梅毒」急増のナゼ 国内感染者が初の1万人超え 「〝パパ活〟経験ある女性に多い」報告者の約4割に性風俗の従事歴も
11/14(月) 17:00配信
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「プライベートケアクリニック東京」の尾上泰彦院長=東京都内
コロナ禍の影で、性感染症「梅毒」の感染者が急増している。国立感染症研究所が1日に発表した今年の国内の梅毒報告者数が累計1万141人(速報値)となり、現行の調査が始まった1999年以降では初の1万人突破となった。何が起きているのか。
【写真】梅毒に感染し、手のひらに出た発疹
国内の報告者数は2018年まで増加傾向で、19、20年と減っていた。だが、20年の5784人から21年は7873人に跳ね上がり、今年はさらに増えた。 東京都新宿区西新宿の「プライベートケアクリニック東京」の尾上泰彦院長(78)は、「年内に1万2000人ぐらいまで増えるのではないか。だが、これは氷山の一角で、検査を受けていない実際の感染者は数倍いるかもしれない」と警鐘を鳴らす。
梅毒は、感染から約3週間で局所に最小1センチほどの腫れや腫瘍ができるなどの初期症状はあるが、痛みやかゆみはなく、症状も数週間で消えることで治ったと勘違いして発見が遅れるケースも多い。
このあとでるのが、以下のバラ疹。
バラ疹
「偽装の達人」と呼ばれるほどやっかいな感染症だ。 報告者の女性の約4割に性風俗の従事歴があるというが、風俗関係以外でも若い女性の感染が急増しているという。尾上氏は「自分が診ているだけでも、マッチングアプリや〝パパ活〟などの経験がある19~30歳ほどの女性の感染者が多い」と説明する。
尾上氏は「コンドームを着ければ感染のリスクは減るが、粘膜や皮膚の接触、オーラルやキスでもうつる可能性がある」と話す。食事や入浴など日常生活で感染が広がる心配はないが、感染を知らずにパートナーとの性交渉でうつしてしまうケースも多いという。
かつては命にかかわる病気だったが、現在は晩期の無症状梅毒でも約4週間の治療薬の内服で完治することが多い。昨年9月には1回の接種で効果が出るペニシリン注射も認可された。
厚生労働省は「防げる病気」と予防策の周知に力を入れている。前出の尾上氏は「不安な行為があった人はもちろん、パートナーができたり、結婚や子供を作るなど、〝人生の節目検診〟もお勧めしたい」と積極的な検査を呼び掛けた。