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ヒトの最大寿命は115歳!?私たち人間の「死ぬ理由」について

2023年12月02日 23時03分02秒 | 医学と生物学の研究のこと
ヒトの最大寿命は115歳!? 私たち人間の「死ぬ理由」について新書大賞2位『生物はなぜ死ぬのか』著者が解き明かす

2・10・2022

実際に2020年に100歳以上の日本人の数が8万人を突破し、毎年急速に増え続けていますが、115歳を超えた日本人はこれまでたったの11名、全世界でも50名にも満たないのです。 このような統計をもとに分析すると、ヒトの最大寿命は115歳くらいが限界だろうと言われています。

細胞の機能の低下や異常は、がんをはじめさまざまな病気を引き起こし、表面上はこれらの病気により死ぬ場合が多いのですが、大元の原因は免疫細胞の老化による免疫力の低下や、組織の細胞の機能不全によるものです

ヒトが死ぬ理由?

老化が主な原因となる3疾病や老衰、肺炎で約7割の方が亡くなっています。ヒトが死ぬ理由は、つまり老化なのです



生物が免れることのできない「死」。その意味とは

ヒトはどのように死ぬのか? その変遷と死ぬメカニズムとは(写真提供:写真AC)

1年間に刊行された新書から、有識者、書店員、各社新書編集部らに投票してもらい、その年「最高の一冊」を選ぶ「新書大賞」。2020年12月から21年11月に刊行された1300点以上の新書を対象とした「新書大賞2022」の結果が22年2月10日に発表され、『生物はなぜ死ぬのか』が第2位に輝いた。生物が免れることのできない「死」の意味について正面から向き合った同書はベストセラーとなり、21年4月の刊行から約1年を経た今も版を重ねている。担当編集者のコメントと共に、同書から“ヒトの死”について論じた部分を掲載する。 20年12月~21年11月刊行の新書1300点以上から選ばれた「ベスト20」がこちら!

人間はなぜ死を恐れるのか

昨年4月の発売以来、年代も問わずたくさんの方にお読みいただき、ありがたいことに14万部を突破しました。 〈死を前向きに捉えられるようになった〉 〈生物学的な死の理由は、目からウロコ〉 〈死は生物にとって必要なものだという事実は、とても納得できるものだった〉 など、これまで恐怖の対象だった「死」への見方が変わった、というご感想が大多数です。 エッセイストの酒井順子さん、サイエンス作家の竹内薫さん、書評家の永江朗さんなど、多くの識者の方からも推薦コメントを頂戴しました。また、NHKの『おはよう日本』で「これまでの死生観が変わる一冊」と取り上げられたことで各書店の新書売り上げ1位を獲得するなど、大きな反響を呼びました。 死は、誰にとっても避けたいものだとは思うのですが、なぜ絶対に避けられないのか。人間はなぜ死を恐れるのか。その理由を、本書でぜひ知っていただきたいです。 *以上『生物はなぜ死ぬのか』担当編集者より
ヒトの死とそのメカニズムについて

『生物はなぜ死ぬのか』(講談社現代新書)

新書ではさまざまな生物の死に方を見ていますが、寿命や死に方について一番よく調べられているのはもちろんヒトです。そして、ヒトほど寿命が変化してきた生き物もいません。 2019年の日本人の平均寿命は、女性87・45歳、男性81・41歳で過去最高を記録しました。 生物の死に方や寿命を含んだ生きざまは、生物が多様化する中で選択されてきた、つまり進化しているのですが、ヒトの場合はどうなのでしょうか。今の寿命や死に方に至る何かしらの選択は起こっているのでしょうか。

 今回は、ヒトはどのように死ぬのか、その変遷と死ぬメカニズムについてお話ししていきましょう。老化というヒトに特有の現象にも、どのような意味があるのか、考えてみます。

2500年前まではヒトの寿命は15歳だった

まず、日本人の寿命の変遷を見てみましょう。 大昔は戸籍のようなデータはないので骨や歯などからの推定ですが、旧石器~縄文時代(2500年前以前)には、日本人の平均寿命は13~15歳だったと考えられています。この時代は狩猟が主で、ヒトは小さな集団で暮らしていました。 旧石器時代はマンモスなど大型の哺乳類を狩っていましたが、氷河期以降は、海産物や木の実、シカ、イノシシといった動物などを食べていました。この時代のヒトの平均寿命が他の霊長類(サル)よりも短いのは驚きです。

 環境に左右され生活が安定していなかったこと、狩猟での事故死、そして何より病気や栄養不足による乳幼児の死亡率が非常に高かったために、平均の寿命は短くなります。アクシデント的な死に方がメインでした。人口も10万~30万人と変動が大きかったようです。 つまり20万年ほど前にアフリカで誕生し、その後新天地を求めて世界中に広がっていった“裸のサル“であるヒトは、まだ悩める存在だったのです。 


