なでしこジャパンが第3戦の南アフリカ戦に0対0で引き分け、グループリーグを2位で突破。
2位で通過した方が移動や対戦相手を考えると断然有利。
2位通過だと移動が少ない。準々決勝に向けては移動しなくてすむ。
オリンピックでは試合感覚が中2日しかなく、そのうちの1日を移動日にあてるのは相当つらいと思う。
ちなみに1位抜けするとウェールズからスコットランドに飛ばなくてはならない。
また、対戦相手は優勝候補のアメリカ、フランスを避けられる。
だが、わざと2位で抜けるようとするのも選手のモチベーションを考えるとなかなか難しい。
難しい位置づけとなったこの試合、疲れた選手を休ませるという目的もあり、過去の2戦とは大きくスターティングメンバが入れ替えられた。
スウェーデンが勝つ前提にたてば、1対0でも2位通過のなでしこJジャパン。
試合開始前の時点では、「まずは絶対失点しないこと、そのうえで勝ちに行く。しかし場合によっては引き分けの指示を出すかもしれない」といった指示があったのだと思う。
現実的には、南アフリカの頑張りもあり得点をあげられない。
後半に入り、リードしていたスェーデンがカナダに2対2と追いつかれたという情報が入ると、明らかに引き分け狙いのプレーになった。
金メダルを取ることから逆算すれが、大正解だと思う。
選手達はいろいろと思うこともあっただろうが、チームの意思統一が完全に出来ていた。
素晴らしかった。
選手交代も的確だったと思う。
現時点での攻撃的なサブの1番手である岩淵を後半10分過ぎでさげる。
それほど負担にならない時間、川澄を出場させる。
川澄には無理をして攻めないという点を徹底。
宮間に関しては、本当は得点に絡むような活躍をしてもらい、
もう少し早く(後半20分~25分?)下げようとしたのかもしれないが、後半30分に交代。
少し休ませることが出来た。
ただ、宮間の調子がなかなかあがってこない。
もちろん、パスの受け手の動き出しの問題もあるだろうが。
この試合は、ある意味宮間のパス練習的な意味合いもあったのかもしれない。
阪口も15分程度の出場なら負担にはならないだろう。
そして終了間際、丸山に代え、大儀見投入。
これは完全に引き分け狙いをはっきりさせるため。
大儀見は役割をパーフェクトに全うした。
サブ中心で連係もなかなかうまくいかない部分もあったが、出場した選手達は金メダルを取るために力を尽くした。
「休ませてくれてありがとう」
そんな気持ちで、澤も鮫島も大野も福元も大儀見も阪口も決勝トーナメントにのぞみ、
結果を出してくれるだろう。
そして安藤、丸山、高瀬、田中、矢野の力が必要な時がまたきっとくるだろう。
近賀だけは休むことができなかったが…。
そこだけは心配ですが。頑張ってください、近賀選手。
ただ、南アフリカ戦では上下動を多少控えていた印象も。そういった指示があったのだろうか。
センターバックの岩清水、熊谷に関しては、比較的他のポジションに比べると運動量が少なくてすむポジションだということもあり、大丈夫でしょう。
守備機会が少ないような試合をすれば休めますし。
そう思い通りにはいかないかもしれませんが。
準々決勝はイギリスかブラジルかわらかないが、イギリスだとすれば昨年のワールドカップで唯一敗れた相手。是非ともリベンジを果たしてほしい。
(その時の相手ははイングランド、今回はグレートブリテンですが)
なでしこジャパンは北京五輪では地元中国を、ドイツワールドカップでは地元ドイツを撃破してきた。
そして今度は超アウェーの雰囲気のなか、地元グレートブリテンを倒してほしい。
ブラジルが来てもそれはそれで楽しみ。ワールドカップでも対戦していませんし。
引き分け狙いを心良く思わない人もいらっしゃるかもしれませんが、
引き分け狙いは嫌だというナイーブな気持ちでは、2年連続の世界一に輝くのは難しいのではないかと思っています。
なでしこジャパンは、すでにそんな“やわ”な存在ではないと思います。
このことがさらにチームを一つにし、金メダルへ向かって進んでいってくれるでしょう。
もちろん結果はわかりませんが、
仮に金メダルがとれなくてもこの選択は間違っていないと思います。