【+++++Rewrite+++++】
以前、オーストラリアの旅行記を書いていましたが中断してしまいました。
それから約1年も経っていますが、ここにまた再開しようと思います。
自分で思い出すという意味も込めて、また初めから記事を書きます。
というわけで、ここからはしばらく2010年3月に訪れたオーストラリアの内容をお送りしましょう。
以前の記事の写真や文をちょっぴり変えたり、変えなかったりしています。
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オーストラリア行きの飛行機の中、深夜で皆が寝静まっているというのに、私の手元は読書用の機内灯に照らされて薄明るく、無意味に付箋シールがしこたま貼られたスレーター図鑑(The Slater Field Guide to AUSTRALIAN BIRDS)がスポットライトを浴びたようにぼわんと浮かび上がり、わたくしこと私によって時折めくられていた。
うぅ・・・まだコバシミツスイの辺りが覚えられていないのだ。この、1人受験勉強のような場違いなことをしている旅行者は、自分の気が済む午前2時半頃まで読書灯を点けていた。
夜更かしをしたせいもあり、心底良く眠れた翌朝、私達を乗せたJet★Starの便はオーストラリアの滑走路を踏んだ。
荷物検査の長蛇の列に唇を尖らせていると、検査のビーグル犬が荷物をくんくん嗅ぎにきて、あっという間に顔が緩んでしまった。
ケアンズ国際空港の正面出口から外へ踏み出すと、まず初めにとんでもない熱気が私達を襲った。
まだまだ寒い早春の日本から、一気に蒸し暑い熱帯に来た!という感じがいかにもした。
さらに、朝の空港では色んな鳥達が聞いたこともない声で鳴き交わしている。
このような、「自分未踏の地へ初めて来た」という感覚がたまらなく良い。その開放感から、思わず私達は歓声を上げた。
最初に見た鳥は、空中でくるくる宙返り、トリッキーな動きで急転回して虫を追いながら私達のすぐ近くに降り立った。そう、空港の出口からほんの数メートルの場所に。
ヨコフリオウギビタキだ!
私はあわてて双眼鏡やカメラを出すも、湿気でレンズが一気に曇ってしまった。
カノコバト(Streptopelia chinensis tigrina) Spotted Turtle-Dove
ケアンズで最も普通に見られる鳥の1種。日本ではまだ非公式ながら西表島で記録がある。
日本のキジバトを見慣れていると、カノコバトは尾が長くてなんだか違和感を覚えてしまう。
雨覆の軸斑が黒っぽいことと下尾筒が白いことから亜種S.c.tigrina であろう。
ツチスドリ(Grallina cyanoleuca) Magpie-lark
オーストラリアチョウショウバト、カノコバトは至る所にとまっており、外灯の上では何やらツチスドリが2羽で翼を広げ、自転車のブレーキ音みたいなキーキー声で鳴いていた。
このツチスドリは、注意して見ると雌雄で顔の模様が異なる。例えば上の写真では左が雌、右が雄。
ある外灯の上では、塒にしていたのかモリツバメが3羽ほど身を寄せ合い毛づくろいをして、もふもふぷにぷにもみ合っている。
花の咲いた植え込みには、ゴシキセイガイインコとコセイガイインコの群れが来ていて、よく見るとサメイロミツスイも藪の中で動いている。その隣の芝生ではシマキンパラやシマコキンが餌をさがしてウロウロしていた。
「ちょっと待って、まだここ空港だよ?」
朝とは言え、もの凄い鳥の数に私と友人は圧倒され、しばし空港前で立ち尽くしていた・・・。
他の観光客、空港関係者から見たら、さぞかし奇妙な光景だったろう。
この国は明らかに鳥の絶対量が多い!高ぶる鳥熱と、高まる期待に、目の輝きを取り戻した学生2人であった。
―空港を出発して、私達は初めにヨーキーズノブ(Yorkeys Knob)へ向った。
池を見るとアオマメガンが1羽ぽつんと浮いていて、水面すれすれにはオーストラリアツバメが飛び交う。池のほとりにはスキバチョウトンボが多数いた。
オーストラリアチョウショウバト(Geopelia placida placida) Peaceful Dove
これぞ「平和の象徴」と呼ぶに相応しいハト。なにせ名前がPeaceful なものだから。
オーストラリアチョウショウバトは平和的な性格なので、あまり逃げない。
このハトは、驚くほどに小さい。ムクドリぐらいの大きさしかないものだから、慣れるまで遠目にハトだと気付くのに少々の時間がかかってしまう。尾羽を広げると鋭角的に丸く、羽先が白い。
マミジロカルガモ(Anas superciliosa) Pacific Black Duck
池の周りを歩くと、「ぐわっぐわっ」と鳴いて寄り集まったマミジロカルガモ。
日本にいるタダカルガモに比べて顔の羽色にメリハリがあり、嘴の黄色バンドも無い。
アオマメガン(Nettapus pulchellus) Green Pygmy-goose
池の水面で無限に増殖したアオウキクサを、もしゃもしゃウマウマと1羽でひたすら食べ続けている夏羽のアオマメガン雄。
人間でこの状況をイメージすると、広大なキャベツ畑のど真ん中で、男1人が辺り一面に生えるキャベツを片っ端からサラダにして食べているようなものである。
この個体ほど食事に困らない鳥はいないだろう。
もしかすると、アオウキクサ以外の「何か」を選択的に食べていたのかもしれないけれど。
【2010/03/03/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】