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人も社会も、成長と負荷を切り離して、落としどころを考える。

2級建築士受験講座2019傾向と対策No.7「木造の柱の小径計算、軸組計算」

2019-03-19 10:17:56 | ビジネス・教育学習
◇法20条において、区分に応じ、構造方法の技術的基準(構造計算方法等)を定めています。
◇その中で二級建築士試験の重要事項である「木造の柱の小径計算、軸組計算」を取り上げます。
◇条文でいえば、令43条と令46条を参照することになります。
◇この分野は、計算問題として出題される傾向が強く、得意不得意の個人差がでる問題です。
◇でも、法令に書かれている事項を把握すれば、難しい問題は無いと思っています。
◇法令集に記載のある事項を、しっかり認識することだと思っています。

①「木造の柱の小径計算、軸組計算」の根拠法令
 ・法20条1項四号に基づき木造2階建て建築物は、令36条3項を参照することになります。
 ・同項において、政令第3章1節から第7節の2までを構造方法の技術的基準としています。
 ・第3節「木造」の中に、令43条「柱の小径」、令46条「構造上必要な軸組」の規定があります。
 ・この規定は、構造計算を必要としない2階建て木造建築物を対象とする技術基準の規定です。
 ・木造3階建以上は、法20条1項二号、又は三号に該当し、構造計算を必要とする建築物です。

②令43条「柱の小径」の規定(木造2階建て建築物)
 ・構造耐力上主要な部分である横架材(梁・桁等)の相互間垂直距離に乗ずる割合を定めています。
   ⇒ 柱の小径≧横架材間の垂直距離×表の割合(係数)
 ・その計算結果を最低数値として、市場で出回っている柱の小径を求めることになります。
 ・乗ずる数値は表で、「建築物の重さに影響する」ものと「高さ」との関係で整理しています。
   表(1)項:壁の重量が特に重い建築物(土蔵造りなど)
   表(2)項:(1)項に該当しない建築物で、屋根の仕上げが軽い建築物(金属板葺きなど)
   表(3)項:上記のいずれにも該当しない建築物(その他)
   表のタテ列左側:「柱のスパンが10m以上の建築物」
           又は用途が「特殊建築物(学校、保育所、映画館、演芸場、観覧場など)
           ただし、物品販売を営む店舗で「10㎡以内」は、対象から除外。
   表のタテ列右側:その他の建築物
   表のタテ列の建築物の区分を、さらに、1階部分(平家含む)と2階部分に分けている。
 ・全部で「12のマス」の中に、柱の小径計算で使う「係数」を記載しています。

③令46条「構造耐力上必要な軸組」の規定(木造2階建て建築物)
 ・同条4項において、軸組計算の規定を定めています。
 ・対象建築物:2階建て以上、又は平家建てであっても延べ面積が50㎡を超えるもの。
 ・計算は、各階ごと、張間方向、桁行方向ごとに確かめる。
 ・軸組の長さに、表1で定める軸組の種類に応じた倍率をかけて「軸組強度」を算出する。
 ・その軸組強度が、地震力(表2の係数を用いて計算する)以上となるようにする。
 ・この表2では、令43条の表の建築物の種分けを利用していますので、注意です。
 ・同じく、風圧力の係数(表3に原則、50㎝/㎡)に見付面積(受圧面積)をかけた値以上とする。
 ・特定行政庁が「その他の係数を指定できる」という規定が、一応、あります。
 ・また見付面積計算において、各階共に、床面から1.35m以下の部分は、除いて計算します。
 ・この「1.35mを控除する規定」を突いてくるのが、試験問題ですので、要注意です。

◇参考情報として、この分野の過去10年の出題実績を表にしてみました。
 ・傾向から想定すれば、「柱の小径計算問題」が、予測できます。
 ・又は、図形計算問題が出ない年かもしれません。

2019年3月19日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、建築基準適合判定資格者」
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エコ検定2019ブログ講座No.5

2019-03-16 11:37:25 | ビジネス・教育学習
◇本年7月の「エコ検定」試験に向け、「みんなで学ぼうエコ検定」の考え方で進めます。
◇今回は、地球環境問題に取り組んできた、世界の行動政策の軌跡を整理していきます。
◇2025年万博開催決定で、その要素の大きな一つである「SDGs」は重要と考えています。
◇おそらく、今回の試験で出題が予測できる、重要な事項の一つと推察しています。
◇「SDGs」に至る軌跡の情報整理をしていきたいと思います。

