いつの間にか面白いものを見付けようとして、ネズミ花火を楽しむようなことをやっているのか
も知れない。
なんだかちょっと厭な気分になってきた。
そろそろ終わりにしたい。
どうやらその時だと思った。
「奥の部屋のカレンダー、随分古いものですね」
「ああ、古いよ」
まるで聞かれるのを待っていたかのように、鉄さんは直ぐに答えた。
「気に入っているのですね」
「そうだなあ、嫌いじゃない。でも貼ったのはわしじゃない」
今度はやや間をおいてから答えた。
「じゃあ、娘さんが」
高志も間を置いた。
「あやが・・・・娘はあやと言うのだが、あの娘は毎年貼っていた。あれが最後のだ。
あれを貼った年に札幌に出て、それからずっと帰って来ていない。だからそのままなんだ。それ
で前にも話した通り、ここの中学を出て直ぐに、札幌の彼女の伯母の所から高校に通った。
学校を出た後はこれも話した通り、東京に出て服飾の専門学校に入ったと伯母さんからの連絡で
知ったが、その後のことは分からない。何せ音信不通だから」
さすがにその後を聞くのは躊躇した。
しかし、ここまで聞いてその後を尋ねないのは、かえって不自然に思えた。
「どうしてまた、何か訳でもあるのですかね」