宮本輝 著。
何故読もうと思ったのか、きっかけは全然覚えてないんだけど
この人の本をかなり前に数冊買った。
ずっと放置していたその中の一冊を最近読み終えました。
『螢川』は富山が、『泥の河』は大阪が舞台。
どちらも方言が利いている。
そして情景が、目の前にかなりはっきり浮かぶのです。
どちらも昭和三十年代の8歳と14歳の少年を通して描かれていますが
描写が繊細で全体に儚い雰囲気が漂うのと同時に
書き手の優しさを感じる文体でした。
著者は、幼少期少年期を大阪と富山で暮らしているので
体験がベースになっているようですね。
『蛍川』は芥川賞を、『泥の河』は太宰治賞を受賞していますが
私はどちらかというと 『泥の河』の方が好きかもしれない。
読みながらその場の匂いさえ感じられた、っていうか
ねっとりとした空気感がたまらなかった。
活字を追う時間が また戻りそうな予感。