ヒクイドリ(Casuarius casuarius johnsonii) Southern Cassowary
夕方、延々と続く林の中の道路を車で走っていた時、突然ある不自然なものが目に飛び込んできて、思考が一瞬、停止した。
隣の友人にその旨を報告しようとするけれど、にわかに言葉が出てこなかった。「あわわ・・・」としばらく口をぱくぱくさせた後、今一度呼吸を整えてからやっと口をついて静かな声が出た。「ヒクイドリがいた・・・!」
友人は信じられないと言いいたげたったけれど、私の様子を見てそれが冗談でないことを悟ったようだった。
目の前で起こっている事がにわかに信じられない。
成鳥と若鳥の2頭のヒクイドリは私達が見ていることに明らかに気付きながらも、林の奥から道路側に出てきて立ち止まった!好奇心からだろうか。
骨質のトサカはコリトサウルスに似るけれど、キリリとした顔つきは小型肉食恐竜を彷彿とさせる。もちろんヒクイドリは肉食などではなく、果実食である。
ヒクイドリと私達はしばらくお互いを観察し合った。どれくらいの時間が経っただろうか、対向車に観光バスがやって来た時、ヒクイドリはここまでだと言う様に森の方へ向き、ゆっくりとその姿を消した。
この時私の世界版ライフリストに加わった1種は、今まで見てきたどの野鳥よりも巨大だった。
【2010/03/04/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】