(2020年訪問)
※青森ミステリー見聞録より記事を抜粋しております。
・霊場恐山(青森県むつ市田名部字宇曽利山3-2)
約1200年前に、慈覚大師円仁によって開かれた霊場。「比叡山」「高野山」と共に日本三大霊場に数えられる。
火山ガスが噴出する一体の岩肌は地獄に、宇曽利湖畔の白砂の浜は極楽とされ、「人が死ねばお山に行く」という信仰と祈りの場として伝えられてきた。
今も故人をしのぶ信者が、日本各地から絶えず訪れる。
恐山へ向かう者がまず通らなければいけないのが、現世と霊界を隔てるこちらの「三途川」。
正確には、霊場が面する宇曽利湖(うそりこ)から唯一流れ出ている正津川。
湖が強酸性のためか、川面を覗くと水色とも緑ともいえない不思議な色をしている。
赤色の太鼓橋はかつては渡れたようだが、現在は老朽化により閉鎖されている。
人が亡くなって三途の川までやってくると、「奪衣婆」(左)が身ぐるみをはがし、「懸衣翁」(右)がその衣類を木の枝にかけ、その垂れ具合で罪の重さを計るという。
その後、閻魔様の前へ出されて極楽か地獄か、行き先を決められるそうだ。
改めて気を引き締めて三途の川を渡り、入山受付所へ。
いよいよ霊場へと足を踏み入れる。
総門をくぐった瞬間から空気が変わり、参道の傍らには巨大な卒塔婆が何本も立つ。想像していた通りの由緒正しき霊場の雰囲気だ。
本尊安置地蔵殿を参拝し、順路に従って地獄めぐりへ向かう。
宇曽利湖を中心に釜臥山、屏風山、剣の山など八峰が囲む霊場一帯は火山ガスの噴気活動が盛んで、硫黄臭の漂う荒涼とした風景が広がる。
あちこちから湯気が上がり、硫黄で黄色く色が付いた地面には草木が生えず、鳥などの生き物もほとんどいない。
火山岩を縫うようにして、1周3キロほどの参道が延びている。
至る所で回るカラフルなかざぐるまは、水子供養のため参拝者が立てたものだという。
無色の風景の中で鮮やかさが強調されているのが物悲しい。
また、これも参拝者によるものだろうか、大小さまざまな石が積み上げられて山のようになっている。
そんな参道に、「千手観音」「慈覚大師堂」「水子供養ご本尊」などがあり、参拝者は起伏に富んだルートを順番に回ってゆく。
岩のくぼみに置かれた賽銭は、火山ガスで変色してしまっている。
「八葉地蔵菩薩」と、水子供養の地蔵群。
なお、恐山と言えば「イタコ」だが、常駐している訳ではなく、恐山大祭と秋詣りのみにいらっしゃるそうだ。
今年(※2020年)は新型コロナウイルス感染拡大防止のため休止とのこと。
「血の池地獄」。池の底にある苔の変色によって、本当に真っ赤に見えることもあるそうだ。
この日は緑色だったため、予想していたほどおどろおどろしい雰囲気ではなかった。
参道は、早くして亡くなった子供が親を想う「賽の河原」を経て、
宇曽利湖畔の「極楽浜」に辿り着く。
これまでの荒涼とした道中とは一変し、青々とした水面に白い砂浜の美しい風景が広がる。
参拝者もほっと一息、湖畔で記念撮影する人も多い。
「極楽」とはよく言ったものだ。
湖を前に、東日本大震災の供養塔が建つ。
また、砂浜にもかざぐるまが何本か立っており不思議な光景。傍らに妊娠検査薬が置かれているものがあり、思わず「あぁ…」と声が出てしまう。
カラカラと回るかざぐるまは輪廻の象徴であるという。
極楽浜から総門へ戻る道中は、仏教の世界に8つあるとされる地獄になぞらえた場所を通る。
「重罪地獄」「賭博地獄」、そして最も過酷とされる「無間地獄」。硫黄の臭いに耐えながら、火山ガスに気を付けて進まねばならない。
地獄めぐりを終えて総門へ戻り、車で「三途川」を渡り終えるとほっと一安心。
ツアー客などもおり、これまで恐山のイメージとして抱いていた恐ろしさ、不気味さはそれほど無かった気がする。
私が霊感が全くないためかもしれないが。
完。
※青森ミステリー見聞録より記事を抜粋しております。
