ケベックリタイヤ日記

ケベックでリタイア暮らし。ながらえば憂しとみた世も今は忘れた。毎日悦びの種をみつけてぽりぽりかじりたい。

春雨

2019-03-22 18:03:42 | 聴く
 春雨が古楽に聴きほれ雪とかす

外は春雨、一雨ごとに雪がとけてゆく。俳句に季語二つ入れるのはだめとか。

2月に買ってあったジャンロンドーのCDクラヴサン演奏スカルラッテイーを聴く。もうすぐモントリオールでコンサートあれど完売。彼は27才、とても若いのでこれからいくらでも行ける機会があります。2年前はじめて彼のコンサートに行ったのですが、すでにおっちゃんのような、それでいて何とも言えぬ優しさがただよう好青年でした。

スカルラッテイーを聴くたび浮かぶのは堀田善衛のゴヤ4部作「スペイン1 光と影」。光が強くなったり弱くなったり、影が深まったり後退したり、移ろう光と影のコントラストを追いかけてる気がします。スペイン宮廷のお抱え音楽家だったスカルラッテイーは、たぶん公務員としていろいろな制約もあったと思うのですが、その音楽は時に官能的でさえあります。そりゃそうだ、ナポリ生まれ、ポルトガルでも暮らしたから、港町の海の匂いや市場に漂う人々の暮らしの威勢の良い血気ある体温が彼にもしみついていると思う。今年6月までスペインに研究のため滞在中の若い友達がかつてナポリを旅行し、ナポリは貧しい町だけれど人々がとても暖かいと語っていたのを思い出した。ジャンロンドーの演奏は闊達で活力があり飽きさせない。後半になるにつれ即興ジャズ演奏を聴いてるようでノリノリになってくる。彼がジャズバンドでジャズ演奏してるというのも一因かな。

古楽と言えば、日本伝統芸能番組を観始めて、古典芸能の世界に生きる方々がいかに古典を今という時代に生かすか様々なことに挑戦し学び研究していると知り感動しました。伝統継承って、ただただ昔からの伝統をそのまんま受け身にまねてゆくことではないんですね。幼い時から基礎を徹底的に叩き込まれ土台ができあがったうえで、さらに新規開拓にと精進を重ねるんですね。長唄で童謡「あわて床屋」を三味線にあわせてうたいました。ちょっきんちょっきんちょっきんなー。今も耳に残ります。

ジャンロンドー、夫に写真見せたら「汚ねー男だ」。目を見てよ目を。彼に会ったらスカルラッテイー、浮浪者と思うかも。







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