◇1992年:国連環境開発会議(UNCED)開催。
 ・別名「地球サミット」「リオサミットともいう」
 ・開催地:ブラジルのリオデジャネイロ
 ・目的:1987年WECD提唱の「持続可能な開発(Sustainable Development)」の理念実現
 ・この理念は1987年発表の報告書「Our Common Future (われら共有の未来) 」の中にある。
 ・持続可能な開発とは「将来世代のニーズを損なうことなく、現代の世代のニーズを満たすこと」。

◇「国連環境開発会議(UNCED)別名「地球サミット」における国際的な合意事項
  ① 環境と開発に関するリオ宣言の採択
  ② 持続可能な開発のための人類の行動計画「アジェンダ21」の採択
  ③ 森林原則声明の採択
  ④ 国連気候変動枠組条約(1994年発効)の署名開始(1992年)
  ⑤ 生物多様性条約(1993年発効)の署名開始(1992年)

◇環境と開発に関するリオ宣言(構成:前文と27項目の原則)」とは
  第1原則:人類が持続可能な開発概念の中心に位置する。
  第2原則:自国資源を開発する主権の尊重と自国管轄外の環境を破壊しない責任。
  第3原則:開発にあたっての将来世代のニーズの考慮(世代間公平。)
  第5原則:貧困の撲滅
  第7原則:共通だが差異ある責任
  第10原則:全ての主体の参加と情報公開(公衆の参加)
  第15原則:予防原則
  第16原則:汚染者負担の原則
  第17~19原則:環境影響評価
  etc.

◇リオ宣言の第7原則「共通だが差異ある責任」とは
 ・地球サミットにおける、先進国と開発途上国の意見対立の結果による考え方。
 ・地球環境問題に対しては共通責任があるが、各国の責任回避への寄与度と能力とは異なっている。
 ・「アジェンダ21」においてはじめて明示的に用いられた。
 ・地球サミットで採択された「国連気候変動枠組み条約」でも採用されている。

◇持続可能な開発のための人類の行動計画「アジェンダ21」とは
 ・項目:大気保全、森林保護、砂漠化対策、生物多様性保護、海洋保護、廃棄物対策、etc.
 ・指針:実施のための資金、技術移転、国際機構、国際法のあり方
 ・実施状況検証手段:国連に「持続可能な開発委員会(CSD)」を設置
 ・その後改組して「ハイレベル政治フォーラム(HLPH)」を創設し、リオ+20で合意される。

◇持続可能な開発の理念を実践に変える取組みの推進
 ・環境保護、経済活性化、社会の公正公平性の実現を目指す取組みの展開を図る。
 ・その方法の一つが、「持続可能な開発のための教育(ESD)」。
 ・2002年:日本は「国連持続可能な開発のための教育の10年(ESDの10年)」を提案。

◇「MDGs」から「SDGs」へ
 ・2000年:国連ミレニアムサミットで採択された「ミレニアム開発目標(MDGs)」
 ・その後、貧困の撲滅などの途上国における開発目標であった「MDGs」の後継を議論。
 ・2015年9月:国連持続可能な開発サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」採択。
 ・2030年までの具体的な目標として、「持続可能な開発目標(SDGs)」を掲げる。
 ・先進国も含めたグローバルな性格を有する「17目標と169のターゲット」の設定へと変遷。
 ・特色は、積み上げではダメで、ビジョンに対して「バックキャスティング」で考えること。
 ・持続可能な社会構築の考え方として「バックキャスティング」の考え方の重要性を示唆。
 ・「バックキャスティング」とは、長期目標を設定し、そこに達する行動計画を立てる方法のこと。

◇ついでに今朝の毎日新聞の記事「なるほどドリ」から、
 ・地球温暖化が、桜の開花時期を早めているようです。
 ・温暖化なのですから、当たり前かもしれませんが・・・。

2019年3月16日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、CASBEE評価員資格者、エコ検定合格」
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エコ検定2019ブログ講座No.4

2019-03-15 09:37:49 | ビジネス・教育学習
◇本年7月の「エコ検定」試験に向けて「学ぶ・覚える」必要性があるものを整理していきます。
◇公式テキストの範疇で、「みんなで学ぼうエコ検定」の考え方でいこうと思います。
◇今回は、公害問題から環境問題へと変遷した日本の政策の歴史の続きです。
◇試験出題実績を念頭に、覚える必要性を感じる政策を年度と共に整理していきます。

