ここしばらくは、「すぐに役立つ統計のコツ」では触れていない効果量(ES)や検出力(Power)の求め方をご紹介して来ました。
ES や Power の筆算でのキーワードは「非心t分布」です。これを筆算するのはやっかいですが、幸いにも"CASIO" の電卓??(下記URL)を使えば楽ちんです。
http://keisan.casio.jp/keisan/service.php
やってみましょう!
上記URL画面より、
[専門的な計算]→[統計関数]→[非心t分布]→[非心t分布]を選択
[専門的な計算]→[統計関数]→[非心t分布]→[非心t分布]を選択
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http://keisan.casio.jp/exec/system/1161228870
http://keisan.casio.jp/exec/system/1161228870
非心t分布の確率密度、下側累積確率、上側累積確率を求めます。
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図1 未入力画面
図1の画面で次により計算した値を入力します。
・パーセント点(x):t(α, df)
・自由度(v):n1+n2-2
・非心度(λ):es × √(n1*n2/(n1+n2))
・自由度(v):n1+n2-2
・非心度(λ):es × √(n1*n2/(n1+n2))
例えば、
2つの平均値の差(対応なし)の検定データから、次の値から Power を求めて見ましょう。
2つの平均値の差(対応なし)の検定データから、次の値から Power を求めて見ましょう。
n1 = 30
n2 = 20
効果量d = 0.954
有意水準α = 0.05
n2 = 20
効果量d = 0.954
有意水準α = 0.05
まずは、下記の筆算を行います。
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● 自由度(v)=30+20-2=48
● パーセント点(x)=t(0.05, 48)=2.0106:(注1)
● 非心度(λ)=0.954×√30×20/(30+20)=3.3047
● 自由度(v)=30+20-2=48
● パーセント点(x)=t(0.05, 48)=2.0106:(注1)
● 非心度(λ)=0.954×√30×20/(30+20)=3.3047
注1:
t分布のパーセント点は、
[専門的な計算]→[統計関数]→[スチューデントのt分布(パーセント点)]→
t分布のパーセント点は、
[専門的な計算]→[統計関数]→[スチューデントのt分布(パーセント点)]→
[累積確率:0.025, 自由度:48]→[2.0106]
として求めれば良いでしょう。
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そして、
上記の値をそれぞれ図2の様に入力し[計算](6桁に変更)をクリックすると、図2の結果が得られます。
上記の値をそれぞれ図2の様に入力し[計算](6桁に変更)をクリックすると、図2の結果が得られます。
図2 入力と計算結果の画面
上側累積確率の値(0.8994)が Power(1-β)=89.94% となります。
では、
次の「対応あり」のデータをやって見ましょう。
次の「対応あり」のデータをやって見ましょう。
n = 101
効果量d = 0.322
有意水準α = 0.05
効果量d = 0.322
有意水準α = 0.05
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●自由度(v)=101-1=100
●パーセント点(x)=t(0.05, 100)=1.984
●非心度(λ)=0.322×√101=3.236
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●自由度(v)=101-1=100
●パーセント点(x)=t(0.05, 100)=1.984
●非心度(λ)=0.322×√101=3.236
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上側累積確率の値(0.893) が Power(1-β)=89.3% となります。
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統計のコツのこつ(40)に対するコメントをご紹介します。
統計のコツのこつ(40)に対するコメントをご紹介します。
杉本典夫 先生のコメント要旨
対応の無いt検定(一元配置分散分析)と対応の有るt検定の違いは、前者が2群の平均値の差が0かどうかを検定するのに対して、後者が変化量平均値が0かどうかを検定する点です。そのため「一般的には有意差の出やすい方法を採用」するのではなく、時期変動を検討するための評価指標として、平均値の差が妥当なのか、それとも変化量平均値が妥当なのかで使い分けるべきです。僕のサイト(http://www.snap-tck.com/room04/c01/stat/stat03/stat0303.html)にこのことを端的に表す例を挙げてあるので参考にしてください。
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