父の父ですから私のおじいさんですが、
私の記憶には素足にわら草履で杖をつきながら小1時間をかけ私の家に来ることがありました。
汚れたままで家に上がるおじいさんを母は嫌いらしく、おじいさんが来ると何時も不機嫌でした。
しかし、父はおじいさんに優しかった様です。
おじいさんは一人で離れの物置小屋の様な所で寝起きしていました。
それ程に、おじいさんの青田買い(米投機)の失敗で全財産を失った家族の生活は深刻で、
それ以来、おばあさんは亡くなるまでおじいさんを近づけることはありませんでした。
おばあさんが亡くなったとき、父や父の兄弟達がおじいさんを会わせぬ訳にはいかないと、
おじいさんをおばあさんの亡骸と対面させまし。
おじいさんはおばあさんの手を握ってうな垂れていました。諭されても離れようとせず、いつまでも手を握っていました。
父はおじいさんに優しかったと思います。
近鉄の車中でもよくおじいさんの話を聞かされました。