城台山日記

 城台山の麓で生まれ、毎日この山に登り、野菜・花づくり、読書、山登りをこよなく愛する年寄りの感動と失敗の生活日記です。

いま、農薬は安全である

2019-07-18 19:55:45 | 面白い本はないか
 野菜づくりとバラの栽培を趣味とするおじさんには、できるだけ農薬は使いたくないのが心情である。もっと凝り性の性格ならば、きっと無農薬の道を究めるかもしれない。だが、全てにおいて適当(悪く言えばいい加減)な性格なので、あるときは無農薬にこだわってみたり、次には面倒くさいので農薬を使ったりと定まらない。日本の高温多湿な気候の中では、植物は病気になるし、害虫の餌食ともなる。この環境の中で大変手間のかかる無農薬を貫き通すことは容易でないことは言うまでもない。

 有坪民雄著「誰も農業を知らないープロ農家だからわかる日本農業の未来」は面白かった。農薬は、技術進歩によって、格段に安全性が増している。むしろ、無農薬にこだわるあまり、使用する天然素材例えば木酢(私もバラにかつて使っていたが、あまりにも効かないので止めてしまった。)などはコップ一杯飲めば命に関わるとおり、危険だということだ。農薬は成分が分かっているので、その危険性について実験できるが、木酢の成分は多様なので危険性について実験できない。大根おろしの辛み、わさび、トンガラシなども量を間違えれば害となる。

 著者が無農薬農家を次の4つに分類している。
①農薬を危険だと考え、安全な農作物を作ろうとする農家
②高収益を得る手段として無農薬を選択する農家
③自分の栽培スキルを高めようとする農家
④生き方、ライフスタイルとしての無農薬を選ぶ農家
①のケースが最も周囲の農家から嫌われる存在で、周囲とのあつれきさらには良い結果が得られずに数年のうちに撤退するのが多い。この本の中には、有名な無農薬農家の口から④で続けていると聞いたことが紹介されている。

 また、DDTにまつわる話も面白い。DDTはその発がん性等のゆえに、使用が中止となった薬剤であるが、マラリアの撲滅に大変力があった。ところが、使用中止となってマラリアが勢いを取り戻し、これにより多くの死者を出している。副作用による死者とマラリアにかかって死ぬ者と比べて見ると後者の方が多い。また、自民党が進める農協改革もピント外れが多いことを指摘する。(改革、改革と全ての政治家が発言するが、実はピント外れが多いことをそろそろ気がつくべきだと思う。改革は改善なら良いが、改悪もある。)とにかく面白さ満載の本であるが、農薬についての知識(化学)には脱帽である。
コメント
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