城台山日記

 城台山の麓で生まれ、毎日この山に登り、野菜・花づくり、読書、山登りをこよなく愛する年寄りの感動と失敗の生活日記です。

コンビニ雑感 19.9.3

2019-09-03 19:44:40 | 面白い本はないか
 自宅から最も近いコンビニは300m離れたファミリーマート、1kmのミニストップ、1.2kmのローソン、1.5kmのセブンイレブン。トミダヤが撤退し、スーパーがバローだけになった揖斐地区にとり、コンビニは今や確実に社会のインフラとなった。コンビニが出来た当時、商品の数も少なく、値段も高いコンビニの価値が私にはわからなかった。しかし、今やATMを備え、宅配の発注・受け取り、お総菜の取り扱いなど様々なサービスを提供できる店舗としてその価値は上がり続けている。

 吉岡秀子著「コンビニドリーム」を読んだ。ローソンのオーナーにインタビューしたものをまとめた本である。私は雇われ人としての人生経験しかないが、オーナーたちの商売に対する情熱の一環に触れることができた。コンビニのオーナーというと昔酒屋や米屋というイメージで、一店経営というのが多いと思っていたが、多数の店舗を展開するオーナーが多いのに驚いた。こうなるともう立派な企業ということになる。各店のスタッフが一丸となって、周りの環境、天候、季節に応じて、品揃えを変えていく、そしてその結果は売り上げにすぐ結びつく。

 タイのバンコクにもセブンイレブンがあるが、ここはアメリカのセブンイレブンの系列で、店内は雑然としている。日本のような整然とした陳列棚は見られない。バンコクでは、お総菜売りなど小商いの店が至る所にある。小資本で店を始めることができるので、少し商売気があれば始められる。日本も戦後まもないときにはこうした小売りの店が大繁盛していた。日本では小売店が急速に減り、地域の商店街は今やシャッター街と化した。地域活性化の起爆剤として、こうした小売りを活性化することはできないであろうか。

 コンビニドリームの最後に、「コンビニ人間」を書いた村田紗耶香が登場する。著者は20年コンビニの店員を務めたそうである。そこで、この「コンビニ人間」をアマゾンで買い求め、読んでみた。160ページの本なのですぐに読める。小説苦手な私にもそれなりに面白かった。コンビニには様々なマニュアルがあるが、店員の創意、気づきを発揮する場所はある。この小説の主人公は、大学から18年コンビニ店員を務める。休日には翌日の勤務に備え、睡眠など体調を整える。一時的にコンビニを離れると、もう生活のリズムさえ維持することができずにコンビニに戻る。

 何となく今の若者像と重なるところがある。いわゆる指示待ちの姿勢、自分で自ら考えて行動できない。膨大なマニュアルがなければ何もできない。大きな決められた枠の中で創意工夫をこらす。日本の得意技ではある。しかし、コンビニの時給は安いし、何よりも24時間営業という難題もある。私は、小売り、サービス業の年中無休には批判的である。消費者として確かに便利だが、労働者としては無理を強いている。ドイツにように、休むべき時は皆が休むというのが健全な社会だと思う。日本は住むには便利な所だが、働くには大変苛酷な国である。
コメント
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