◇「エンドオブパイプ」という公害対策技術
 ・工場の排気や排水を、放出される排気口で何らかの処理により環境負荷を軽減する技術。

◇1987年:「ワシントン条約国内法」制定
 ・「種の保存法(1993年)」制定に伴い廃止され、「種の保存法」に引き継がれる。

◇1987年:環境と開発に関する世界委員会(WCED)の報告書
  「我ら共有の未来(Our Common Future)」を契機に地球環境問題の議論が始まる。

◇1988年:「オゾン層保護法」制定
 ・1985年のウィーン条約、1987年のモントリオール議定書採択を受けての国内法。
 ・オゾン層保護の為に、特定フロンの製造規制、排出抑制措置を定める。

◇1993年:「環境基本法」が成立し「環境基本計画」の策定が義務付けられる。
 ・1992年の地球サミットを背景に、新たな政策手法を取り込む。
 ・2018年:「第5次環境基本計画」策定
 ・環境、経済、社会の統合的向上を図りながら持続可能な社会を目指す

◇1997年:「環境影響評価法」制定

◇1997年:「京都議定書」

◇2000年:「循環型社会形成推進基本法」成立
 ・この法律の下に「各種リサイクル法」を成立させる。

◇2001年:「環境庁」から格上げされた「環境省」誕生

◇2008年:「生物多様性基本法」成立
 ・2012年9月:「生物多様性国家戦略2012―2020」策定

◇ついでに今朝の毎日新聞の記事から、
 ・「食品ロスの問題」を、ゲーム感覚で子供たちへの啓発を図る取組みのようです。
 ・近未来の生活者である子供たちへの期待を込めての取組みと理解しています。
 ・こんな活動の輪が広がることに、期待を込めたいと思います。

2019年3月15日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、CASBEE評価員資格者、エコ検定合格」
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エコ検定2019ブログ講座No.3

2019-03-14 11:01:48 | ビジネス・教育学習
◇本年7月の「エコ検定」試験に向けて「学ぶ・覚える」必要性があるものを整理していきます。
◇公式テキストの範疇で、「みんなで学ぼうエコ検定」の考え方でいこうと思います。
◇今回は、日本の公害問題に取り組むきっかけとなった歴史を整理したいと思います。

◇明治時代:足尾銅山事件(栃木県)
 ・日本の公害問題の原点と言われている事件です。
 ・事件の発覚は年代的には、明治時代とあり、割と曖昧です。
 ・でも、ここから公害問題への追及の歴史が始まったと捉えればいいと思います。
 ・足尾銅山の開発で、鉱毒ガスや鉱毒水などの有害物質による被害の発生です。
 ・渡良瀬川流域で農業、漁業に大きな被害を与え、周辺地域住民に健康被害を及ぼしました。
 ・足尾銅山は、1610年に発見され1973年まで400年近く続いた歴史ある銅山です。

◇高度成長期の四大公害病
 ①1912年頃発生1955年報告:イタイイタイ病
  原因:鉱業所排水に含まれる「カドミウム」
  地域:富山県神通川流域
  症状:骨がもろくなり、体の中で骨折が続き、激しい痛みを伴う。
  1968年:最初の公害病として政府が認定
 ②1956年報告:水俣病
  原因:工業排水に含まれる微量の有機水銀
  地域:熊本県水俣市(有機水銀が蓄積され、生物濃縮による魚介類を食べた地域住民の被害など)
  症状:手足や口がしびれる等の感覚障害、運動失調、求心性視野狭窄など。
  1968年:政府の統一見解発表(報告から12年後)
 ③1965年発生確認:新潟水俣病
  原因:工業排水に含まれる微量の有機水銀(熊本の水俣病に同じ)
  地域:新潟県阿賀野川流域
  症状:手足や口がしびれる等の感覚障害、運動失調、求心性視野狭窄など(熊本の水俣病に同じ)
  1968年:政府の統一見解発表(報告から3年後)
 ④1960年~1970年:発生
  原因:石油コンビナートから排出される硫黄酸化物
  地域:三重県四日市市(1959年:四日市市塩浜地区に日本初のコンビナート稼働)
  症状:ぜんそくや気管支炎などの呼吸器系の健康被害
  1975年:認定患者数がピークで1,140名

◇公害対策の政策
 ・1967年:公害対策基本法制定
 ・1968年:大気汚染防止法制定
 ・1970年末:臨時国会(公害国会と称される)で「14の公害対策法関連法」成立
 ・1971年:環境庁設置

