ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

初コンサート

2020-01-19 20:26:41 | 聴く
 リュカ ドウバルグのコンサートから帰ってきた。片道2時間のバス旅行。

 彼のCDは3枚買っており、気が向けば聴き、またテレビでのリサイタルも2回聴いた。が、正直言って何度聴いてもハートに響かない。奇才とか現代のグレングールドとか、クラシック界を揺るがす一石を投じる、無意識に待ち望んでいた異才とかいわれ、超人気アイドルなんだけど、ぴんとこない。自分の耳が貧しいんではないかと疑い、生の演奏を聴けば変わるかもとの期待があった。

 演目は手元にあるCDと同じでなじみある曲なれど、生の演奏でもぴんと来なかった。

スカルラッティ : これまで耳にした演奏とは全く別物。スカルラッティの曲と思えなかった。音が粗く硬く野暮な演奏に聴こえた。斬新で大胆な解釈との評価だが、新しすぎて聴き慣れぬ演奏故か何も感じなかった。例えばアレクサンドルタローの演奏はナポリとスペインの血を感じさせる官能的な味がある。ホロビッツやアルゲリッチは遊んでるような極上の名人芸の味がある。ドウバルグを聴きながら正直言ってつまらなかった。

ラベルの夜のガスパール: 文学や絵画にインスピレーションをいただくというドウバルグ。私の力量不足なのか、最初こそ魅了されたものの最後まで絵画的映像が頭に浮かび音楽と共に戯れ遊ぶと言う境地にはなれなかった。

休憩をはさんでの第二部はメトネールとリスト。これ聴きながらね、ドウバルグはロシアやスラヴ系の作曲家の演奏に向いてるんじゃないかと思いました。エネルギッシュでドラマチックで壮大で、ボクシング選手から右左とパンチ食らってるようでした。飽きはしなかったけれど、かといって聴いたあと何も残らなかった。

30才になったのかな、堂々としていてシャイなとこなくて、そこが大物と言えば大物なんだろうが、これまでお目にかかった演奏家たちとは違うタイプ。経歴も正統派じゃないし不良みたいなとこある。不良を装ってもお坊ちゃん育ちを隠せない正統派と違い、制御しきれぬ根っからの野生のエネルギーがみなぎる不良魂。たまに気が向いたら追っかけてみようかな。

批評家たちがこぞって激賞しても自分がぴんと来ないときは、私の耳を疑うので、これからも折に触れて聴いてみよう。ああ、やっぱし、すごいと味わえることを願って。

最近疲れ気味。仕事多すぎ。なんとかしなくちゃ。リタイヤの意味がない。