神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] 星界の戦旗5 宿命の調べ

2013-04-13 14:32:10 | SF

『星界の戦旗 5 ―宿命の調べ―』 森岡浩之 (ハヤカワ文庫 JA)

 

遂に《星界シリーズ》が再開。星界の戦旗第一部が完結。

星界シリーズはあんまり思い入れがなくって、アーヴ語もまったく話せないのだけれど(普通はあたりまえ)、これは喜ばしいニュース。このシリーズは赤井孝美の表紙で勘違いされているけれど、結構本格的な宇宙SFなのですよ。

『星界の戦旗4』からは数年ぶりなので、その世界についていけるかどうか不安だったが、尊大で有能で心優しいアーヴの世界にすんなり入っていくことができた。

しかし、4巻はそんな終わり方だったっけという大展開。いきなり帝国軍の最終決戦である。特攻していく帝国軍。そして、崩壊していく帝都。華々しく散っていく、まさしくアーヴらしいアーヴたち。

なんというか、ザンボット3というか、さらば宇宙戦艦ヤマトというか。

そのさなか、アーヴたちがどうしても守りたかったものとは何か。というのがまた泣かせる。ラフィールとジントは“それ”を輸送するために、戦線を離脱。そんなわけで、彼らはあんまり活躍しない。きっと、帝国の捲土重来のカギとなるのだろうと思ったら、その通り。

第一部完とはいえ、まったく何も終わっていない。時間が空いたせいもあって、この巻から第二部開始と言ってもいいくらい。このあとどうなってしまうのか、ちゃんと続くのかも含めて、興味深いところである。

 

ところで、あとがきによると、著者の森岡浩之は大病を患って入院していたみたいで。『地獄で見る夢』とか普通に出版されてたから、ぜんぜん知らなかった。もしかして、こういう死後の世界の話を書いたっていうのは、入院の件と関係あるのかね。いや、読んでないけど……。

 


[SF] 任務外作戦

2013-04-09 22:48:09 | SF

『任務外作戦(上下)』 ロイス・マクマスター・ビジョルド (創元SF文庫)

 

《ヴォルコシガン・シリーズ》の最新巻。今度はなんとラブコメだ。

これまでもコメディ要素が強かったシリーズだけれど、今回は特にコメディ寄り。しかも、ベタなラブコメあり、ハチャメチャ系のドタバタありでもうてんやわんや(笑)

原題は『A CIVIL CAMPAIGN』で、なかなか含蓄があるなと思っていたら、副題が“A COMEDY OF BIOLOGY AND MANNERS”だそうで。そのままストレートじゃないか。

《ヴォルコシガン・シリーズ》としては、これまでマイルズが関わって来た人々のオールスターキャストという嬉しい展開。何しろ、マイルズが遂に結婚しちゃうわけだしな。

クローンのマークもすっかりヴォルコシガン家に馴染んで、恋人のカリーンとドタバタの嵐の目になる役割。

聴聞卿や国主代行としての仕事も、もちろん描かれていないわけではないが、それは二の次。何しろ、最後に事件を解決したのは、マイルズじゃなくって、なんとイワン(のバカ)だったというざま。マイルズはエカテリンにすっかりまいってしまったせいか、いつになくキレが悪い。マイルズは周りに振り回されるだけで、こちらも婚礼なグレゴール皇帝の方が活躍しているんじゃないか。そんなんじゃ、彼女を守りきれないぞ。

一方で、SFとしては副題の通り、生命工学が発展した先で出会うであろう倫理、慣習、法律の問題を取り上げている。卵子提供者の同意を得ない人工授精、DNA検査で明らかになった血統の断絶(つまりは不倫)、そして、性転換による女性の男系社会への挑戦……。あと、バター虫(笑)

これらの問題は、フィクションの世界だけではなく、現実問題として明日にでもおこりそうな事件ではないかと思う。このような問題に対して、どういうスタンスで臨むべきか。まじめに考えている人はどれだけいるだろうか。

実はこのネタは、進歩的な外惑星出身であるマイルズの母親が、封建的男系社会の貴族であるマイルズの父親と、いかにして出会い、文化のギャップを埋めて結婚に至ったかという長い話の一端でもある。

そして、バター虫といえば、我々はその前に、遺伝子組み換え作物に対してどのようなスタンスで臨むかという点をはっきりさせなければならない。遺伝子操作で生まれた怪しげな虫のゲロを食えるかどうかなど、その遥か先の議題だろう。