◇ついでに今朝の毎日新聞の記事から、
 ・日本政府は、海洋汚染対策強化を目的とした「脱プラ作業部会設置」の決議案を提出の記事です。
 ・今年6月の「G20」に向けて、プラごみ対策のリーダーシップを取ろうという日本政府の意気込みのようです。
 ・いいことだと思いますし、今後は、実効性のある、成果のでる具体的計画提案を期待したいと思います。
 ・日本が決議案を提出した「UNEA(国連環境総会)」は、UNEP(国連環境計画)」の意思決定機関です。」

2019年3月14日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、CASBEE評価員資格者、エコ検定合格」
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2級建築士受験講座2019傾向と対策No.6「採光、シックハウス対策、換気設備規定等」

2019-03-13 09:40:16 | ビジネス・教育学習
◇今回の分野は、ほとんどが政令に定める部分となります。
◇採光規定の図形問題は、H29年に出題されていますが、久しくご無沙汰の状況です。
◇採光規定は、5択の設問の一つとして、昨年(H30)、文章題としての出題がありました。
◇採光、シックハウス対策、火気使用室換気設備規定は、傾向把握が難しい分野でもあります。
◇少々、疎かにしてしまいそうな分野ですが、重要分野だと思っています。
◇特に、火気使用室の換気設備緩和規定は、奇数年に出題されていますので、今年は要注意です。

①法28条、令19条、令20条(居室の採光計算規定)
 ・令20条2項:水面がある場合の「みなし境界線」による採光計算の規定(H30年出題)。
 ・「みなし境界線」による採光計算の規定は、図形問題での出題事例(H23年)も有ります。
 ・令20条1項:採光有効面積=居室の開口部の面積×採光補正係数(採光計算の基本事項)
 ・令20条2項:採光補正係数
  ⅰ)住居系=採光関係比率×6-1.4
  ⅱ)工業系=採光関係比率×8-1
  ⅲ)商業系=採光関係比率×10-1
  ⅳ)採光関係比率:建築物から対向境界線までの水平距離を、開口部中心までの距離で除する。

②法28条の2(シックハウス対策規定等)
 ・令20条の6:クロルピリオスの使用禁止
 ・令20条の7:ホルムアルデヒド使用建材の規制
  ⅰ) 第一種ホルムアルデヒド発散建築材料:使用禁止
  ⅱ)第二種ホルムアルデヒド発散建築材料:使用面積制限
  ⅲ)第三種ホルムアルデヒド発散建築材料:使用制限
  ⅳ)令20条の7第4項の大臣認定建築材料:使用制限なし
 ・令20条の8:住宅等の居室に機械換気設備の義務
   ホルム対策機械換気設備の有効換気量計算
   必要有効換気量(Vr)=nAh(㎥/時間)
   n:時間当たりの換気回数(住宅等の居室は0.5、その他の居室は0.3)
   A:居室の床面積(㎡)  
   h:居室の天丼の高さ(m)

③法28条3項、令20条の3 第1項:換気設備の設置緩和がある火気使用室の規定
 一号:密閉式燃焼器具等を使用している室(具体的には洗面・浴室)
 二号:床面積の合計が100㎡以内の住宅又は住戸の調理室
    密閉式燃焼器具等をしようしている場合
    煙突を設けた設備若しくは器具に係るもの以外の発熱量の合計が12kW以下
    当該調理室の床面積1/10以上の有効開口面積を有する開口部を換気上有効に設けたもの
    ただし、0.8㎡未満のときは、0.8㎡とする
 三号:調理室を除く(具体的には洗面・浴室等) 火を使用する設備又は器具を設けた室
    発熱量の合計が6kW以下の火を使用する設備又は器具
    換気上有効な開口部を設けたもの

④法28条3項、令20条の3第2項:火気使用室の換気設備(自然換気設備)
 ・第一号イ(1):吸気口(上端)は、天井高さの1/2以下とする。
 ・第一号イ(2):排気口(下端)は、煙突又は排気フードを有する排気筒を設けた場合を除き、
        その下端を天井から下方80cm以内の高さとする。

⑤法28条2項:換気窓の規定(自然換気窓)
 ・居室には換気のための窓その他の開口部を設ける。
 ・その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、1/20以上とする。
 ・規定通りの換気窓がある場合でも、シックハウス対策を免責している訳ではないことに注意。

2019年3月13日 by SHRS(シュルズ)「一級建築士、建築基準適合判定資格者」
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