なんて堅苦しい小説!
って最初は思った。
一昔前の英国の執事の回顧録なのだから致し方ない。
放送大学の講義で取り上げられてなかったら、
おそらく一生手にとって読むことはなかったであろう。
回顧録というのは語弊があるかもしれない。
小説の現在(1956年)では、主人公:スティーブンスは新しいアメリカ人の主人に仕え、
一週間の休暇をもらって、イギリス西部へ自動車旅行をするのだ。
その旅の途中にいろいろ昔を振り返ってはまた現在に戻る、
という小説の構造なのである。
『日の名残り』とは夕暮れの、一日のうちで一番景色が美しい時間帯。
そう、『ザ・マジックアワー』である。
それは大英帝国の凋落の暗喩であり、
スティーブンスが長年仕えたダーリントン卿の没落であり、
老年期にさしかかったスティーブンスの人生の今現在の姿であり、
実らなかったスティーブンスの淡い恋でもある。
旅の目的の一つは、昔の女中頭:ミス・ケントン(今はミセス・ベン)に会い、
もう一度ダーリントンホールで働かないかと要請することであるが、
そこからが間違いだ。
「今の結婚がうまくいってないなら、旦那と別れて僕と結婚してください。」
とプロポーズするための旅でなければならない。
そうでなく、単に仕事にかこつけて会いに行くだけでは男らしくない。
このスティーブンスには人間として何かが欠けている。
今更泣いてみたって知るもんか。
せいぜい、アメリカ風のジョークの練習でもしてろって、言いたくなっちゃった。
って最初は思った。
一昔前の英国の執事の回顧録なのだから致し方ない。
放送大学の講義で取り上げられてなかったら、
おそらく一生手にとって読むことはなかったであろう。
回顧録というのは語弊があるかもしれない。
小説の現在(1956年)では、主人公:スティーブンスは新しいアメリカ人の主人に仕え、
一週間の休暇をもらって、イギリス西部へ自動車旅行をするのだ。
その旅の途中にいろいろ昔を振り返ってはまた現在に戻る、
という小説の構造なのである。
『日の名残り』とは夕暮れの、一日のうちで一番景色が美しい時間帯。
そう、『ザ・マジックアワー』である。
それは大英帝国の凋落の暗喩であり、
スティーブンスが長年仕えたダーリントン卿の没落であり、
老年期にさしかかったスティーブンスの人生の今現在の姿であり、
実らなかったスティーブンスの淡い恋でもある。
旅の目的の一つは、昔の女中頭:ミス・ケントン(今はミセス・ベン)に会い、
もう一度ダーリントンホールで働かないかと要請することであるが、
そこからが間違いだ。
「今の結婚がうまくいってないなら、旦那と別れて僕と結婚してください。」
とプロポーズするための旅でなければならない。
そうでなく、単に仕事にかこつけて会いに行くだけでは男らしくない。
このスティーブンスには人間として何かが欠けている。
今更泣いてみたって知るもんか。
せいぜい、アメリカ風のジョークの練習でもしてろって、言いたくなっちゃった。
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