・霊場恐山(青森県むつ市田名部字宇曽利山3-2)
約1200年前に、慈覚大師円仁によって開かれた霊場。「比叡山」「高野山」と共に日本三大霊場に数えられる。
火山ガスが噴出する一体の岩肌は地獄に、宇曽利湖畔の白砂の浜は極楽とされ、「人が死ねばお山に行く」という信仰と祈りの場として伝えられてきた。
今も故人をしのぶ信者が、日本各地から絶えず訪れる。
恐山へ向かう者がまず通らなければいけないのが、現世と霊界を隔てるこちらの「三途川」。
正確には、霊場が面する宇曽利湖(うそりこ)から唯一流れ出ている正津川。
湖が強酸性のためか、川面を覗くと水色とも緑ともいえない不思議な色をしている。
赤色の太鼓橋はかつては渡れたようだが、現在は老朽化により閉鎖されている。
人が亡くなって三途の川までやってくると、「奪衣婆」(左)が身ぐるみをはがし、「懸衣翁」(右)がその衣類を木の枝にかけ、その垂れ具合で罪の重さを計るという。
その後、閻魔様の前へ出されて極楽か地獄か、行き先を決められるそうだ。
改めて気を引き締めて三途の川を渡り、入山受付所へ。
いよいよ霊場へと足を踏み入れる。
総門をくぐった瞬間から空気が変わり、参道の傍らには巨大な卒塔婆が何本も立つ。想像していた通りの由緒正しき霊場の雰囲気だ。
本尊安置地蔵殿を参拝し、順路に従って地獄めぐりへ向かう。
宇曽利湖を中心に釜臥山、屏風山、剣の山など八峰が囲む霊場一帯は火山ガスの噴気活動が盛んで、硫黄臭の漂う荒涼とした風景が広がる。
あちこちから湯気が上がり、硫黄で黄色く色が付いた地面には草木が生えず、鳥などの生き物もほとんどいない。
火山岩を縫うようにして、1周3キロほどの参道が延びている。
至る所で回るカラフルなかざぐるまは、水子供養のため参拝者が立てたものだという。
無色の風景の中で鮮やかさが強調されているのが物悲しい。
また、これも参拝者によるものだろうか、大小さまざまな石が積み上げられて山のようになっている。
そんな参道に、「千手観音」「慈覚大師堂」「水子供養ご本尊」などがあり、参拝者は起伏に富んだルートを順番に回ってゆく。
岩のくぼみに置かれた賽銭は、火山ガスで変色してしまっている。
「八葉地蔵菩薩」と、水子供養の地蔵群。
なお、恐山と言えば「イタコ」だが、常駐している訳ではなく、恐山大祭と秋詣りのみにいらっしゃるそうだ。
今年(※2020年)は新型コロナウイルス感染拡大防止のため休止とのこと。
「血の池地獄」。池の底にある苔の変色によって、本当に真っ赤に見えることもあるそうだ。
この日は緑色だったため、予想していたほどおどろおどろしい雰囲気ではなかった。
参道は、早くして亡くなった子供が親を想う「賽の河原」を経て、
宇曽利湖畔の「極楽浜」に辿り着く。
これまでの荒涼とした道中とは一変し、青々とした水面に白い砂浜の美しい風景が広がる。
参拝者もほっと一息、湖畔で記念撮影する人も多い。
「極楽」とはよく言ったものだ。
湖を前に、東日本大震災の供養塔が建つ。
また、砂浜にもかざぐるまが何本か立っており不思議な光景。傍らに妊娠検査薬が置かれているものがあり、思わず「あぁ…」と声が出てしまう。
カラカラと回るかざぐるまは輪廻の象徴であるという。
極楽浜から総門へ戻る道中は、仏教の世界に8つあるとされる地獄になぞらえた場所を通る。
「重罪地獄」「賭博地獄」、そして最も過酷とされる「無間地獄」。硫黄の臭いに耐えながら、火山ガスに気を付けて進まねばならない。
地獄めぐりを終えて総門へ戻り、車で「三途川」を渡り終えるとほっと一安心。
ツアー客などもおり、これまで恐山のイメージとして抱いていた恐ろしさ、不気味さはそれほど無かった気がする。
私が霊感が全くないためかもしれないが。
完。
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