神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[メキシコ] ククルカンをつかまえに(10) メリダ

2010-12-05 19:03:41 | メキシコ
9/19 夕 曇り ~ 9/20 朝 晴れ

ジャングルの中に埋もれた遺跡、ウシュマルを後にしてメリダへ。バスに乗っている間に雨が降ったりしたけれども、メリダに着く頃には青空が見え、なんと虹が出迎えてくれた。





メリダはユカタン州の州都で観光の拠点。カンクンはアメリカ人が多いので、ヨーロッパ人はメリダに来るんだとか(笑)

黄熱病の研究をしていた野口英世像のあるオーラン病院の横をバスで通過し、お写真タイム。でも、野口英世のwikipediaを見ても、オーラン病院の滞在は書いてない。エクアドルに行くときの話だっけ?





夕飯まで時間があったので、ホテルからソカロ(中央広場)まで行ってみようと思ったら、各所に偽ソカロがあって騙され、結局本物のソカロにはたどり着けず。この通り沿いにある四角い広場って言われてもねぇ。

ディナータイムは、ちょうどこの日誕生日のツアーメンバーがいて、サプライズの誕生パーティー。いい想い出になったことでしょう。

ちなみにこのときのケーキ(甘過ぎ)を食べきったのは自分だけだったことが判明。マジかー!





で、一夜明けて、今日は遂にチチェンイツァでククルカンをつかまえる日。いつものように朝は快晴。これがいつまで持つのやら。

朝食後に昨晩のリベンジで本物のソカロまで散歩。さすがに本物はでかいね。でも、なんだか平日の通勤時間帯みたいで慌しかったので、あんまりゆっくりも出来ず。本当に来てみただけ。





本当はこのままチチェンイツァに向かうのだけれど、夕方のククルカン降臨を見るためにいつものツアー時間割りからはズレてしまうので、なんとウォールマートへオプショナルツアー(笑)

地元スーパーではなくってウォールマートということで、アメリカナイズされた店内はものすごく珍しいということは無かったんだけど、普通にサボテンの葉や実を売ってたり、謎の南国系フルーツが多いのがメキシコ風。








まだ9月だというのにクリスマス飾りも売られ始めていたり、ハロウィーングッズも発売中。やっぱり文化的にはアメリカナイズされてる。あと、なぜかケロケロけろっぴのグッズとか。日本も文化侵略中。





おみやげのテキーラチョコとかを買って外のテラスに座っていると、店員のおばちゃんにいろいろ話しかけられたんですけど、スペイン語はさっぱりわかりませんわ。オラとグラシアスくらい。まぁ、何せ突発的な旅だったし、スペイン語の勉強なんてする暇なかったし(言い訳)

そんなわけで、ついにチチェンイツァに向けて出発するのであった。

(……やっとここまで来たよw)


[SF] S-Fマガジン 2011年1月号

2010-12-05 18:11:30 | SF
『S-Fマガジン 2011年1月号』 (早川書房)




毎号、なんとか特集と銘打って特集記事を作っているのがS-Fマガジンなのだが、今回は「テッド・チャン 新作中篇250枚一挙掲載」だけである。それだけで特集以上の特集記事扱いになるとは、さすがテッド・チャン。

テッド・チャンはなぜか日本以外ではそんなに人気が無くて、普段はサイエンス・ライターだか、テクニカル・ライターだかをやってるんだよね。たしか、自分の名前がクレジットされる出版用のじゃなくって、雇われ説明文章書き。

寡作っていうこともあるんだろうけど、これだけの大作家に技術説明文書かせるなんて……(泣)

他には、ゴシップ系記事の『くらやみの速さはどれくらい 』で有名なエリザベス・ムーンが移民排斥発言でウィスコンのゲスト招聘を取り消されたとか、中野善雄の「3丁目=ファンタジー」話とかがツボった。




