今日のシネマ
2020年 デンマーク
◆俳優の名前をクリックすると詳細が見れます◆
冴えない高校教師のマーティンと3人の同僚は、ノルウェー人の哲学者が提唱した
「血中アルコール濃度を一定に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」
という理論を証明するため、実験をすることに。
朝から酒を飲み続け、常に酔った状態を保つと授業も楽しくなり、
生き生きとするマーティンたち。
生徒たちとの関係も良好になり、
人生は良い方向に向かっていくと思われた。
しかし、実験が進むにつれて次第に制御がきかなくなり……。(映画comより)
この映画を一言で表すとしたら
”お酒がもたらす メリット と デメリット を 真正面から描いた”
って ことでしょう
しかし、そのデメリットの部分が痛烈でした
舞台になっているデンマークと日本の飲酒に対する考え方の違い、を
まず知っておかなくてはなりません
デンマークでは スーパーなどでお酒を買えるのは16歳以上だそうです
お酒の度数の高いものは18歳から
これはあくまでも「買う」場合の話で、「飲酒」に関しては 保護者の許可があれば
何歳からでも差し支えないということで
実際にデンマーク人は 平均で14歳くらいからお酒を飲み始めるそうです 😲
その事の善し悪しは別として、「自分の責任は自分でしっかりとる」
という文化が根付いている国だからこそ成り立つことなんでしょうね
こう書くと、この映画が 子どもの飲酒の話かと思うかも知れませんが
そうではなくて、大人、しかも高校の教師の飲酒についてです
ストーリーについては 青字のイントロダクション通り ↑
前半はとても興味深く、面白いところに目を付けるな~と暢気に観ていました
が・・・
「酒は飲んでも飲まれるな」
後半からこの標語が頭に浮かび始めます
これは国の違いとかではなく、お酒に飲まれたら待っているのは破滅です
そこで気付いて立ち直れる人はいいですが
そうじゃない場合どうなるのか・・・
年を取る・・ということは体力や気力がだんだん衰えてきて
先の希望や夢が、若い頃よりも持ちにくくなっていく・・
もちろん全ての人がそうではないでしょうが、
そこでお酒の力を借りて少しでも気分を上げたいと思うのは
決して悪いことではなく、時には有効な手段だと思います
うちのパパさんは、「お酒が人生の一番の楽しみ 他には考えつかない」と
天使のような微笑みの妻を前にして言い切っていますから
ま、それはいいとして、
とにかく何に対しても ”ほどほど” が わかる人間になれたらいいんですけどね
ラストは これから未来に向けて羽ばたくエネルギーに満ちた学生たちと
見えない未来に自分を奮い立たせようと足掻く主人公の対比が見事でした
主演の マッツ・ミケルセン ・・・ なんてセクシーなんでしょう
『ファンタビ』でのグリンデルバルド交代も結果的に全然アリだったし
この人の品のある色気・・・好きだわ~
同僚の教師たちは トマス・ボー・ラーセン、マグナス・ミラン、
ラース・ランゼ、
妻には マリア・ボネビー
監督は トマス・ビンターベア ですが、実はこの映画の撮影が始まって4日目に
娘のアイダさんが不慮の事故で亡くなりました
本作で、ミケルセンの娘役をすることになっていて、
彼女もこの映画に色々なアイデアなどを出していたそうです
同級生たちが彼女を偲びクラスメート役で出演しています
第93回アカデミー賞 国際長編映画賞でオスカー受賞
2022-74