カルガモが時々行う動作、何の目的なのでしょうか?
平成28年6月14日
今回のコースは前5回、次回で最終回を迎える。今回は、宇宙システムの新たなる展開とのテーマで、狼講師の得意とする分野である。講義の導入は、最近の紙上に載った2つの話題からであったエニグマというドイツ軍が開発した暗合機の何代目かわからないが、オークションにかけられ、相当の値段で落札されたことと、この後継機である暗号用タイプライターの競売についてである。これらの報道は、わが国ではほとんど伝わることもないし、話題にもならない事柄で、欧米諸国との科学技術についての関心度の違いを物語る事例として紹介された。
そもそも現在の科学技術を扱う省庁が、文部科学省に統合され、以前あった科学技術庁を吸収し統合したという我が国の行政を嘆いてのことであった。本来ならば、独立した省としてふさわしいのであるのだが、文部行政の中で何ができるのかはなはだ疑問であるとのことであった。特に日本人の科学技術に対する最近の判断は、アジアのトップを行っているという間違った解釈が根強く、すでにインドや中国に水をあけられている分野が、宇宙航空技術である。
その裏には、米国が安全保障分野での旧態依然たる障壁が強く、電波技術やGPSに伴う宇宙開発には難色を示していることで、独自の開発が困難な状況に置かれているとのことであった。省庁統合の見かけは良いが、緊縮財政は科学技術分野にも及んでいて、宇宙開発には3000億円という外国には全く太刀打ちできない経費のかけ方であることが、全てを物語っているとのことである。
このままいけば、わが国の宇宙開発は遅れを取り、せっかくのビジネスチャンスにも陰りを示すことになるとの予測であった。電波に至っては総務省が関与し、規制のがんじがらめで、研究すらおぼつかない縦割り行政の不備に縛られ、手足を出せない状況となっているようである。中でも漁業組合なる組織の介在は、研究開発を優先できない利益者集団としても介在が根強く、多くの対応特に海上での研究に水を差している。
狼先生の関与する新たな技術開発は、抵抗の多い我が国の規制を取り除くべく努力をされているが、過剰なほど頑なな行政には手を焼いているようで、事務方の理由のつかない対応に頭を痛めているようであった。さもありなんと思うが、リスクあっての研究開発への理解は到底困難な状況であり、将来の我が国にとってマイナスであることは自分も意を同じくしたところである。