◎:「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」 テッド・チャン

我々ソフト屋の言葉では、オブジェクトのライフサイクルと言えば、どこでnewして、どこでdeleteするのっていう話になるわけだが、ここでのオブジェクトは人工知能そのもの。生まれてしまった人工知能は、どうやって死ぬのかという話。

ソフトウェアの一生、進化ということを考えた場合、どこからどこまでがアイデンティティを持った存在なのかということが気にかかる。

アップグレードしたソフトウェアは成長した同一個体なのか、それとも別固体なのか。同一固体なのであれば、ソフトウェアの意識は、ソフトウェアではなくデータに宿っていると言えるのか。そもそも、同一とは何か。記憶の継続性でいいのか。複製とは何か、子供とは何か……。

読みながら、いろんなことを考え始めてしまったのだけれど、実はあんまりこの小説に書かれたテーマとは違うのかも。

自分はこの小説の主人公たちとはかなり違う考え方をしている。どちらかというと、彼らから敵とみなされてしまうかもしれない。あんまり擬人化していないというか、ソフトウェアはあくまでソフトウェアというか。

「ラブプラス」やその他の恋愛ゲームはやったことがないけれど、「ガンパレード・マーチ」の彼らの死をソフトウェア・オブジェクトの死とは考えたことは無かった。だって、復活できるし(笑)

じゃぁ、たとえば自分がアップロードになって、その複製をどうこうするみたいな話になったときに、その複製に対しての人権云々はどうなるという風に置き換えてみれば、確かに問題はあるよねと思うんだけれど。

ソフトウェアの進化の過程や、進化以前にプラットフォームが時代遅れになることによって実行できなくなってしまう処などは、まさに最近身につまされるところではある。互換性超重要。

で、ソフトウェア・オブジェクトは、文学的には人がそれを起動しなくなった、あるいは停止させたまま忘れ去った時に死を迎え、技術的にはそれを動作させるプラットフォームが時代によって失われた時に死ぬ。

逆に言えば、人が彼らを忘れず、プラットフォームにあわせてアップグレードを続けられれば、彼らは死なず、永遠に進化を続け、いずれは人間と変わらないくらいの存在になるだろうということか。

でもやっぱり、アップグレード後の存在が同一なのかどうかって処には、どうしても引っかかるんだよね。


△:「ぼくたちのビザンティウム」 アラン・デニーロ
雰囲気はいいんだけど、わけわからん。

○:「この土地のもの」 ティム・プラット
ニール・ゲイマン風。あえて言うなら、ふるさとの物語。現代に生きる神話的存在に興味があるならば、一神教に囚われない多神教のメンタリティにも興味を持って欲しいと思ったり、思わなかったり。



[メキシコ] ククルカンをつかまえに(9) ウシュマル

2010-12-05 16:17:23 | メキシコ
9/19 午後 曇り

遅めの昼食中も遠く雷鳴が聞こえてきたり、かなり怪しい雲行き。しかし、雨はそれ以上降らずに持ちこたえてくれた。さすが、チャックに祝福された旅。

ウシュマルもカバーも近くに川やセノーテが無く、雨水のみで発展した不思議な都市だと言われているが、こんな風に都合のいいときにだけ雨が降って、大事なときには雨の降らない祝福された土地であるならば、それも不思議ではない。

実際は、雨季だけに暮らした街だったりとかするんだろうか。見つかっている貯水地だけでは、ひと家族でも数日しか持たないというくらいだし。

さてそのウシュマル。入り口はきれいに整備された公園のような感じ。白い石造りのビジターセンターを抜けて、ハイキングコースのように整備された森の中の小道を抜けると、そこに見えてくるのは魔法使いのピラミッドだ。





小人が王様との知恵比べで一晩のうちに建てたという伝説があるため、魔法使いのピラミッドと呼ばれているが、実際は長い時間をかけて、5つの神殿が増改築されて複雑怪奇な内部構造を持つピラミッドである。