もちろん全員が13~15歳で死ぬわけではなく、幼少期を生き延びられたヒトは出産・子育てをして30代、40代までは生きました。現在よりも多産で多死のこの状態が、結果的に多様性を生み出し、のちの人類の大躍進につながった可能性もあります。ちなみに身長は、現在より10センチメートルほど小柄だったようです。


 弥生時代に入ると、日本人は稲作を始めました。これは大陸から来た技術です。稲作で収穫量を上げるには人々が協力する必要があるため、生活集団が大きくなって組織化された村(ムラ)が誕生し、指導者的な人物も現れました。 食生活は狩猟中心の生活から定住型となり、安定はしてきましたが、やはり技術が低いため天候に収穫量が左右されることも多くあったと思われます。乳幼児の死亡率も多少は改善されてきました。平均寿命は20歳、人口は急激に増加して60万人とも推定されています。

それから寿命はしばらく横ばいで、奈良時代以降は少しずつ延びていきました。 平安時代には平均寿命は31歳、人口は700万人になりました。ただ、続く鎌倉、室町時代には気候変動による不作や政治の不安定化、それに連動して「いくさ」などが頻繁に発生し、平均寿命はまた20代に逆戻りしました。 室町時代の平均寿命はなんと16歳です。

 その後、江戸時代に入ると社会情勢は安定して、さまざまな文化が花開きました。平均寿命も38歳まで延び、有名な人物では徳川家康は73歳まで生きています。

明治、大正時代の平均寿命は、それぞれ女性44歳、男性43歳と延びました。 戦争中は31歳となりましたが、戦後は順調に回復し、70年後の現在(2019年のデータ)では、前述のように女性87・45歳、男性81・41歳で過去最高を記録しました。最近100年間で寿命がほぼ2倍に延長したわけです。 こんな生物は、他にはもちろんいません。そしてその変動の理由は、生理的なものではなく主に社会情勢に大きく影響を受けてきたわけです。


老化の始まりが徐々に遅くなっている


図1 戦後の日本人女性の生存曲線の変遷(厚生労働省ウェブサイトの資料をもとに作成。『生物はなぜ死ぬのか』より)

戦後、日本人の平均寿命が延びた大きな理由の一つは、乳幼児の死亡率が低下したからです。 その主な要因は、栄養状態が良くなったことと公衆衛生の改善です。栄養状態は子供の免疫力を高め、病気になりにくくなりました。公衆衛生の改善は、それまでヒトを苦しめていた伝染病を減らしました。

図1を見てください。戦後からの生存曲線を示しています。生存曲線はそれぞれの年齢(横軸)での人口10万人あたりの生存数(縦軸)を示しています。 具体的に見てみましょう。 戦後の1947年には、グラフが左上から右下までほぼ直線に近い形になっています。これは各年齢での生存率がほぼ一定であまり変わらないことを示しています。アクシデント的な死に方をする生き物に見られる特徴です。 しかも乳幼児(0歳付近)の生存数が急激に下がっています。


その後、戦後の復興が進むにつれ、1975年には乳幼児の生存率はほぼ100%となり、さらに2005年には55歳までの生存率も100%近くになり、グラフが逆S字形になってきています。 これは、若年から中年までのヒトはほとんど死ななくなったことを示しています。 さらに2005年、2019年のデータでは、85歳くらいからグラフが急に下がる、つまり生存率が下がる(=死亡率が上がる)ようになります。

この急に下がる年齢は多くのヒトが亡くなる年齢で「生理的な死」の時期を示しています。 つまりアクシデントではなく、老化による寿命です。この生理的な死の年齢が徐々に延びている(遅くなっている)ということは、老化の始まりが遅くなっていることを意味しています。 実は、生理的な死の時期を考える場合、平均寿命よりもこのグラフの形のほうが重要です。

 平均寿命は乳幼児や若年層の死亡率が大きく影響するので、老化の実態は見えません。例えば室町時代の平均寿命は16歳といっても16歳で多くの人が亡くなるわけではなく、実際には40歳、50歳の人もたくさんいるわけです。


ヒトの最大寿命は115歳!?

