兼載雑談17 懐紙書式
兼載雑談一、歌合中書之樣、兼日の懷紙を、たとへば、 春曙 定家 春の夜の...
兼載雑談16 西行郭公
兼載雑談 、彷彿千聲一度飛。此の詩の心は、一度とは一聲飛びな がら鳴きたるも、斷腸の心は千聲といへり。此の詩に、西 行のなかずともこゝをせにせむのうたを、後鳥...
兼載雑談15 清見潟
兼載雑談一、 清見がたかねのひゞきも渚うつ波の關戸につきぞ明け行く 家隆此の歌の時は、...
兼載雑談14 俊恵有心、後鳥羽院化身
兼載雑談一、招月云、俊恵歌に 三吉野の山の白雪ふるときは麓の里は打ちしぐれつゝむげにおもしろからずと見るほどに稽古せよとありしなり。げにも上手の目にては、一向手あさなる體なり。心...
兼載雑談13 秀歌
兼載雑談一、後鳥羽院、家隆卿に、今天下一の作者誰ぞと御尋ねありしに、明けばまた秋の半も過ぎぬべしの歌を、たゝんがみに書きて、おとして罷り退きしとなり。※明けばまた明けばまた秋の半ば...
兼載雑談12 西行望月
兼載雑談一、ついたち頃の夕月夜といふは、七日以前の月をばいつもいふべし。源氏にも見えたり。西行歌に、 ねがはくは花の下にて春しなむ其の二月の望月の頃かくて建久元年二月十六日に死す。...
兼載雑談11 宮内卿と定家の密通
兼載雑談一、 さればとて苔の下にも急がれずなき名を埋む 習ひなければ此の歌は、宮内...
兼載雑談10 榎葉井
兼載雑談一、とよらの寺のえのは井とは井なり。榎葉井と書くなり。かづらきとはとよらのにしなり。とよらの宮はつくしにあり。或人云宮内卿有賢朝臣、時の殿上人七八人相伴ひて、大和國葛城の方...
和漢朗詠集 鶴 山部赤人 勝鼎栄筆巻子本コレクション
あしべを 泻を さして なみ 和哥の浦に しほみちたづ なき くれば わたる和漢朗詠集 鶴和歌の浦にしほみちくらし潟をなみ葦辺をさしてたづなきわたる万葉集巻第...
兼載雑談9 一節、秀能、幽玄
兼載雑談 一、下句は一ふしあるがよきなり。下の句の内に二ふしあ る時は、付けにくし。風もいづくの舎とふらむなどやうに すべし。もの字にて、人の宿をとひたる心あり...