最初に見えてくるのは第3神殿の入り口で、本当はこちらが裏口。そこを左側に回りこんでいくと正面に出る。なんといっても目を引くのは、ピラミッドの角が丸いこと。角丸方形のピラミッドなんて、世界にここだけ。なんともかわいらしいデザインである。

そして、ここにもチャックの顔がいたるところにデザインされている。この地方でいかに雨が尊ばれ、水に苦労したかが偲ばれる。





東西南北に神を祭るレリーフがある広場の尼僧院を見学する。Quadrangle of Nuns(尼僧院)とは呼ばれているが、本当に尼僧院だったわけもなく、宮殿か神殿だったのではないかと思われる。このあたりのデザインは、規模は違うがカバーと一緒。もしかしたら、パレンケの宮殿の中庭(あれはcourtyardと表記されていたけど)も同じ役割だったのかもしれない。





東西南北にある神の顔は、アップで見ると返ってなんだかわかりませんが。これは渦巻きとヘビのモチーフですかね。現地で見たときはもっとそれっぽく見えていたんだけど。





次に訪れたのは双頭のジャガーの館。最初、“総統の館”と聞いて、なんじゃらほいと思ってしまった。総統じゃなくて、中庭に双頭のジャガーの像があるのだ。ジャガーの像は最初からこんな風だったのか、風化してしまったのか、なんだかのっぺりしていてジャガーっぽくない。どっちかというと……蛙?





そして、真ん中には、カバー神殿で見たお仕置き棒の巨大なものが。やっぱりこれ、お仕置き用の張り付け棒じゃないんじゃないのかね。でも、風化の仕方が、寄生虫に食われたみたいでなんだか気持ち悪い。





ジャガーの館のレリーフを見上げながらウロウロしていると、でかい声のガイジンが「お前は韓国人か?」と英語で聞いてきたのでちょっとビビった。Japanseseだと答えたら、これが通じない。ハポネスと言わないとわからなかったらしいが、おまえ、先に英語しゃべったじゃんか。しかも、なぜコリアンを知っていて、ジャパニーズを知らんのか。





そんなことはさておき、ジャガーの館を越えて、ついに大ピラミッドへ。ジャガーの館の建っている丘に隣接しているので、ちょっとずるして中腹から登れる(笑)

写真で見るよりも、実物は段差が狭くて登るのが大変。いや、降りるのはもっと大変だけど。




しかし、ここからの眺めはものすごかった。まさに森に埋もれた遺跡を見下ろす感じ。いずれ、我々の文明もこうやって森に帰っていくんだろうかと、神妙な気持ちになった。いや、実際は森に埋もれていってるのではなく、発掘しているんだけどね。






ピラミッドの頂上にも、チャックをはじめ、いろいろなレリーフがあるが、同じモチーフが縦だったり横だったりしているのは復元がいい加減なせいだろうか。どう見ても、上向いた鳥と横向いた鳥が混在しているのは作業員のミスだと思うんだけど。そう考えると、このきれいな配置もなんだか嘘っぽく思えてくる。





この後、遺跡が森に飲み込まれる直前のところまで行ったり、イグアナやらヘビやらをさがしたり、そこら中に空いている穴ぼこに落ちそうになったり……。最後のは嘘ですが。でも、遺跡の地面には謎の穴が多数空いていて、実は現在の地面は遺跡の屋根の上なんじゃないかと思うくらい。





名残り惜しく、魔法使いのピラミッドを振り返りながらビジターセンターまで帰ってくると、日本人のお兄ちゃんがなにやら深刻な顔で探し物。なんでも、チベットで買ってきた虹色水晶の玉を失くしたとかで、見かけなかったかどうか聞きまわっているのだとか。マヤ遺跡でチベット水晶を前に瞑想なんかすんな(笑)しかも、そのまま忘れてくんな(笑)

結局、見つかったんだろうか。まぁ無理なんじゃないかな。