◆自由な投句箱/花冠発行所◆

主宰:高橋正子・管理:高橋句美子・西村友宏

6月9日(日)

2013-06-09 09:38:06 | Weblog
●小口泰與
百合の蘂赤城の風に逆らわず★★★
黒雲の透けて日矢射す矢車草★★★
定かなる鍋割山や立葵 ★★★

●迫田和代
麦秋の色の風吹く墓参り★★★★
麦秋のころの墓参は、お彼岸やお盆の墓参りと違って、故人の命日だったり、あるいは、たまたま思い立っての墓参だったりする。麦秋の色の風がしみじみと、懐かしく故人を思い出させる。(高橋正子)

渓流の鮎釣りの人に鮎の影★★★
ぎらぎらと入日が残す初夏の香を★★★

●河野啓一
夏星の溢れロベリア鉢植えに★★★
緑陰に句帳離せぬ車椅子★★★
アマリリスたくさん咲きし写真撮る★★★

●桑本栄太郎
雨降らぬ日差しうべない山法師★★★
花胡瓜の支柱の丈にまだ足らず★★★
あちこちへ穂がゆれ茅花流しかな★★★

●多田有花
<同窓会>
麦の秋みな過ぎし日を語りつつ★★★★
「麦の秋」は、セピア色となった過ぎし時を思い出させる季節である。セピア色となってゆく学生時代を懐かしみ、集うにはいい季節であろう。(高橋正子)

<星の子館・天文観察会二句>
麦星を仰ぐ街の灯を遠く★★★
梅雨晴れ間土星を覗く望遠鏡★★★

●佃 康水
山鳩のくぐもる声へ緑雨かな★★★
石垣の隙間湧き出る蟻の列★★★
伐り呉し白紫陽花やうす緑★★★

●藤田裕子
古きノートめくれば遠き初夏の詩★★★
青梅の太る日々なり雨なくも★★★
一つまたハイビスカスの黄を咲かせ★★★
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6月8(土)

2013-06-08 09:37:19 | Weblog
●河野啓一
野萱草日ごとに切られ活けられて★★★★
野萱草は一日で咲き終わり、翌日はまた別の花が開く。日毎新しい花を切って活ける。清潔でいきいきとした一花を大切にする暮らしがいい。(高橋正子)

樹の陰にぽっかり赤い百合の花★★★
梅雨入りして毎日仰ぐ青い空★★★

●小口泰與
郭公や田水満たしてテータイム★★★★
田水も満たして、郭公の声を聞きながらのティータイム。のどかで、涼しく、心豊かなティータイム。(高橋正子)

昼顔や棚田の水のひろごれり★★★
山風に矢車草の綾なせり★★★

●桑本栄太郎
泰山木の花や陽射しのいま西へ★★★★
おおらかな泰山木の白い花に、西に傾く日が斜めに遠く日差している。泰山木の花は西日に少し染まっている。(高橋正子)

塀上の柏葉あじさい風のまま★★★
寄り添うて田の片隅や余り苗★★★

●河野啓一
島影の遠くに見えて瀬戸の夏★★★
緑陰に牛飼の像もあり花時計★★★
忘れ草日ごと摘まれて活き活きと★★★
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6月7日(金)

2013-06-07 09:37:02 | Weblog
●小口泰與
昼顔の田川を攻めてなだれ咲く★★★
老木を雁字搦めや青蔦ぞ★★★
早朝の山の大気や草いちご★★★

●桑本栄太郎
部活子の少年追い抜き風青し★★★
青柿の葉陰の風にまどろみぬ★★★
人絶えて更地なりしや花うつぎ★★★

●川名ますみ
花槐メトロ出口に降りそそぐ★★★
地下鉄の出口に降るは花槐★★★
据がれきて団地の庭に実梅落つ★★★

●黒谷光子
夏草に座し湖からの風を聞く★★★
卯の花の傾れて湖の面に届く★★★
辻いくつ曲がりて大寺立葵★★★

●小西 宏
サングラス樹下に入り来て音失せり★★★★
サングラスの必要な明るい戸外を歩き、樹下に入ると、樹下はしんとして音もない。明暗の対比でいっそう樹下がしんとする。(高橋正子)

湧き水の闇に毒痛み大き群れ★★★
木道の青葦にある遠い鶯★★★

●古田敬二
芍薬に振れれば散れり潔し★★★
芍薬の薄紅一片残し散る★★★
潔く芍薬散るよ触れるとき★★★
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6月6日(木)

2013-06-06 08:06:33 | Weblog
●小口泰與
石楠花や日矢の降りくる山の寺★★★
夏富士や山道人の切れ目無く★★★
黒雲の忍びより来し雷雨かな★★★

●多田有花
緑濃くなればつるりと冷奴★★★
山歩く片手にありぬ汗拭い★★★
頂はそこだけ日差し夏帽子★★★

●桑本栄太郎
立葵明日を生きるしるべとも★★★
まつとうに生きて働き梅雨の闇★★★
おうおうと部活の声や青嵐★★★

●黒谷光子
青芝を踏みて湖畔の句碑めぐる★★★★
湖畔の青芝がすっきりとして涼しげである。そんな所に立つ句碑の句をあれこれ読んで頷くのも、いいものだ。(高橋正子)、

葉桜を洩る陽きらめく湖の風★★★
空の色湖の色あり紫陽花苑★★★

●河野啓一
天と地を結ぶ棚田の早苗かな★★★★
早苗を植えた棚田が地から天まで続く。天と地が薄緑の早苗で結ばれた。この発想が大きい。(高橋正子)

庭の隅むらさき露草涼しげに★★★
夏落葉の見分け方聞く苑の道★★★
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6月5日(水)

2013-06-05 08:05:53 | Weblog
●小口泰與
花茄子や水やる農婦太き指★★★
麦秋や戦後の御代のコッペパン★★★
湖風に苗代寒の朝かな★★★

●桑本栄太郎
梅雨空の降るとも云えぬ曇りかな★★★
曇りても日差し明るき五月空★★★
芒種はや風に湿りのふふみけり★★★

●多田有花
直立に濃く咲き登り立葵★★★★
立葵の花は、ピンク、白、赤色など様々ある。この句の立葵は、濃い色のもの。可憐な花の姿をしながら、「直立に」「濃く」咲いて、生命力のある花だ。(高橋正子)

緑陰の日差しを踏んで歩きけり★★★
新馬鈴薯のころころ小さきをもらう★★★

●河野啓一
焼き穴子煙たなびく魚の棚★★★
うすみどり昨日植えらる植田らし★★★
いとけなき細苗並ぶ植田かな★★★

●古田敬二
寝転べば足裏に明るき五月の陽★★★
紫に光る初茄子二つ採る★★★
芋の苗等間隔に寝かせ植え★★★

●祝恵子
鴨のいて花菖蒲池は賑わいを★★★
菖蒲園奥には小舟浮かばせて★★★
揚羽蝶吸い込まれそうに花の奥★★★
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