2023年7月15日
カザフスタンから日本語で2冊の本が出版され、関係者から感想が寄せられた。
小説「悲劇と運命」
核被害を自分の言葉で
核国際運動代表団歓迎交流会の帰り際に頂いたサウレ・ドスジャンさんの「悲劇と運命」がすごい本ですね。
現地を何度も取材したものとして一気に読了してしまいました。
核実験場周辺で何か起こったのか?カラウル村、サルジャール村やカイナール村、デゲレン山、水爆実験の時全滅してしまったコルホーズ・タイランなど懐かしい地名が次々と出てきてました。
住民の被害がいかにひどかったのか?
当時私か取材していて、目を覆いたくなるような酷い現実に直面するたび、ファインダーを覗く目を離してしまうことがたくさんありました。信じがたい事実を次々と語る住民たち。私の取材したことが本当に起こっていたのか?確信を持てなかったのですが、この小説から裏付けられました。
主人公の結婚後水頭症の赤ちゃんが生まれたシーンは私かセメイにある子どもの障碍者施設で何例も見た水頭症の赤ちゃんを思い起こし、私があつたあの赤ちゃんの母親の事と小説が重なり合って何度も涙をぬぐってじまいました。
この本の素晴らしさは、カザフ民族が被った核被害を自分の言葉で告発していることです。被ばく者の心の襞まで表現できたのはドスジャンさんが同じ運命を歩んできたからこそだと思います。外国人がどれほど努力してもこの説得力、衝撃性には勝てません。
この被害を伝え広めることがとても大切だと思いました。とりわけ広島長崎のある国で。
広島に留学していたアケルケ・スルタノヴアさんの「核実験地に住む」 (花伝社)と合わせてカザフ人自身が記録した核実験被害です。
森住卓(写真家)
(編集部注:今回は少部数が協会と広島平和記念資料館に贈呈された)
