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サーストンの一対比較 ( Thurston's Paired Comparison ) について。
医療従事者の救命救急講習会でAEDの使用について、次の様なアンケート調査をしたとします。
A:誰でも使用出来るのが良い。
B:医師や救命救急士に限るべきだ。
C:間違っても安全であること。
そして、集計結果が表1の様であったとします。
表1:アンケートの集計結果
A B C
A * 15 12
B 7 * 12
C 5 14 *
表1は、
AとBの比較でAが重要とした人が15人、Bが重要とした人が7人、
AとCの比較でAが重要とした人が12人、Cが重要とした人が5人、
と言う事になります。この結果から AED 使用の認識に差があるかを見るのがサーストンの一対比較です。分析結果は図1の様に一次元上の Score の散布によって表すことが出来ます。
図1から、
AEDの使用では、「A:誰でも利用出来るのが良い」と「C:間違っても安全であること」が多く、
「B:医師や救命救急士に限るべきだ」の意見は少ないようです。
「A・B・C」相互間の出現比率は、
A:B [ 68.18% , 31.82% ] , p=0.0348 ( Significant )
A:C [ 54.55% , 45.45% ] , p=0.763 ( N.S.)
B:C [ 36.36% , 63.64% ] , p=0.1317 ( N.S.)
となり、
各2群間の母比率の検定では、A と B 間に統計学的な有意差があると言えます。
すなわち、
救命救急受講者のAEDに対する認識は、「A:誰でも使用出来るのが良い」と言う事になりますが、実際の現場に遭遇すると医療従事者でも躊躇するようですので、やはり、機会があれば救命救急講習会を受けておきたいものです。次回は、
シェッフェの一対比較について考えます。