彼の小さな頃を思い出す。
ある一つのグループで始めた空手だったし、そのグループの中では最年長であり、そのヤンチャさも一番目立っていた。
ただ何かの役割を持たせ、そのタイミングでホメることで、彼はリーダーとしての自覚を持ちはじめ、徐々にヤンチャさから離れていったこともボクは記憶している。
そして彼とボクとの空手の物語が始まり、いくつもの泣き笑いの中で今がある。
空手の実績だけでいうなら、全日本選手権では準優勝、地区大会なども含め、いくつかの優勝経験もした。その流れの中で精神性も高めていった彼は、20キロ以上もある地区チャンピオンクラスの相手にも三度、勝利しているのだ。
そして、高3となった今も空手を続けていて、その役割は後輩たちへの指導とアドバイスに移行している。
そんな彼が先日、就職の面接に対する相談をしてきた。
約1時間半、まずはテクニック的な話やボク自身の経験も話したのだが、でも一番大事なのは○○だよ…と、人間としての核なる部分、誰もが最も共通するだろう部分の話をした。
ただ…もしそれらの話し合いがなかったとしても、ボクは彼なら大丈夫という思いも、じつは大きく持っていた。
生まれてからの家庭環境での学びという軸を中心とし、学校での生活や習い事での様々な出逢いと学び。
出逢いに恵まれた割合が大きかったのか、その潜在意識に積み重ねられた情報量は、彼の良き個性をつくったはずだ。
そして、その繋がりの中で養われた個性がベースとなり、たくさんの努力も出来たのだろう。
今までを想えば…
そう、だからこそ…
その後の報告からは、就職先が決定したことを本人から聞いた。
ボクが思ったのは、そんな人生の積み重ねの中で養われた彼の個の光は、けして面接官にも嫌な印象をあたえないということ。
そこを信じたのだ。
あぁ…良かった。ホッとした。
信じる中でも、静かな不安も…そりゃあ、あるし…(微笑)
ただ、そんな時、そんなタイミングだからこそ、少し、心に想い描いてほしいこともある。
今までを共にしてくれた人々のことを。
そして一番に、父と母への感謝の気持ちを。
人生は、まだまだこれから。
まだまだ個人…個性…個から溢れる光を、更に解き放てる人間になり、これから出逢うであろう、たくさんの人達の心の闇の部分すらも照らしてあげられる、そんな大人になってもらいたいと思う。
生きている以上は、たくさんのモノをすでに…いや毎日のように頂いているのだから。そう、たくさんの生命から。
だから恩返し…返しの精神を、いつも忘れずに…。
『シュンヤ、おめでとう!!』