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マーケティング研究 他社事例 350 自動車税制改正!? ~利用に応じて課税する方向へ~

2019-05-15 08:30:34 | ビジネス
マーケティング研究 他社事例 350 自動車税制改正!? ~利用に応じて課税する方向へ~

「自動車税も重量税も支払い不要」

そんなフレーズをうたい文句の一つに消費者から支持を得てきたカーシェアリング業界が、ビジネスモデルの抜本的な見直しを迫られるかもしれません。

自民・公明両党が2018年12月にまとめた2019年度の税制改正大綱で、財源の安定確保を図る方策として、保有から利用へという車社会の変化への対応を検討する方針が明記されたのをご存知でしょうか?

車の税金は「取得」「保有」「走行」の3段階で徴収されます。

このうち見直しの焦点になるのは保有に対して課される自動車税や自動車重量税です。

前者は排気量に応じて毎年徴収されます。

後者は車体の総重量に応じて車検時に徴収され、大型車ほど税負担が増す設計です。

日本自動車工業会(自工会)によると、両税の税収額は2018年度に計2兆1919億円(当初予算ベース)です。

しかし「国内の新車販売の売れ筋が小さな排気量の車に変わっている」(国土交通省担当者)ことを受け、2006年度比べて約24%減っているのが現状です。

与党の念頭には、こうした状況を変えたいという危機感があります。

今年から本格化する政府・与党の議論では、車体の総重量や排気量に応じて定期的に一律課税するのではなく、走行距離に応じた従量制の課税体系を検討する見通しとなっています。

こうした動きに対し、カーシェア大手パーク24の西川社長は「置いてある車ではなく走っている車に課税するのは理にかなっているようだが、果たしてどうなのか」と困惑を隠しません。

別のカーシェア業界関係者は「走行距離に応じて発生する新たな税負担を事業者が全てかぶるのは難しい。利用者にも一定の負担をお願いするだろう」と話します。

「保有しない事」による割安感が薄まれば、利用者減も想定されます。

タクシー業界からも懸念の声が上がります。

東京ハイヤー・タクシー協会の関係者は「具体的に決まっておらず何も言える立場にない」としながらも、「事業用の車両は走行距離が長い自家用と同じように課税されれば、事業者の負担はあまりに重くなる」と危惧しています。

自工会の豊田会長(トヨタ自動車会長)は昨年12月20日の記者会見で「働いている人から税金を取るのには断固反対と強調しました。

大手自動車メーカーからも「自動車産業は納税産業じゃない」と反発の声があがります。

課税額を決めるには走行データの取得が必要になりますが、プライバシー保護の観点から反発の声が出そうです。

国交省担当者は「定額徴収に比べて事務方の業務が煩雑になる」と警戒しています。

もっとも、税制は新たな産業を生み出す力を秘めることも見逃せません。

HV(ハイブリッド車)を優遇するエコカー減税を導入したことで、日本は電動化率で世界2位のエコカー先進国になったのです。

政府・与党は新たな税収源の確保ばかりに目を向けるのではなく、日本で次世代モビリティー社会を育てる視点を持つ事が欠かせません。

一方で、関連業界も反発するだけではなく、知恵を出す事も求められているのでしょうね。


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