドリはどうか?
うおおおおおおおおおおおおおおお!!
うんめえ!!!
味自体には、特別な癖もないけど、確かに春の気配が感じられます。それよりなにより、この食感ですよ。適度な弾力を帯びたコリッとした歯ごたえ、舌触り。山形弁では、『しなっこい』というやつでしょうか。それが、硬すぎず柔らか過ぎず、丁度いい案配です。
これは、おかずにもつまみにも、文句なく嬉しい料理ですね。
やっぱり、あれですね。変な思い込みよりも、思い切りです。自分自身に絡みついている思い込みを、一旦切り離して、試してみることで世界が広がる気がします。長く生きてきても、この精神は、忘れてはいけない成長の原動力になるという気がします。ああ、試してみてよかった。
もっけだのお(ありがとうな)、T川の山の神様。まだ、来るさげな。
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