まぁ、そんな難しい話は無しにしても、とにかく楽しい話。懐かしきタウラ軍曹なんかも登場し、意外な人が恋に落ちたり、いわば、シリーズのボーナストラックのようなもの。もう、これで完結でもいいよと思えるくらい。

しかし、まだ未訳の作品が2冊も残っている。おチビなマイルズの冒険はまだまだ終わらないようだ。

 

 


[コンサ] 2013 J2 第7節 岡山 vs 札幌

2013-04-07 23:59:59 | コンサ

2013 J2 第7節 ファジアーノ岡山 3-2 コンサドーレ札幌 @スカパー

気象庁が不急な外出は控えてくださいとアナウンスするくらいの、台風並みな春の嵐。雨は止んだものの、吹き返しの風がめちゃくちゃ強い。こんな天気の中、岡山まで遠征したみなさん、本当にお疲れ様でした。

この日最大の話題は、ファジアーノ岡山特命PR部女子マネージャーに任命された桃瀬美咲。なんだか、田村英里子に似てますな(笑)

コンサドーレにもマネージャーが欲しいという声多数ですが、いやいや、うちにはコンサドールズがいるではないか。

 

さて、試合ですが……。

チョソンジン、松本という両サイドバックが負傷欠場になったので、両サイドバックは小山内、前というプロ2年目の19歳コンビに。CBにも奈良さん(19)とパウロン(23)で、若いというか、まだケツの青いDFライン。それを統率すべきは31歳のGKだと思うんだけど、実際どうなのよ。

今日も4ボランチ。テレのワントップ。4ボラの場合、パサーばっかりになってしまうので、トップはスピードのある選手を二人並べた方がいいと思うのだが、資金難のあおりでベンチには岡本も榊も無し。これがちょっと不安ではあった。

敵は負けない岡山。なんとこの時点で4位。J2で5年目だが、もうすっかりボトムズからは抜け出した感じ。

 

前半は風下。かなり強烈な風で、パントキックは大きく流される。

いきなり深井がボールを奪われたり、さらにカウンター食らいまくりで落ち着かない雰囲気。

しかし、この試合、実況が信用ならぬ。内村が宮澤で、宮澤が深井で、聞いていてもよくわからないので、自分の目だけが頼り。

前半17分にグイーンというミドルで失点。荒田のドライブシュート。これはすごい。杉山じゃなくても取れないだろう。

その後も、選手もボールも落ち着かない。見ている自分ももイライラ。風上からロングボールを放り込まれて、バタバタし続けるDF陣。攻撃もほとんど形にならない。

札幌は選手の動きが全体的に重たい感じ。これももしかして、風上に向かって走ってるせいだったりして。

前半終わって、シュート数は 4-1。岡山も攻めきれないようだが、安心もしていられない。


後半開始から財前監督が大きく動く。前→上原。深井→砂川。やっぱり、上里はボランチですよねー。前は狙われているようだったし、深井もいつもの“おかしさ”が身をひそめてしまっていた。

後半は風上になって、砂川がドリブルで持っている間に押し上げができるようになった。これで少しずつ札幌がペースを握り始める。

宮澤がいい飛び出しでゴール前。しかし、胸トラップだけでシュート打てず。宮澤の嗅覚はやっぱりすごいんだけど、シュート打ってよ。こんなシーンが2回連続。

砂川からのクロス。テレDFにぶつかる。オブストラクションが取られないのは不思議なプレーで、ファールだろと叫んだ瞬間に、内村がヒールトラップ。おしゃれヒールパスかと思ったら、そのまま不思議なゴールイン。

なんだかよくわからないけれど、とにかくゴールだ。これで同点。

さらに、上里の狙い澄ましたロングパスに内村が反応してダイレクトシュート。これは気持ちのいいシュートで逆転。

しかし、浮いたこぼれ球をヘディング押し込まれて、すぐに同点。杉山、出たら触れ。触れないなら出るな。これがバテ気味の岡山をすっかり復活させてしまった。

さらにコーナーから失点。岡山のいいところにボールが転がった。河合が相手選手をブロックしようとしたがさらに足を出された。

終了間際にテレ→前田。しかし、こんな短い時間では、たとえ本当に天才であってもなすすべなし。最後は連続コーナーキックからパウロン、内村とつないだ惜しいシュートもあったが、おしまい。

 

シュート数は 11-8 とだいぶ盛り返したものの、両チームとも単調で蹴り返すだけのプレーが多かった試合。それでも勝ち点3を取っていく今年の岡山は本物かもしれない。

