LA1265ラジオはすんばらしい性能をワンチップで提供してくれる。
しかしチップ以外の部品のできの悪さが、ICの性能を発揮させていなかったのかもしれない。
まずバリコンの変更、バーアンテナコイルの巻き線変更を行い、今回はよりクリアな音のために大口径スピーカーに変更、アンプをLM380Nにした。
従来のNJM2073Dは、BTL動作にて低電圧・大出力を実現するアンプだが、インピーダンスが低いというか、電流が流れすぎた。おまけに(回路を間違えていたのかもしれないが…)出力に直流が出ていたので、チップが異常に発熱した(これはコンデンサをカマして一応解決)。おまけに発振気味だった。
これに対しLM380Nは12Vで使う様に出来ており、増幅率が必要以上に高くないので発振の危険性も低い。発振の原因は他にもあるだろうが、とにかく380Nの方が安定している。
お手軽ラジオにしては10cm径のスピーカーや1000μFのコンデンサなどオーバースペックだろうけど、中高音しか再現出来ないラジオというのは聞いていて非常につかれるし、必要以上にパワーを出さねばならないのだ。
この改善で720KHzの『ロシアの声』と『朝鮮中央放送』が織りなすビートノイズが、ヴ~という具合に再現出来る。低音が再現されることでボリュームを絞れるので、うるさくは感じない。
大工さんは昔のBCLラジオをよく使う、という話を聞いたことがあるが、これはスピーカーなど、音声の再現性が良いからだ。今回はこの辺を念頭に置いた。
もう一つ、バリキャップに供給する安定化電源をLEDによる物から三端子レギュレーターに変えた(正確には7809+赤LED)。これにより周波数安定度が格段に向上した。
LED5直列では、もとより電圧安定度が低かったことと、おそらく発熱による物だろう。熱そのものも問題だが、赤外線成分がかなり含まれているんじゃないだろうか?
三点目にIFTの調整を見直した。
LA1265のリファレンスではIF周波数は450KHzとなっているが、部品の入手性を優先し、455KHzのセラミックフィルター(CF)とIFTを用い、IF周波数を455KHz近くにしていたのだが、どうも選択度が悪いというか、近隣に「オバケ」が現れる。
そこで、ノイズだけを聞いてIFTを再調整すると450.6KHzがピークになった。CFは455KHzのママにもかかわらず、である。
ま、これで煮詰めてみて聞き直すと、選択度は確かに向上したようだし、Sメーターの振れも大きくなっているようである。IFアンプそのものに450KHzのピークがあるかのようだ。ともかくCFの中心周波数の許容範囲(455±2.0KHz)よりもズレが大きい事までは予想出来なかった。
最後にプラスチックケースから、大きなスピーカーを入れるためとシールドのため、大きめのアルミケースに移築して完成。ま、シールドしてもSW帯の放送が混入しちゃうんだけどね…
受信周波数は520KHz~1850KHz程度。1.8MHzの電信も良くはいる。BFOもつけた方が面白いかもしれない。残念ながら1.9MHzにはちょっと足りないが低い方にはもっと伸ばせる。
バンド切り替えで4MHzのラジオ短波を聞きたいところだが、実際にやってみるとOSCコイルやアンテナコイルの切り替えで配線を引き回してしまい、あまり良いことはない。モノバンドが拙者の限界だ。
このラジオはRAD-S312Nでは受信不可能な栃木放送・那須も受信出来るので、感度ではR-1400に次ぐ性能である。まぁ、部品代ひっくるめると312Nが二台は買えるので、そうあって然るべきではあるが…
短波ラジオには、LA1600+TA7358のダブルスーパーというのが製作例としてあるので、そちらで攻めてみるのも良いかもしれない。この組み合わせでエアバンドや6mのRXはあるようだ。果たして2MHz~30MHzで使えるだろうか?要はTA7358が12MHzぐらいで局発動作してくれれば良いのだ。もともとFMラジオのフロントエンドICなので、どうなるかは良くわからんね。
第二IFに使うLA1600は局発のALCなど装備されていないが、10.7MHzを455KHzに変換するだけなので問題ない。
もっとも第一IFが10.7MHzというICF-5900スタイルとなるので、10.7MHz近辺は不感地帯とせねばならないだろう。
今朝はBSN新潟放送の新潟放送局(1116KHz)が単独で安定して聞こえていた。長岡(1062KHz)や上越(1530KHz)は栃木放送と一緒に聞こえてくるのだが(笑)。
LA1265ラジオはこれぐらいで完成かな?灯台放送も(光モデムを切れば)かなり聞こえてくるし。結構大柄になったけど、まぁ良いか。あとは周波数カウンターをつければ実用性が増すんだが…