終戦特集記念として、様々な戦争特集をしています。8月15日から6夜
連続50年前の映画「人間の条件」がBSにて上映されました。毎夜10時
から12時までですから、いつもなら眠くなる時刻ですが、この6日間だけは
しっか りと起きて見ました。
映画終了後毎夜映画監督の山本晋也氏とNHKの小野アナウンサーの
対談があり都度主演をつとめた仲代達矢さんの撮影当時のエピソードや出
演者の方たちの話題もあり、すばらしい番組でした。
「人間の条件は」50年余り前に作家五味川純平氏の原作で、発刊され
た 時買って読みました。文庫本だったと思います。
1部から6部まであり、発売されるのを待って読んだ記憶もあり、映画も見て
ありましたが、何しろ50年 余ともなれば、忘れています。
しかし改めて全ストーリーを見て、戦争がもたらす残酷さ無念さとその中に
あって主人公梶のヒューマニズムを貫きそうとする中での葛藤や妻美千子
への愛情に心を打たれました。
戦時下満州に在って、最初は軍事産業の一つであった鉱山での現地
の中国人(捕虜)を使っての作業で、苛酷な労働をかせていたことへの
批判もしてきた。
軍隊に入ってからの軍律の厳しさに耐え、上等兵として二等兵への労
わり、そして、敗戦色(敗戦が分からない)の濃い中、ソ連兵の侵攻、
女性への暴行などへの対処、など要所に人間梶のあり方を見ました。
敗戦となりソ連の捕虜として厳寒なロシアでの、飢えと過重な労働に脱走
するが、・・・・最終6部ではついに死の彷徨となる。
たった一つのまんじゅうを手に(盗んだ物) -美千子許してくれるか。生きるために何人もの人を殺し、盗みもしたそれでも許して欲しい」と・・・・・
「2年間離れていたがこのまんじゅうだけの土産だがこれをもって君のところへ今夜帰る」と・・・・・
独り雪積もる極寒の地をさ迷い歩き、ついに力尽き、雪の地面に・・・・・・
場面では美千子の明るい笑い声と喜びの声だけが、多分梶の頭の中をかけ
めぐっているのだろう・・・・・・
6部合わせて9時間30分と言う、4年間にわたり撮影された映画でした。
監督は小林正樹氏、監督はじめ、出演者多くはすでに黄泉の国の人と
なっています。
新球三千代さん、高峰秀子さん、岸田今日子さん、佐田啓二さん、
山村総さん 千秋実さん、金子信雄さん、笠智衆さん 小沢栄太郎さん
など懐かしい俳優さんでした。
ちなみに主演の仲代さんは26歳で始まった映画だったそうです。
最後のシーンは北海道のサロベツで死と言うことがこのように分からぬよう
になっていくのかと・・・・・生涯忘れえぬ映画となったと。