一方の札幌から見れば、2失点目がすべて。あのタイミングで、あのとられ方は無いだろう。ああいうのを若さと言うのだろうか。

半月板損傷で全治4~6か月という古田を筆頭に、とにかく今年も怪我人が多くて話にならない感じだが、これは若手が伸びるチャンス。今回の試合のようにミスがあっても腐らずに、あきらめずに、前に進もう。

監督の采配に対しては、先発メンバーの組み合わせがもうちょっとどうにかならないものかと思う。次節はサイドアタッカーを使うか、スピード系のツートップでお願いします。選手の長所をうまく組み合わせれば、このメンバーでも、もっと結果が残せると思うんだけどね。

しかし、ホスン、早く復帰してくれないかな……。

 

 


[SF] 蒼穹のファフナー ADOLESCENCE

2013-04-02 23:50:23 | SF

『蒼穹のファフナー ADOLESCENCE』 冲方丁 (ハヤカワ文庫 JA)

 

なんと、アニメ『蒼穹のファフナー』を原作者(スタッフクレジットでは“文芸統括”)である冲方丁がノベライズした作品。なんで今頃と思ったが、電撃文庫から移籍の再刊。ついでに、Bluerayの販促も兼ねてということらしい。

正直って、アニメを見ずに読むのはお勧めしない。見てから読むのでも、読んでから見るのでも、アニメ必須。とにかく、小説だけでは完結していないどころか、描かれるのは、ほんの発端だけだ。

アニメとは甲洋の性格が違うし、三番機が“8人目の棺桶”になったりと、大幅にストーリーが異なる。しかし、詳細に語られる発端部分はアニメと変わらず、アニメでは良くわからなかった部分が補完されている。

特に、冒頭で死んでしまう雑魚キャラ扱いの蔵前のエピソードが悲しい。そんなことがあったなんて、まったく忘れてたよ。

アニメではよくわからなかった「あなたは―」の意味も、なんとなく把握。いわば、固体意識を持たない集合意識のみの存在の侵略であり、集合意識と離れた意識を敵と見做して同化する。それがフェスティムというわけだ。

そんなこんなで、読めば読むほどアニメを見直したくなる。さらに、小説としても、彼らの戦いを最後まで見届けたい。アニメのノベライズといえば、ただの焼き直しか、まったくの別物になってしまうことが多いのだけれど、これは小説とアニメが補完し合い、さらに昇華していく稀有な作品だと思う。

こういう小説が書けたのは、冲方丁がアニメ製作においても大きな権限を持っていたからなのではないかと思うのだけれど、どうだろう。

とりあえず、映画版『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』も見なきゃなぁ。

 


[SF] 咎人の星

2013-04-02 23:11:09 | SF

『咎人の星』 ゆずはらとしゆき (ハヤカワ文庫 JA)

 

見送るつもりだったのだけれど、SFマガジンのインタビューで興味を持って買ってしまった。結果的に見送りで良かったのに。

 

1990年から1991年を舞台にしており、「22歳未満の方はご遠慮ください。」と帯にある。1970年生まれの自分にとっては大ストライクなはずなのだが、取ってつけたように『予備校ブギ』みたいなTVドラマの固有名詞が出てくる程度で、1990年の空気は微塵も感じられなかった。

ハッキリ言って、90年代よりも古臭い感じがする。もう、完全に、俺から見ても一昔前。学生運動華やかなころの残滓を、2010年代の感覚(エディッタのキャラは完全に現在のものだろう)で書いているようにしか読めない。つまり、肝心の90年代がすっぽり抜けてる。

香名子の母親が大きなカギにはなるわけだけれど、どちらかというと、その母親の方が時代を感じさせるキャラクターで、それに引っ張られて70年代後半のイメージが大きくなってるんじゃないか。

どういう意図のもとにか、付け足しのような評論を物語の最後に組み込むことによって物語がメタ化され、それによって小説部分のチンケさが増すという謎構成。物語の中に組み込まれた部分も含め、とにかく蛇足が多い。

インタビューでは、ライトノベルの青年誌版と位置づけているようだが、これならナポレオン文庫の方がよっぽどまし。

〈90年代の青春物語〉である前に、「漫画というメディアの過渡期」ってあたりが重要だったのか。しかもそれって少女漫画だったりするのか?

