今日のシネマ
この、「桐島、部活やめるってよ」が、昨年上映されたことは知っていましたが
けったいなタイトルの映画だなぁ~ と、ほとんど気にも留めていませんでした。
が、しかし、先日、男性では最年少、そして初めての平成生まれの直木賞作家となった、朝井リョウさん。
彼がこの映画の原作者と知って興味津々。
それに加えて、私が観たいDVDをチョイスする時の参考にさせてもらっている数人の映画ファンの方たちが
「桐島、部活やめるってよ」は2012年の邦画ベスト1だ!!
と言っているのを知って、こりゃあ観なきゃ、と慌ててレンタルしたわけです。
これは・・・・好き嫌いが分かれる映画ですねぇ。
現に、昨年の上映時、観終わった高校生の何人かが、「なんだこれ、全然面白くないじゃんか」
と早々に劇場を後にした、という話もどっかに書いてありました。
いわゆる明るい学園もの、を期待すると打ちのめされます。
でも・・すごい映画だと思いますよ、これ。 深い、深い。
高校生諸君! この映画の何が深いのか、是非観て考えてほしいです。
あんまり書くとネタバレになっちゃうかなぁ。
いいか、書いちゃおう。
タイトルになっている 〝桐島" くんは この映画の中には登場しません。
最初から最後まで、生徒たちの会話の中だけに出てきます。
で、この桐島くんていうのは、勉強も出来て、スポーツ万能で、美人の彼女もいて、友人も多くて皆の憧れ的な存在・・・らしい。
いわゆる・・・・この高校の象徴であり、頂点にいるような生徒・・・らしい。
でね、この桐島くんになんらかの関わりがあった生徒たちは
桐島くんが突然部活を辞め、学校にもこなくなったことでパニックになり、自分の生活に歪が生まれ始める。
どんだけ桐島くんに依存してたの、って感じですよね。
しかし、最初から桐島くんと何の関係もなかった子たちは、そんなことに惑わされずに
自分たちのやりたいことに向かって進んでいくわけです。
その代表が 映画部の前田くん(神木隆之介)なんだけど、
学校の中で、映画部っていうのはオタクっぽくて、皆からちょっとうざがられてたわけ。
だけど、桐島くんが居ようが居まいが彼らにはどうでもいいことで、
みんながオロオロしてる時にも淡々とビデオカメラを回し続ける。
もう一人、鍵となる 宏樹くんって子がいるんだけど
この子と前田くんのやりとりが この映画のクライマックスになってます。
すごく考えさせられます。
人気があったって、カッコ良くたって 生きる目標とか、心から打ち込めることがないっていうのはすごく空しいことなんだよ。
宏樹くんはさ、ダサいって言われながらも自分の好きなことに情熱を傾ける前田くんや
3年になってもドラフトまではな、って言いながら引退しない野球部の先輩が、きっと羨ましかったんだよね。
もしかしたら・・・桐島くんも似たようなことで悶々としていたのかもしれない。
でもまあこれは勝手な想像に過ぎません。
だって桐島くんは一回も登場しないのだから。
全くうちの子ったら何考えてるのか・・・って思ってる親は多いけど
きっと彼らは彼らなりに色々悩んでいるはずです。
学校内には悩みの種がウジャウジャありますから。
高校生はもちろんだけど、これってその親御さんが観るのにもいい映画なのかも。