ちびたの日常

のんびり息子と猫たち&イギリス人ハニスケと

ばあちゃん物語

2009-03-17 | ばあちゃんの話
寝込みがちのひいばあちゃんは、孫(私の母達兄弟)から大人気でした。
理由は「小さくて可愛くて孫思い」だったからです。

じいちゃんは床屋の仕事を頑張り、とうとう理容学校を設立しました。

5人の子供もどんどん大きくなり、1番目の長女はとても気が強い子になりました。
夜中に窓から抜け出し、おしゃれな服を着てダンスホールに遊びに行きます。

次女も体は小さいですが負けず嫌いで、柔道を習い音楽もたしなみ三味線をするようになりました。

三女(私の母)は一人おとなしい性格で、大家族の食事をばあちゃんと二人で作りばあちゃんの味を一番わかっている娘になりました。

長男は一人息子だけに甘えん坊。
みんなが学校に裸足で行っても、一人だけ下駄を履かされるかわいがりようでした。

末っ子の娘は体が弱く、毎日天井の板を一枚ずつ数えて寝てばかりいなくてはなりませんでした。ぜんそくで学校には十分に通えなかったのですが5人の中で一番賢い子でした。

みんなはそれぞれ幸せで、じいちゃんは町の電気屋さんより先に家電をそろえたり ひいばあちゃんの代から歌を歌って仕事をしていたこともあってレコードを出してしまう 当時とても好奇心旺盛な人でした。
正月には車に乗って写真館へ行き、みんなで家族写真を撮り たぶん当時の家庭としてはお金持ちだったでしょう。

そうして長女と次女の跳ねっ返りに時には悩まされたものの、ばあちゃんはじいちゃんと仲良く暮らしていました。

ある日、次女は好きな人ができました。
二人で自転車で二人乗りしてその人のうちへ行き、料理が上手だったその彼に食事をごちそうされたりするようになり、そのうち結婚したいなと思うようになりました。

しかし二人は若かったこともありますが、長女が嫁にいっていないのに順序が違うとまわりは言いました。
その上いわゆる「悪ガキ」が好みだったため、じいちゃんが気に入りませんでした。
そしてある日、夜が更けてから家の前で「おーい。おーい。俺だぞ!!」と次女を呼ぶ声がします。
そしてとうとうじいちゃんに気づかれてしまいました。

下駄を振り上げ「だれじゃ!!!まだ嫁にもやっとらんのになんちゅうやつじゃ!」とものすごい勢いでじいちゃんは表へ走って行きました。

つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ばあちゃん物語

2009-03-15 | ばあちゃんの話
さてさて久々のばあちゃん物語の続きです。

島からやって来たひいばあちゃん。
そしてじいちゃん達家族が7人。
住み込み従業員が3人。
犬のジョン子。猫のタマ子。

ばあちゃんは11人と2匹の大家族になります。

ばあちゃんは幼い頃里子に出されました。
実のお母さんは、ばあちゃんのお父さんと別れ、一人では生きて行けずにばあちゃんを里子に出し、次の旦那さんと再婚してまた男の子を二人生んでいます。

里子に出されたばあちゃんは、そりゃもう実のお母さんを恨みました。
それは年を取って自分がおばあちゃんになっても治まりませんでした。

里親の夫婦はばあちゃんをとてもかわいがり、小さい頃から読み書きを教えて
ばあちゃんはとても頭の良い女性に成長しました。
ばあちゃんの子供達のことも本当の孫として大切にしました。

実の母のひいばあちゃんは、里子に出さなければならなかったばあちゃんを忘れたりしていませんでした。
孫やひ孫にまで「あの子を頼む」と言い続けていました。

それでもばあちゃんは「なんが!あの人が!」と表向きは怒ってみせていました。

孤独な心を持ったまま大人になったばあちゃんは、じいちゃんのおかげでにぎやかな大家族になりました。
ばあちゃんにとって、大島から来たじいちゃんの実の母は自分の母親の変わりだったのでしょうか。
あんなに結婚を反対していたひいばあちゃんは、その後どんどん衰えて もともと小さかったその体をもっと小さくしてとうとう寝込みがちになりました。
たった1本しか残っていない歯のために、うどんを小さく刻んでスプーンで取って食べさせるようになりました。
便を出す力もなくなり、ばあちゃんをそれを手でとってあげました。