残念ながら、俺にはまったく興味の無い分野の話だったらしい。

 

 


[SF] 悪の教典

2013-04-02 20:49:16 | SF

『悪の教典(上下)』 貴志祐介 (文春文庫)

 

映画版は見ていないが、大島優子に同意。この小説は嫌いだ。しかし、その理由は同じではないと思う。

そもそも、このジャンルも嫌いだ。ジャンルで言えば、ホラーでもファンタジーでもなく、ミステリなのだろうと思う。いったいどうして、こんな陳腐な展開で陳腐なオチを付けなければならないのだろう。

いや、もしかしたら、最初からブラック・コメディのつもりなのかもしれない。だとしたら、さらに悪趣味だ。

映画ならば、ヒャッホーとか叫びながら、大笑いして見るグラインドハウス的なやつか。悪趣味も突き抜ければ悪くないが、それにしては、これはちょっと中途半端でいただけない。

下巻の序盤あたりまでの、蓮実がいかにして完全犯罪をやり遂げるか、というあたりは非常にスリリングで面白かったのだが、学校祭前夜のエピソードに入ってからがダメダメ。もう、コメディとしか思えない。

感情を持たない人間がいたらどうなるか。そういうSF的なテーマのIFの物語として読めないこともないが、この夜のエピソードだけであまりに陳腐化して台無し。

ファンタジーとして見ても、巨鴉のつがい、フギンとムニンの扱いがダメすぎ。蓮実の悪事を見届ける役割だったのが、最後は悪事をそそのかす幻覚になっている。この扱いは完全に伏線の失敗。残ったムニンが完全犯罪のほころびになるくらいのことは見せるべき。

ああ、そうか、ムニンが蓮実を暴走させることによって、結果的に復讐したということか。そうであれば、鴉ごときの復讐のコマにされた生徒たちは救われないな。

『新世界より』は完全にSF的なフォーマットで面白く読めたのだが、これは無理。この作品をおもしろいと思える人とは趣味が合わないと思う。

鈴木光司と貴志祐介はSFファン判別機になりえるな。そこから抜け出したのが瀬名秀明だったので、SF作家クラブ会長辞任事件は本当に残念なのだよね。あ、なんかぜんぜん違う話題になってしまった。

 

 


[SF] 水の迷宮

2013-04-01 23:36:14 | SF

『水の迷宮 クラッシャージョウ・シリーズ11』 高千穂遥 (ハヤカワ文庫 JA)

 

なんと、《クラッシャージョウ》シリーズの最新刊である。このニュースを聞いたのは去年の年末だったと思うが、まさか本当に出版されるとは思わなかった。

クラッシャージョウの第1巻が発行されたのは1977年。アニメ化されたのでさえ1983年である。10巻は2005年。まだソノラマ文庫が健在だったんだよな。ソノラマ文庫廃刊に伴い、ハヤカワJAで復刊してたこともすっかり忘れていて、「なんでハヤカワが!」と思ってしまった。

俺がこのシリーズを読み始めたのはリッキーより年下だったが、今でもまだタロスの歳は超えていないぞ(笑)

 

今回はアルフィンもジョウも活躍がおとなし目。もっと死ぬ気に合ってもらわないと盛り上がらないじゃないか。そういう意味ではちょっと期待外れだったかも。

久川綾の「水の迷宮(ラビリンス)」から着想されたとあり、youtubeで聞いてみると確かにしっくりくる。これは必聴。水中戦に特化して生体改造された女傭兵の数奇な運命を描くという意味では、この歌とセットにすることでテーマがはっきりと浮かび上がる。

とはいえ、やっぱり、クラッシャージョウは死にそうになってなんぼだろう(笑)

SF的に見ても、ネレイスの存在が弱いんだよな。もうひとひねりあっても良かったと思うんだけれど。

他にも、女傭兵のアプサラが敵か味方か最後までわからないようにするとか、アルフィンがアプサラに嫉妬してラブコメするとか、いろいろ面白くなる要素はあったと思うんだけれど、描きたいテーマと読みたいシーンにちょっとズレがあった。

敢えて言うけど、ちょっと残念な出来だったと、個人的には思う。

 

 


[SF] 敵は海賊・海賊の敵

2013-04-01 23:00:58 | SF

『敵は海賊・海賊の敵』 神林長平 (ハヤカワ文庫 JA)

 

 

久し振りの《敵は海賊》シリーズ新刊。ここから、ハヤカワ文庫は怒涛の“往年の名作シリーズ”新作展開を開始。これもSF作家クラブ50周年イベントの一環なんだろうか。

今回の『海賊の敵』では、語り手がラジェンドラ。機械知性(っつーか、フリゲート艦)のラジェンドラが、独自に推測した匋冥側のドタバタも含めて、あくまでも文学的に事件を描写する。

