いまから40年も前のことであろうか。或る建物の二階にある本屋の、新刊本コーナーでふと手に取った。それが「辻まことの世界」だった。辻?まこと?それって誰れ?という気持だ。当時は辻まことは知る人ぞ知るであり、まるで無名の人であった。ただ、山関係のひとにはなじみの名前であったろう。絵も描くし、版画もする。そしてギター演奏もこなし、詩もつくるし、文章も書く。それの一つ一つが一流だった。私が最初に開いたページにはデッサンが描かれ、その横には痛烈な脚注説明が書かれている。後の有名な「虫類図譜」である。虫に擬えて人間社会の虫が俎板に乗った。なるほどこんな虫が確かに居たな。辻さんの手に掛ると、大抵の虫の害虫性が露になる。本来の虫は、とても懐かしい可愛い虫たちなのだが、人間が虫に替わるとその害虫性が炙り出される。辻さんの漫画は過去に「岳人」や「山と渓谷」に掲載されたが、それに付いている文がまた魅力であった。詩人仲間の会で活躍し、緒方亀之助の詩も辻さんの紹介文で知った。また、何冊かの絵本を出版し、それは今でも多くの愛好者が居る。「山の声」、「山で一泊」、山芋がウナギに成った話、詩・詩人考、唸らせる深い話が多い。辻さんの父親は辻潤氏でやはり特異な父親だった。親爺さんのことでは辻さんは苦労したと思います。
goo blog お知らせ
goo blog おすすめ
カレンダー
最新記事
カテゴリー
- 分子進化と集団遺伝学(11)
- 数学と哲学(7)
- 日本の歴史的遺産と真実(6)
- 日本文化の多様性(5)
- 日本文明(6)
- 生きてこの世界にある事の問題(2)
- 明治・大正・昭和、戦前の日本(4)
- 数学と言語学、及び宇宙論と哲学(9)
- 日本の文学と文体(1)
- 数学的神とは何かーピユタゴラスの信念(0)
- 心を創っている物とはなにか?(分子遺伝情報と心の情報理論)(2)
- 宗教的世界の様相(4)
- 電子計算機の未来(11)
- 天文学と宇宙論(6)
- 数学の可能性(0)
- 日本の古典(8)
- 哲学とは何か(3)
- 数理論理学(0)
- 数理科学の世界(1)
- 認識と自然(5)
- 分岐現象の原則(2)
- 天才論(0)
- 世界の近・現代史(2)
- 心理哲学(3)
- 宇宙論(3)
- 日本文明と文化(2)
- 生物学の歴史と現在(1)
- 病理現象。(1)
- 脳科学の進歩(1)
- 著作群を読む(0)
- 日記(36)
- 宗教と社会思想 (1)
- この世界で出会って(1)
- 文明論と生態学・地政学(1)
- 日本文化論(7)
- 言語・意味・精神ー惑星上の生命体(2)
- 書誌・古典文献(1)
- 日本最古の自然認識ー古神道(0)
- 仏教思想の奥行(0)
- 旅行(0)
- グルメ(0)
最新コメント
- 井頭山人(魯鈍斎)/「詩とは何か、詩人とは何か」
- nasaki/「詩とは何か、詩人とは何か」
- グローバル鉄鋼商会/N氏との対話
- ストライベック/ブラックホールと天文学
- 井頭山人(魯鈍斎)/今まで生きて来て得た常識から外れる現象に付いて
- 井頭山人(魯鈍斎)/今まで生きて来て得た常識から外れる現象に付いて
- 井頭山人(魯鈍斎)/今まで生きて来て得た常識から外れる現象に付いて
- eternalturquoiseblue/今まで生きて来て得た常識から外れる現象に付いて
- マルテンサイト/日本語人の脳と世界
- 井頭山人(魯鈍斎)/神道とはなんだろうね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます