この小説は、1977年にイランで生を受けた圷歩(あくつあゆむ)
という日本人の、37才までの自叙伝という形をとっている。
内容が濃い。
舞台だけでも、イラン、大阪、エジプト、東京と変遷する。
その中で、「家族」「友情」「恋愛」「信仰」「芸術」
などの主題が複雑に絡まりあって自伝を構成している。
一番大きなテーマは、姉:貴子の言葉
「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ . . . 本文を読む
今から43年前、僕が高校に入ったころ、
五木寛之は当代きっての人気流行作家だった。
僕の仲間内では授業中教師をシカトして、
『青春の門』の文庫本を読みふけるのが格好良かったのだ。
ミーハーなQPも夢中になって五木寛之を読み漁ったものだった。
だが、大学に入学したころからだろうか、
何となく氏の書いた本が無教養で凡庸に見え、
遠ざけるようになってしまった。
そして、しばらくして村上 . . . 本文を読む