もともと、第1作の『敵は海賊・海賊版』からして、自動小説執筆機から出力されたという体裁だったような気がするが、そんな記憶もロングピース社の捏造かもしれない。そんなわけで、《敵は海賊》シリーズは各巻が“パラレルワールド”と言われている理由が合理的に説明できることになっているのは注目点だ。

つまり、これはラジェンドラが事実をもとに脚色した報告書兼小説であり、真実かどうかは保証の限りではない。なんと、ミステリでもないのに、信頼できない語り手モノである。

 

そして、さらに興味深いのは、今回描かれる“匋冥教”の存在だ。

匋冥教は匋冥とはまったく関係ないところで生まれ、勢力を拡大した。その結果、匋冥教の信徒が匋冥に合っても、お前は匋冥ではないと言い出す始末。ここでも、事実をもとにしたフィクションが一人歩きを始める。

帯に「匋冥、神と対峙する。」とあるが、匋冥が対峙したのは神ではなく、自分自身のフィクションである。すなわち、フィクションが神なのである。(逆に言うと怒る人がいそうなので、あくまでもこの語順)

このテーマは、神林のほかの小説にも通じていて、『ぼくらは都市を愛していた』の“都市”もフィクションであれば、『戦闘妖精・雪風』のJAMもフィクションである。(ある意味で、というか、いろんな意味で)

ひとが認識できるものは、事実そのものではなく、もしかしたら意識というフィルターを通したフィクションなのかもしれない。そして、ひとは常に自分自身のフィクションと対峙しなければならない。それが、社会で生きるということなのだろう。


なんてことを考えつつも、シャルなんていう懐かしキャラクターも登場したりして、非常に楽しい小説だった。海賊側の掛け合いが絶妙におもしろいし、それをわざわざ書いているのがラジェンドラというのが、またメタに楽しい。シャルと匋冥の逢引きシーンをラジェンドラが書くんだぜ。いったい、なんだそりゃ(笑)

 

 


[コンサ] 2013 J2 第6節 札幌 vs G大阪

2013-04-01 22:30:32 | コンサ

2013 J2 第6節 コンサドーレ札幌 1-3 ガンバ大阪 @スカパー


前節は右SBのチョソンジンが怪我で途中交代、センターバックの奈良がイエロー二枚の退場で今節出場停止。そこで布陣はどうなったかというと、CBにパウロンが初登場。右SBには前節に続いて上原。

パウロンはデカい新外国人。身体能力は高いらしいが、連携面でどこまでできるかが不安。そして上原はFW登録の攻めの選手。前節のスクランブルは合格点どころか、決勝点にまで絡む活躍だったが、本職の選はどうした。日高はまだダメなのかね。

と、DFラインは想定内だったものの、中盤は古田が再び控えに回って河合、深井、上里、宮澤、内村。宮澤がトップ下で内村をサイドに使うのかと思いきや、前田と内村がツートップ気味の配置。上里が右で宮澤が左。

これはメンバー選択ミスったんじゃないかと、正直言って感じた。サイドアタッカーが誰もいないじゃないか。

しかし、蓋を開けてみると、去年から続けている4-2-3-1ではなく4-4-1-1。ある意味4ボランチ。守備の時には綺麗に2ラインを作って、的確にパスカットを狙っていく。これはやはり守備重視の布陣か。

まず上里の守備からチャンスを作る。続いて、内村からのカットから。パス回しをさせておいて、うまくパスカットから速攻というのがこの布陣の理想の形っぽい。

それにしても、今日も深井がいろいろ“おかしい”件。これまで、古田や奈良も新人離れしておかしいと言われていたが、深井はそれ以上だ。今月18歳になったばかりなのに、4ボランチの中で一番落ち着いてるし、フィールドも良く見えていてサイドチェンジも適確だ。

あれ、と思っていると、上里と宮澤がポジションチェンジ。上里が左で宮澤が右。そうそう、これの方がしっくりくる。

左に戻った上里が調子に乗って強烈なミドル。しかし、これはバーを叩いてゴールラインの前に落下。あと1センチ下だったら、ゴールラインの内側に入ったかもしれないくらい。今日なかなかいけるんじゃないのか。

しかし、守備ではパウロンが危なっかしい。やはり連携が取れていないのか、パスミス多し。バックパスも弱くて、危うくレアンドロにごっつあんゴール。パウロンは杉山を信用し過ぎ。杉山が前に出てボール蹴ってくれるわけないじゃん。

