泉区生活支援ネットワーク

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障害児の居場所 放課後等デイサービスの今(5)(「河北新報」から)

2018年03月17日 | Weblog
(「河北新報」平成30年3月17日(土)付け記事より引用)
東北大学大学院教育学研究科 野口和人教授に聞く
地域との交流積極的に

 急増する放課後等デイサービス事業所。障害児を支えるために、どんな役割が求められているのか。特別支援教育に長年携わってきた東北大大学院教育学研究科の野口和人教授(56)に聞いた。(聞き手は生活文化部・越中谷郁子)

友人関係が鍵
 ー放課後等デイサービス事業所が、仙台圈で増えています。
  「学校以外で、子どもが専門知識を持った人と積極的に関わり、地域の中で過ごせる場、時間があることは大事なこと。選択肢が増えることはいいことだ」
  「学校とは違い、決まったカリキュラムがなく、自由度が高い。子どもたちをどう支援するのか、それぞれの事業所の理念と力量が問われる」

 ―質の低下が懸念されています。
  「大人になった時に社会で楽しく生きられることが最終目標。現在行う支援がそこにつながるかどうかという視点が欠かせない。特に重要なのは友人関係。協調性を育み、余暇の過ごし方が分かる。そういったソーシャルスキルを身に付けられる支援が求められる」
 「有資格者を配置すれば、ある程度レベルアップは図れるが、重要なのは子どもを見る目を養うこと。人材育成が急がれる。学校や児童館、発達相談支援センターなど子育てに携わる業界全体で取り組む必要がある。その中で互いの機能を認知し、それぞれが役割を発揮すれば、連携もうまくいく」

 ー特別支援学校に通う子は特に、学校、事業所と自宅が離れており、住んでいる地域社会との関係が希薄になりがちです。
 「子どもたちが日中過ごす事業所が、身近な地域社会と積極的に関わり、ここにこんな子がいると知ってもらう。そういう輪が多くの場所でできれば、いずれ居住地域ともつなかっていく。災害時にも地域住民は大きな支えになる」
 「学校を借りて地域の子どもたちみんなで遊ぶ、地域の清掃活動に参加する、さまざまな手法がある。住民を巻き込んで、誰もが一緒に生きられる『インクルーシブ社会』の実現を目指してほしい」

保護者支援も
 ー厚生労働省の放課後等デイサービスガイドラインでは、保護者支援も役割の一つになっています。
 「親は子どもの障言を受け止めて前向きに生きていたとしても、何か問題が起きると落ち込む。その繰り返し。複雑な背景を抱える家庭も増えた。障害のある子は、ストレスがたまるコップの容量が少なく、すぐにあふれる傾向がある。親がその子を受け止められていないと、子どもに大きな影響が出る。親を支える拠点としても役割は増している」

 -今後の課題は何ですか。
 「放課後等デイサービスの認知度を高めなければならない。通常の学校では知らない先生も多いし、子どもを預かっているだけと思っている人もいる。それを変えるには、事業所が学校や地域でもっと存在をアピールすることが必要だろう。普段から顔の見える付き合いを意識してほしい」
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