おはようございます昌栄薬品の宮原 規美雄です
薬学博士渡辺武著『漢方が救う人体危機』
現代医療の誤りを正す
第2章 漢方はどう診断するか
水滞(水毒症)の原因とその対症法
p141涙がとめどなく出るのは胃や腸に水滞が起こっているからだ!
作家で、初代文化庁長官だった今日出海(こんひでみ)さんは、長官に任官される前、それまでの疲労が一度に出て、持病である眼病のため失明寸前といわれました。
今さんはこれまで眼の角膜剥離(はくり)の手術を二度やりましたが、いずれも成功という状態ではありませんでした。
そこで、京大病院の眼科で三度目の正直で再手術をすることになりました。
今さんは大の高所恐怖症です。
パリに留学しておられたお嬢さんの案内で、エッフェル塔にエレベーターでのぼったが、上から下を見るのが怖(こわ)くてじっと座っていたという人です。
角膜剥離の手術は、眼の角膜をはりつける手術ですが、入院中の今さんからお呼び出しがあって駆けつけると、眼からはとめどなく涙が出ていました。
話の最中もハンカチを出して眼をぬぐっておられます。
担当医に「これでは水の中で角膜をはりつけるようなものだ」といって手術を少し延ばしました。
そして、「二週間の間に涙をとりましょう」と約束しました。
涙がとめどなく出てくるということは、眼が悪いわけではありません。
胃や腸の中に水滞が起こっていて、大・小便でスムーズに排泄されないために、しかたなく眼から涙で水分を出しているわけです。
そこで「桂枝加苓朮附湯(けいしかりょうじゅつぶとう)」という、神経痛やリューマチに効く薬を処方して、胃や腸の水滞を大・小便で出すことにしました。
最初は人の顔も涙が出てじっと見ていられなかったのが、八日目、十日目にはすっかり水分がとれて、からっとした眼になりました。
角膜手術は三~四度が限界とあって、担当医も好条件で手術して、こんどはみごとに成功しましたが、担当医も今さんもなぜ涙が出なくなったのか、私が胃や腸の水滞が原因だといっても、理解するまでずいぶん時間がかかりました。
現代医学で治療薬の少ないのは、眼科、婦人科、精神科の分野があげられます。
まず、眼科の眼の治療に、胃や腸の水滞で涙がとめどなく出るという論理は出てきません。
眼の涙は眼の病が原因で出ているとしか考えられないのです。
それもそのはず、欧米では胃や腸に水滞が起こるなんて考えられないこと。
肉食で塩分は摂らなくても、肉から直接に摂っています。
乾燥しているから、頭から皮膚から、自然に水分は発散しています。
腎臓に負担をかけて小便で水を出すこともありません。
だから欧米人には泌尿(ひにょう)器官の病気は非常に少ないし、泌尿器の薬の開発、研究もたいへんに遅れています。
ところが、日本人は米食に野菜食で、水滞で体表から発散ができないので、小便で出していて、腎臓に負担をかけています。
眼病の薬は、〝二階から目薬〟のようなものです。
肝油を飲むか、肝(きも)を食べるか、ビタミンAとかDとか、脂肪に溶ける栄養を摂るくらいしかないのです。
しかし、現実に眼から涙がとめどなく出ていたら見えません。
でも、医師からはさしずめ仮性近視ぐらいにしか診断してもらえないのではないでしょうか。
せいぜい、自律神経遮断(しゃだん)剤か催眠剤で眠らされるのが落ちです。
漢方は、眼は眼科ではなく皮膚の一部と見ているのです。
それで昔から眼はその人の体の状態を説明しているといわれてきたのです。
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