割といい感じに進めていたのに、前節の右SBに続いて、今度は左SBの松本が負傷退場。で、堀米が謎の5人目の外国人ゴメスとして登場。松本は大卒ルーキーながら、開幕戦から無難にこなして、左SBとして完全に定着していただけに残念。

しかし、変わった堀米もまったく物怖じせず、遜色ない出来。スクランブルとしては全く問題ない。課題と言えば、フィジカルくらいか。

しかし、そんな中でガンバ先制。やっぱりレアンドロ。

クッシーが振り切られてクロスを上げられ、上原がマークに付いていたのをうまくいなされた。間のパウロンもボールウォッチャーになってしまった。ふんわりクロスだったので、杉山が出ても良かったのだが……。プレーに係わった全員が少しずつ足りなかった。最後はヘディングで杉山の股抜き。

前半終了間際という最悪な時間に決められて、0-1で前半終了。


後半、深井のロングシュートで開始。そうそう、とにかくシュートをどんどん撃っていこう。

しかし、ガンバも攻める。クロスバー、そしてポストに連続して救われる。前半よりプレスが弱くなった感じ。

次は札幌のターン。カウンターで攻めるが、前俊のシュートを藤ヶ谷が触ってゴールを外れる。しかし、なぜかゴールキックで怒りの場内&TL。

こんな感じで双方にチャンスが訪れるが、ゴールは生まれず。局面打開のために上里に代わって古田を投入。

その後ガンバのターン。ゴール前の混戦時で後ろから飛び込んできた選手に誰もついてこなくて失点。みんなボールに行きすぎ。

そして札幌のターン。3対2になったカウンターは、前田のシュートミスでゆるく藤ヶ谷の正面。

交互にチャンスは訪れるが、なぜか決まるのはガンバの方だけ。

そしてさらに最悪なことに、古田負傷。レアンドロのシュートを足先でブロックして捻ったかも。足を引きずって、自分で×を出す。それでも、守備で自陣ゴール前まで全力疾走。退場時にはユニホームで顔を隠して退場。痛いのか、悔しいのか、泣いているのか。

古田に代わって砂川。そして、上原が前に出て宮澤が右SBというちょっと意味不な布陣になってしまう。古田は、わずか10分間のプレーでおしまい。そして負傷二人のために交代カードを使い切る。

その後に問題のオフサイド判定のシーン。ガンバフリーキックからガンバ岩下がDF裏へ走り込むが、ボールは札幌のクリアミスのようなヘディングがつながり、最終的にオフサイドポジションの岩下へ。あっさりゴールを決めるも、オフサイドフラッグ。ここで主審が副審に確認し、結局、ゴール認定。

FIFAの年次総会でどうとか議論はあったものの、主審は最初からゴールを認めていないのでゴール取り消しではなく、FIFAのルール改訂は2013年7月以降とのことで、これは問題ない判定とのこと。そうだよね、2013シーズンって、秋春制のFIFA的には2013-2014シーズンのことだよね……。

しかし、家本についても書いたけど、ゲームをコントロールするっていうのは、正しいジャッジをすることとイコールではないんだよ。観客におもねるというのも違うけど、観客や選手から見て、ちゃんと理解できるように裁くのが最優先だと思う。

少なくとも、オフサイドフラッグが上がっている時点で守備の反応が止まるのはどうしようもないと思うのだが。それでも笛が鳴るまでプレーを止めるな、とは言うけれどもね。

アディショナルタイムに、やっと宮澤がゴール。ゴール前での冷静さとシュートの正確性では前田より上だと思う。さすが、俺らの10番。意地で1点返したという形だが、さすがにここまで。


今日は審判が話題を持って行ったようなものだが、やっぱりガンバは強かった。ひとつひとつのプレーの質はコンサドーレよりもはっきり上だと思う。なんで勝てないのかね。やっぱり藤ヶ谷が……。

チョソンジンに続いて、松本、古田と負傷でいなくなってしまうという逆境だが、パウロンも堀米もそれなりの合格点だし、まだまだシーズン序盤だ。怪我の状態は気になるが、宮澤をCBで先発させた去年と比べれば、まだ致命的な選手不足というわけではない。

次節は奈良+パウロンがセンターで櫛引が右SBなんてこともありそう。いろいろな組み合わせを試すことができるようになって良かったと前向きにとらえてみよう。