図2 年齢によるがんの死亡率(国立がん研究センターがん対策情報センターの資料をもとに作成。『生物はなぜ死ぬのか』より)

そして、このグラフからもう一つ重要なことがわかります。それは、寿命が延びている、つまりグラフが徐々に右に移動しているにもかかわらず、グラフの右下は常に一定のところ(105歳付近)で収束しています。これは、最長の寿命はあまり変化していないことを意味しています。

 実際に2020年に100歳以上の日本人の数が8万人を突破し、毎年急速に増え続けていますが、115歳を超えた日本人はこれまでたったの11名、全世界でも50名にも満たないのです。 このような統計をもとに分析すると、ヒトの最大寿命は115歳くらいが限界だろうと言われています。逆に言えば、この年齢までは生きられる能力があるということです。 

ヒトは老化して病気で死ぬ現代人の死に方は、アクシデントで死ぬ、あるいは昆虫や魚のようにプログラムされた寿命できっちり死ぬのとは違い、「老化」の過程で死にます。老化は細胞レベルで起こる不可逆的、つまり後戻りできない「生理現象」で、細胞の機能が徐々に低下し、分裂しなくなり、やがて死に至ります。 例えば1981年以来、日本人の死因の1位はがんですが、がんの多くは加齢に伴うDNAの変異によって生じます。細胞の増殖に関わる遺伝子は、通常、「いい具合」にコントロールされており、必要なときに細胞分裂を起こし、必要がなくなれば停止します。 

がんでは、この細胞増殖のコントロールに関わる遺伝子に変異が起こり、制御不能になって増殖し続け、なおかつ転移して全身に広がり、やがて正常な組織を壊してしまうのです。そのため、加齢によるDNAの変異の蓄積とともに、がんによる死亡率が急上昇します。具体的には、55歳くらいからが要注意です(図2)。 こうした事実から見ると、「ゲノムの寿命は55歳」と言うこともできるかもしれません。





ヒトが死ぬ理由

以下、日本人の死因の上位を見ていきましょう。 2019年の時点で、日本人の死因の2位は心疾患、中でも多いのは虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症)です。主に心臓に血液を送る血管の老化によって起こります。冠動脈が動脈硬化によって細くなり、心臓への血流が不足する、あるいは完全に詰まると心臓発作を起こして心臓が止まってしまいます。 突然死の多くは、心疾患によるものです。動脈硬化も加齢とともに進行してくる老化現象と捉えられています。動脈硬化の原因の一つであるコレステロールの血管内膜への蓄積は20代から始まりますが、血管が狭くなってくる症状が現れ動脈硬化が深刻化してくるのは、やはり50代後半からです。 喫煙などの生活習慣、肥満、高血圧、糖尿病なども硬化を引き起こしますが、「老いは血管から」と言われるくらい、血管は年齢とともに消耗しやすい器官なのです。 


2019年の死因の3位は「老衰」です。 老衰は病名ではないので、死因として死亡診断書に書かない医師もいるようですが、在宅医療が増え、病院ではなく自宅で亡くなる方も多くなってきたため、死因の特定をせずに「老衰」とするケースが増えてきました。 ある程度、高齢になったら、さまざまな原因で亡くなる確率は高くなるわけで、直接の死因はそれほど問題ではなく、単に「老衰」でもいいように私は個人的には思います。要するに老衰は、老化により体が弱って死んでしまった(寿命が来た)という意味です。

 2019年の死因の4位は「脳血管疾患」です。これは、がんに首位を奪われるまで死因の1位でした。脳血管疾患は心疾患と似ていて、やはり血管の老化が主な原因です。 血管が破れて脳の細胞を破壊してしまう場合(出血性脳血管疾患/脳出血やくも膜下出血など)と、血管が詰まることで脳の細胞に酸素や栄養を運べなくなる場合(虚血性脳血管疾患/脳梗塞など)の2通りあります。 脳血管疾患は突然死の原因になります。高血圧、動脈硬化を助長する生活習慣(喫煙、高度なストレス、運動不足など)が影響を与えます。

2019年の死因の5位は肺炎です。肺炎は感染症や誤ご嚥えんによって起こり、老化による免疫機能や飲み込む力の低下の影響も大きいです。 

以上に述べてきたような、老化が主な原因となる3疾病や老衰、肺炎で約7割の方が亡くなっています。ヒトが死ぬ理由は、つまり老化なのです。 

※本稿は、『生物はなぜ死ぬのか』(講談社)の一部を再編集したものです。






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師走の神社に

2023年12月02日 18時10分59秒 | 日々の出来事





12月になると、年の瀬の気配が近いですね。
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青空に映える紅葉です

2023年12月02日 17時26分34秒 | 日々の出来事




紅葉も終わりに近づきました
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もみじの紅葉も進みますね☆

2023年12月02日 17時03分03秒 | 日々の出来事
このもみじは、きれいに紅葉しています❗

この樹は、毎年、美しく紅葉しますね。





11・26・2022
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河面に掛かる紅葉です

2023年12月02日 16時46分33秒 | 日々の出来事


紅葉が進みますね⭐
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