好意も嫌悪も表裏一体であることがわかる。
モスクワに留学中の考古学専攻のフィンランド人女子学生、ロシア最北端のムルマンスク行きの旅行を計画する。一緒に行く恋人(女性大学教授)がドタキャンとなり一人旅。
寝台列車の同室になったのは、ロシア人炭鉱労働者。初対面の挨拶から卑猥な言葉を投げかけられ、長旅の前途が暗澹たるものに。
無学vs学徒の会話は終始噛み合わないが、男が真っ直ぐな人間だということはわかる。
車掌と乗客の会話から、寝台があるコンパートメントは2等車であるゆえ、会話をせざるを得ない狭小な空間なのだ。
2人の持ち物から時代は1980年代か。女子学生が持つビデオカメラが盗難に遭った時点から、両者の感情の交わりが始まり。
他人の男女同室の寝台車など、今では有り得ない設定だが、半日くらい駅に停り、乗客が自由に散策に出掛けるなど、極寒地帯の悠長な旅である。
色恋がらみのストーリーではないが、切なくも清々しいラストでした。
仕事帰り、久しぶりの新宿シネマカリテ。コロナ禍以降、これも久しぶりの満席で最前列にて鑑賞。