映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

オルランド(1992年)

2022-02-10 | 【お】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv16557/


以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 青年たちが女性的な装いを好んだ一六世紀末エリザベス一世(クェンティン・クリスプ)の治下、晩餐の宴で青年貴族オルランド(ティルダ・スウィントン)は女王に詩を捧げた。女王はオルランドの若さを愛し「決して老いてはならぬ」という条件つきで屋敷を与えた。まもなく女王は崩御、次いで父親も亡くなり、オルランドはユーフロジニと婚約する。

 大寒波で氷の都となったロンドンで、新国王ジェームズ一世に挨拶するロシア大使一行の中に美少女サーシャ(シャルロット・ヴァランドレイ)を見たオルランドは、ひと目でとりことなり愛を誓う。二人はロンドン橋の上で落ち合い旅立つ約束をするが、サーシャは現れず、失恋したオルランドは六日間昏睡状態に陥る。

 眠りから覚めたオルランドは詩作に没頭するが、尊敬する詩人(ヒースコート・ウィリアムス)から罵倒され詩作も断念し、オレンジ公ウィリアムに申し立てオリエントの国へ大使として旅立つ。

 十年の月日がたちオリエントになじんだオルランドにアン王女からバース勲位が授けられた。授勲式の夜、親しい王(ロテール・ブリュトー)が敵国の急襲を受け、戦いになった。敵兵が死んでゆくのを見たオルランドはショックのあまり二度目の昏睡に陥る。

 二日目に目覚めた時、オルランドは女になっていた。イギリスに戻り貴婦人として社交界にデビューしたオルランドはハリー大公のプロポーズを断る。「自然よ、私をあなたの花嫁にして」と大地に向かってオルランドがつぶやいた時、突然馬にまたがったひとりの男が現われた。アメリカ人の冒険家シェルマディン(ビリー・ゼイン)とオルランドは恋に落ち、甘美な一夜を過ごす。

 翌朝、ヴィクトリア女王の使者が「男子を産まねば財産は没収する」という通達を持ってきた。旅立つシェルマディンを見送ったオルランドはやがて身重の体で戦場を逃げまどう。

 時は移り、現代のロンドン。オルランドは出版社に原稿を持ち込む。そして幼い娘をサイドカーに乗せ、百年前に失った屋敷を観光客として訪れ、自分の肖像画を見るのだった。

=====ここまで。

 ヴァージニア・ウルフの長編小説『オーランドー』の映画化。


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 ヴァージニア・ウルフ、、、遠い昔(10代でした、、、はぁ)『ダロウェイ夫人』を開いて、あっという間に挫折したのと、リズの映画『バージニア・ウルフなんかこわくない』がダメ過ぎて、ウルフにも良いイメージがありません。今なら小説はもう少し読めるようになっているんでしょうかねぇ、、、。ウルフ原作ではないけど、ウルフを描いた『めぐりあう時間たち』もピンとこなかったし。

 本作は、何となくストーリーも取っつきやすそうだし、サリー・ポッター監督作というのもあって、なぜか見てみたくなりました。もちろん、原作は未読です。ちなみに、原作が発表されたのは1928年で、日本では昭和3年。


◆男だろうが、女だろうが、、、

 いろんな映画でいろんなエリザベス一世を見てきたけど、それらに比べても、本作の冒頭におでましのエリザベス一世はかなりインパクト大。演じているのはクェンティン・クリスプというお方。寡聞にして知らなかったのだけど、ネットで検索したら、有名なゲイの作家で“ゲイカルチャーの先駆者”として伝説的な人物だそうで、、、。あのスティングのヒット曲「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」のモデルとなったお方らしい。

 とにかく、その冒頭シーンで、エリザベス一世に「老いてはならない」と言われたオルランドは、確かに美しい。ティルダ・スウィントンは、正直なところあんまし好きな女優さんではないのだが、この映画は彼女がいてこそ成立した作品だと、強く感じた次第。それくらい、性の垣根を軽々と超える不思議な主人公を違和感なく演じていた。

 中盤までは男性、後半は女性になるオルランド。男性から女性に変わったところでは、ティルダ・スウィントンの全裸シーンもあり、公開当時このシーンは話題になったのかしら?? 女性になったとき、オルランドはカメラ目線で「前と同じ人間。何も変わらない。性が変わっただけ」とつぶやく(ちなみに、カメラ目線でオルランドがつぶやくシーンは、ほかにも何か所かあった)。

 時代が飛ぶ際に、オルランドは昏睡するんだけど、最初に昏睡してしまったシーンが結構面白い。召使が起こしに来るが目を開けないオルランド、起こしに来る人が1人、また1人と増えていく。医者も来る。……ただ、昏睡して時代が飛んでいる、ってのが見ていてもイマイチ分かりにくく、ストーリーをある程度知っていないと置いてけぼりを喰らうこと必至。

 映画として面白いと思うけど、ふーん、、、という感じでもある。何しろ、400年を描いているのだからね。男と女の違いということには、ほとんど焦点が当たっておらず、男も女も人間としてどう生きるのか、、、ということが描かれる。ただ、意外だったのは、どのオルランドも“恋愛”が絡んでくるのよね。そして、それは異性愛なんだよね。

 女になったオルランドが、コルセットでガチガチのドレスに身を包み、サロンでオジサンたちと語り合うシーンも興味深い。そのオジサンたちはジョナサン・スウィフトや詩人アレキサンダー・ポープなんだが、彼らは女性蔑視丸出しの言葉を吐きまくっている。そのときのオルランドは怒って部屋を飛び出していくんだが、、、。ガリバー旅行記もぶっ飛ぶハラスメントおやじ・スウィフトさんであった。これ、原作にもあるんだよね? ウルフは意地悪だなぁ、、、。


◆ティルダ・スウィントンとか、その他もろもろ。

 本作の公開当時、ティルダ・スウィントンってどのくらい知名度があったんでしょうかね? 86年に映画デビューし、2000年にレオ様主演の『ザ・ビーチ』でハリウッド進出、、、とwikiには出ている。本作が撮影されたころは、まだ売り出し中だったのかな、、、。

 というのは、オルランドを演じているのが謎めいた中性的な俳優であれば、なお映画として魅力的だったんじゃないかな、と思ったから。今となっては、ティルダ・スウィントンが女性であることは大抵の人は知っており、途中でオルランドが女性になっても、ゼンゼン違和感なく見れてしまうのだけど、これが無名に近い俳優だったら、さぞや面白かっただろうな、と。男から女に軽やかに垣根を越えて演じているあの美しい人は誰、、、??となるでしょ。でも、ティルダ・スウィントンだと知っているから、ふむふむ、、、としかならなくて。

 それにしても、今からほぼ100年前に、ジェンダーフリーなお話を書いていたというのはオドロキだ。ウルフをよく知る人なら驚きでも何でもないのかも知れないが。映像化は無理と言われていたらしい原作だが、本作を見て、原作を読んでみたいと思った次第。

 特典映像で、サリー・ポッター監督が色々と苦悩している場面が収録されており、本編よりそっちの方が興味深かった。なかなか過酷な現場だったみたい。『耳に残るは君の歌声』も(内容はほとんど覚えていないんだけど)まあまあ面白かった記憶があり、もう一度見てみたくなった。

 

 

 

 

 

 

 

食わず嫌いしていないでウルフ作品も読んでみようかな、、、。

 

 

 

 

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