ルリミツユビカワセミ(Ceyx azureus azureus) Azure Kingfisher
オーストラリア2日目。
早朝のまだ辺りが真っ暗な時間帯に起き出して、夜が明ける前に到着するよう、ディンツリーに向けて車を走らせた。夜明け前の気温は26℃ととても過ごしやすくて、車の窓を開けていると涼しい風が車内を満たした。
やっと薄明るくなる頃、クルーズのオーナーとの待ち合わせの場所に着いた。
今朝はディンツリー川(Daintree River)のリバークルーズに参加することになっている。
―夜明けとともに漕ぎ出す船。
他の客がいないから、ボートは私と友人で貸切状態になった。
夜が明けてもしばらく暗い森。川の細流には木々が両岸からオーバーハングして、ボートがやっと1隻通れるほどに茂った場所もたまにある。
キミドリコウライウグイスの元気のいい声が「トキョキョ!」と聞こえたかと思えば、密な木々の間を小さな小さなハシブトセンニョムシクイがせわしなく動いていた。なるほど、アイリングは白いけれど眉斑は無い。また、コキミミミツスイよりも大型のキミミミツスイも川沿いの木に出てきていた。
ディンツリー川支流(Barratt Creek)
テリヒラハシは狭い支流の水辺によく見られた。雄は全身光沢のある紺、雌は喉から腹にかけて白く、3色を纏ってまるで別の鳥みたいだ。ナンヨウクイナは少し飛んで着地したかと思えばすぐ藪へ消えてしまった。オーストラリアツカツクリは太い脚で土を後方に掻いて、巣でも作っている途中なのだろうか。また、ミミグロネコドリは猫みたいな声でかわいく「にゃぁ~!」と鳴く。
さらに、まるでサファイアの弾丸のように飛ぶルリミツユビカワセミが「チィ!」とカワセミに似た声で鳴いて、対岸の倒木にとまった。
そして舞台は本流へ―。
Daintree River
川には他にボートは1隻も浮いていなかった。
ボートがスピードを上げると、朝の涼しい風がとても心地よい。川の上空を、たまにゴシキセイガイインコやソデグロバトの小群が飛んでいくのが見える。
英名がWelcome Swallowなどと名前からして好感度の良いオーストラリアツバメが、ボートに興味があるのかしばらく平行して飛んでくれた。
この後スマトラサギのコロニーへ行くも姿が見えず、痛恨の「外し」だった。そのかわり、まるで水面すれすれに流れる箒星みたいなヒメミツユビカワセミを確かに見た。
Barratt Creekに戻ってくると、川にオーバーハングした木の枝にナミヘビの仲間 Common Tree Snake(Dendrelaphis punctulata)が乗っていて、ボートが近づくとすぐさま逃げ出した。
そしてまた、ルリミツユビカワセミを見つけた。今度はじっくり餌を狙っている最中のようだ。
【2010/03/04/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】