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辻まことの世界

2023年12月27日 18時32分59秒 | 日本文化論

 いまから40年も前のことであろうか。或る建物の二階にある本屋の、新刊本コーナーでふと手に取った。それが「辻まことの世界」だった。辻?まこと?それって誰れ?という気持だ。当時は辻まことは知る人ぞ知るであり、まるで無名の人であった。ただ、山関係のひとにはなじみの名前であったろう。絵も描くし、版画もする。そしてギター演奏もこなし、詩もつくるし、文章も書く。それの一つ一つが一流だった。私が最初に開いたページにはデッサンが描かれ、その横には痛烈な脚注説明が書かれている。後の有名な「虫類図譜」である。虫に擬えて人間社会の虫が俎板に乗った。なるほどこんな虫が確かに居たな。辻さんの手に掛ると、大抵の虫の害虫性が露になる。本来の虫は、とても懐かしい可愛い虫たちなのだが、人間が虫に替わるとその害虫性が炙り出される。辻さんの漫画は過去に「岳人」や「山と渓谷」に掲載されたが、それに付いている文がまた魅力であった。詩人仲間の会で活躍し、緒方亀之助の詩も辻さんの紹介文で知った。また、何冊かの絵本を出版し、それは今でも多くの愛好者が居る。「山の声」、「山で一泊」、山芋がウナギに成った話、詩・詩人考、唸らせる深い話が多い。辻さんの父親は辻潤氏でやはり特異な父親だった。親爺さんのことでは辻さんは苦労したと思います。

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