日々雑感

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苦悩をとうして歓喜へ6-45

2013年02月18日 | Weblog
苦悩をとうして歓喜へ

ベートーベンの言葉である。
僕なりに解釈すれば、苦労をしなければ本当の悦びはわからないということであろうか。
苦労の中から作品が生まれるといっても良い。それはそうだと思う。
砂糖の甘さは対極に塩があるから甘味がわかるのだ。
砂糖ばかり舐めていると、甘さはわからなくなる。塩と砂糖はほどほどにバランスが取れているのが、一番いい。それが常識人の日常生活である。

これを作曲家の生活に置き換えてみると、ヒット作品が出るまでは、作曲家は食うや食わずの生活に追いまくられる。一様に貧乏である。日常生活が成り立たないのなら、やめればいいのに、それがどう言おうか、何かにとりつかれたように世間常識から見ると、狂ったようなギリギリの線上をさまよい続ける。それでもあっさり諦めることができなくて、苦しみをピアノの鍵盤に向かって叩きつける。心のこもった作品作りと言えなくもないが、苦しみもがいて鍵盤を叩くと、そこには作品ができているのだ。


さらに自分の思うようにつくればよいのだが、それがなかなか思いとおりに進まないからストレスに悩まされる。このような諸条件が重圧となって苦悩する。そしてこの重圧をはねのきたときに、歓喜の天使が舞い降りてくる。だから苦しみが大きければ大きほどその喜びも大きい。

演歌の大家・遠藤実先生は自伝の中で、苦しみから曲が生まれ、苦しみの中で詩が生まれると書いておられるが、全く同感である。苦しみの中でしか、心のこもった良い作品は生まれないともいえよう。

話をベートーベンに戻せば、彼も例外ではなく貧乏だったようだ。死の直前に届いた葡萄酒に向かって言った。「残念だが、もう遅すぎた。間に合わない。」
かくて彼は世を去ったが、彼の高邁な精神の結晶である作品は生命を長らえた。彼の楽曲の構成美の妙は人間業だとは思えない。それが証拠に彼の交響楽・第九番 運命を凌駕する作品はまだ世に出ていない。

ついでながら、こんな曲を書く人はどんな頭の持ち主か調べたら、知能指数は抜群で常人の人ではなかったらしい。史上最高の知能指数の持ち主はゲーテだそうで、ベートーベンはその次だと心理学者は見ている。

いろいろの名言を残しているが、今まで素通りしてきたが、もっと彼の自伝を読み込まなくては、と思う。読み飛ばしたわけではない。意味するところがわからなかったのである。