先日、朝の情報番組に於いて「性暴力」の被害者に対するバッシング、そして法整備が進まぬ日本の現実について取り上げられていた。
番組宛のFAXには、性暴力の被害(強姦や強姦未遂)を受けた被害者たちの声が取り上げられていたが、中には「もっと抵抗すれば良かったのではないか」、「大声を出して抵抗していて、結局性交に至ったのは、被害者が諦めたからだ」、「男性の性衝動について女性はもっと理解を」という内容のFAXに、ゲストのジョン=カビラ氏が憤慨し、反論した場面があった。
大声を出して抵抗することが出来ない状態で性暴力を受けた被害者の精神状態を想像できず、無責任に「女が悪い」という男性優位の傲慢な内容のFAXを送って来た男性達は、自分の妻や娘が同じ目に遭っても彼らを責めることが出来るのか、もし自分が男性に強姦されても同じ事が言えるのか―憤慨しながら特集を観終わったが、性犯罪に対する厳罰化・法整備が進められ、その中には「親族間に於ける強姦行為」も処罰の対象となることがわかった。
両親、または兄弟や親族から性暴力を受けても、それは家庭内の揉め事としてまとめられ、警察は介入してこない。
そして近年社会的に認識されつつあるDV(家庭内暴力)に於ける、「同意のない夫婦間での性行為や強姦」などといった性的暴力に対しての法整備はまだ整っていないのだろうか。
「親だから、夫だから、性暴力を受けた子・妻たちは耐え忍ぶべきである」、「女が油断をしているから強姦などされるのだ」といった偏見に満ちた性暴力に対する認識はまだ社会には根強く蔓延っている。
余談だが、「将軍の娘 エリザベス・キャンベル」という映画を先日観た。
米軍内で優秀なエリザベスという名の女性将校が、全裸で大の字に四肢を縛られ、絞殺死体となって発見された事件である。
主人公を演じる軍の犯罪捜査官のジョン・トラボルタと、その相棒の女性が事件の真相を探る内に、エリザベスが士官学校に在学中に行われた夜間戦闘実戦訓練の最中、同期生たちから輪姦されたという過去が明らかになった。
その事件を際にエリザベスは精神崩壊し、自分の事件をもみ消した父親に対し、己がどんな目に遭ったのかと彼に見せつける為自分で全裸となり、父親に見捨てられた結果、恋人に絞殺されたのである。
エリザベスは優秀な将校であるが、女であるが故に同期生たちから憎まれ、輪姦された。
その場面は何度観ても吐き気がするが、真の加害者はエリザベスの事件を世間体を保つ為にもみ消した彼女の父親である。
主人公が彼女の父親を痛罵する場面があるが、その前にエリザベスと肉体関係にあったドブラーという男が主人公に呟いた「レイプよりも酷い」事件の真相は、まさに後味が悪いものであり、胸糞が悪いものである。
被害者ばかりを責め、加害者は何ら罰せられない日本社会、軍隊という男社会の中で犠牲となった女性将校―性暴力の被害者の前には敵ばかりで、味方は一人も居ないのだとわたしはこの映画を観て思った。