そしてひいばあちゃんに「トキエさんはね、日本一の嫁なんだ」と言わせたのです。

つづく
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ばあちゃん物語

2008-01-16 | ばあちゃんの話
大阪へ行った二人はそこで暮らし始めました。じいちゃんは床屋の修行を始め一生懸命働き、ばあちゃんの里親がいる都城へ引っ越してきました。
都城大丸の近くに小さな店を構え、ばあちゃんは女の子を産みました。
その後も続けて二人 女の子を産みました。
そして戦争中に、臨時の学校のように使われていた旅館が3等分にされ、切り売りされることを知って ちょうど近所だったこともあり ござ屋さんとじいちゃんと宿屋の女将と三件でならんで買いました。
そして待望の長男が誕生しました。
じいちゃんの床屋は大盛況で、耳の中の産毛まで剃ってくれると高い技術を褒められました。従業員はどんどん増えて住み込みで働くようになり、家族を入れると10人以上の大人数でした。
その後、ばあちゃんはもう一人女の子を産みました。
子供は5人になったのに大きな問題が解決していませんでした。
じいちゃんとばあちゃんは結婚していなかったのです。
じいちゃんの我慢は限界でした。
「5人も子供がいるというのに、結婚を許してくれないなんてあんまりだ!」
二人は島のひいばあちゃんのところへもう一度お願いに行きました。
「そんなに言うなら、その人の戸籍を取ってきちんとどんな家の人間なのか見せなさい」
というひいばあちゃんの言葉に 今度は戸籍謄本を取ってじいちゃんは乗り込みました。ばあちゃんにとって里子に出され、養子縁組した痕跡が残る戸籍謄本を見せろなんて屈辱だったでしょう。しかしひいばあちゃんはそれを見て「士族!士族の家系じゃないの。ならば仕方ないでしょう。」
あっさりとわかってくれたのです。ただ士族と書いてあっただけで。
そんな時代の人だったんですね。それにばあちゃんの実の母親は姫と呼ばれる身分だったようで西郷家の末裔らしく、旧姓を「西郷」といい、私は幼い頃になぜひいばあちゃんの家には西郷隆盛の絵が飾られているのだろうと思っていました。
そんな家の血を引くばあちゃんを自慢に思ってくれたのでした。
それから島のひいじいちゃんが亡くなってしまい、ひいばあちゃんはひとりぼっちになってしまいました。
あんなに結婚を反対した姑をばあちゃんは「ここで一緒に暮らしましょう」と宮崎へ呼んだのです。
しかし当時、島から一歩も出たことがなかったひいばあちゃんは 宮崎へ来て物珍しい風景から外国へ来たような気分だったようです。
とにかく寒い。都城はもっと寒い。
ある朝起きてびっくりしました。あわてて嫁のばあちゃんを叩き起こし、「ちょっとあんた!庭で漬け物でもつけているのかい!なんでこんなに塩を撒いているんだい!」と大騒ぎでした。
それもそのはず まだテレビのない時代。南の島で育ったひいばあちゃんが生まれて初めて見た「霜」だったのです。つづく
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ばあちゃん物語

2008-01-14 | ばあちゃんの話
大正14年3月19日 都城という町で私のばあちゃんは生まれました。
ばあちゃんの両親(私のひいばあちゃんたち)は代々侍の家で 当時結構土地を持ったお金持ちでした。
しかし ひいばあちゃんは当時珍しく再婚で、連れ子のばあちゃんも一緒に暮らすことはかなわず里子に出されてしまいました。
里親のひいばあちゃんとひいじいちゃんはばあちゃんのことをとても大切にし、ばあちゃんもこの二人の両親にとても感謝していました。
でもばあちゃんは実の母を許しませんでした。再婚相手との間に男の子を二人生んだひいばあちゃんは何度もばあちゃんと暮らしたいと努力しても まわりや時代が許してくれませんでした。とても寂しくてお母さんと一緒にいたかったばあちゃんは、里親が二人とも死んで頼る親がいなくなっても実の親を許さずにいました。
里親の二人は牛を養って、ばあちゃんに勉強をさせてくれました。
ばあちゃんは本が大好きで字を書くことも大好きでした。
難しい漢字をとてもきれいに書く人でした。
そんな賢く育ったばあちゃんの前に都城で働いていた映画俳優のような美男子のじいちゃんが現れました。
美男子でまじめで努力家だったじいちゃんのことをばあちゃんはすぐに好きになりました。そして賢くて料理が上手だったばあちゃんのこともじいちゃんは大好きでした。
じいちゃんは明治生まれで、9月15日徳之島というところで生まれました。
当時じいちゃんの家は地主で、許嫁までいたじいちゃんのことを両親は許しませんでした。
「家は代々由緒正しい家柄だ!どこの誰かもわからん女など嫁にはもらえん!だいたい許嫁がいるだろう!」とひいばあちゃんは狂ったように怒りだしました。
どんなにじいちゃんが話しても許可が下りることはありません。
じいちゃんは決心しました。
「二人で遠くへ行こう。僕が働いて幸せにするから二人で遠いところへいって静かに暮らそう」
そして二人は大阪行きの船に乗り込みました。            つづく
コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする